・・・・・・ホント、不思議なぐらい泡立ちがいい
リィンちゃんのお風呂・・・・・・シーン?
「グスンッ! ・・・・・・服がビショビショ」
スカートの裾を両手で持って水を絞り出すが、ビショビショのままなにも変わらないので こんなことしても意味がないなぁ と実感する。
「クシュッ!?」
な、なんか寒気がして来た。このままじゃ風邪引いちゃう、それなら。
「よいしょっと」
ワンピースの裾を持つとそのまま上に持ち上げて脱ごうとするが、なぜか脇りでつっかえてしまい脱げないので力づくで服を引っ張り上げ始める。
「んーっ!?」
力ずくで脱ごうとしてもダメっぽい。どうしよう・・・・・・。
身体を震わせながら脱ごうとしているところに、さっきまで土下座をしていたセラが近づいてきた。
「リィン様、私がお着替えのお手伝いします。だから両手を上に上げてください」
「うん」
セラの言われた通りに裾を掴んでいる手を離して両手を上げると、テキパキと下着まで手早く脱がしてくれた。
「セラ、早いね」
「こういうのは慣れればすぐに脱げますよ。リィン様の着替えを持って来ますので、シャワーのお湯を被って待っていてください」
う〜ん、それもいいんだけどぉ。
「ここまで来たらこのままお風呂に入っちゃった方が良いと思う。クシュンッ!!」
本格的に風邪を引きそうになってきたのでシャワーヘッドを手にとってお湯を出すと、出てくるお湯を何度か触って適温になるまでコックを動かして調節すると、お湯を頭から被り身体を暖める。
「うにゅ〜〜〜・・・・・・気持ちいい〜」
さっきまで感じていた寒気が嘘のようになくなって、身体がポカポカ暖かくなってきた。
「・・・・・・それもそうですね。準備をするので、そのまま待っていてください」
準備って、先に浴槽にお湯を張らないの? ってセラに聞こうとしたけど、足早にお風呂場から出てって行しまったので、言えなかった・・・・・・。開けっぱなしの更衣室をしばらくボーッとお湯を被りながら見つめていた。
「・・・・・・あ、戻ってきた」
「リィン様、お洋服とタオルをお持ちして来ました」
折り畳まれてるから形までわからないけど、セラは可愛らしい色の服と下着を棚の中に入れたあとになんと、服を脱ぎ出したではないかっ!!
「わっ!? わわわわわわっ!? セ、セラ! 扉開けっ放しでなにしてるのっ!?」
前世では健全な男の子として育ってきたリィンにとっては、刺激的な光景が目に映る。そう、セラの美しい身体がリィンの目に映ってしまうが・・・・・・眼福です! うんっ!!
「お風呂に入ろうと思いまして。それに女性同士なので裸を見られても気にしません」
「あ、なるほど・・・・・・じゃなくて、まだお湯を張ってないよ! もしかしてシャワーで済ませるつもりなの?」
「そのようなつもりはありませんよ。こんな風に 水よ、我を守る盾となれ 【ウォーター ウォール】」
セラが魔法を唱えた瞬間、浴槽に水の壁が現れたが、すぐに形が崩れて浴槽の外に溢れ出るほど水を満たして行く。
「お、おお〜!!」
「炎よ。我が力となり現れよ。【ファイアボール】」
二つの大きな炎の球が現れたと思ったら浴槽の中に入って行くと シューーーーッ!! と言う蒸発するような音を立てて水を沸かしていく。
「なんか・・・・・・スゴイ光景」
だって炎の球が水に半分くらい浸かってるのに消えてないないんだもん。しかも、ものすごい勢いで湯気が出ているから、あの火の玉かなりの高温だと思う。てか水に浸かっているのに消えないのは、なぜ?
「もうそろそろ頃合いでしょう」
セラそう言うと、水に浸かっていた火の玉がパッと消すと、沸かしたお湯の入った浴槽に近づいて、素手でお湯をかき混ぜ始めた。っておいおいおいおい!?
「セラ、お湯熱くないの!?」
「腕を薄く魔力で覆っているので熱いと感じませんよ」
えっ!? 魔力でそんなことまで出来るの? 魔法の世界万能過ぎでしょっ!! てか、いつの間にかバスタオルを巻いているっ!?
「湯加減もちょうど良さそうなので入りましょうか」
「う、うん・・・・・・そうだね」
もう考えるのは、止めておこう。だって魔法のことなんてさっぱりわからないリィンが理解しようとしたところで、こんがらがってどう言う理屈だか理解出来ないって言うだけだと思うもん。それにスローライフなんだから、ゆっくりセラから教わっていけばいいことだし・・・・・・だから、本当に今だけは考えるのを止めようか。マジで頭が痛くなりそうだからね! うん。
なにも考えずに風呂釜に近づいて行くのだが、なセラがハッと忘れ物に気がついた。ような顔をしたかと思えばリィンの目の前に立ち両肩を優しく掴んで止めてくる。
「どうしたのセラ? お風呂に入るんじゃなかったの?」
「浴槽に入る前に身体を洗わなければならないのを忘れてました」
あっ!? リィンも現実逃避してたから、身体洗うことをすっかり忘れてたよ。
「それでは失礼します」
「ファッ!?」
リィンをお姫様抱っこすると、イスまで連れて行かれるとそこの座らせれたあとにセラはリィンの頭に手をかざす。
「セラ、ストップ!」
「どうしてですか?」
「どうせなら魔法の泡で身体を洗わずにさ、こっちのシャンプーで洗おうよ」
「シャンプー・・・・・・ですか?」
「うん。見てて」
台の上に乗っかっているシャンプーを押して中に入っている洗剤液を出すと両手で擦って泡立てると、セラは驚いた顔をしながら見つめていた。
「洗剤なのに泡立ちがこんなにも良くて、香りもいいなんて・・・・・・この洗剤、リィン様の前世の世界でも高かったのでは?」
「えっ!? た、高い」
「違うんですか?」
・・・・・・あー、なるほど。この世界の洗剤類は前世に比べたら質が悪いのかもしれない。
「この洗剤なら、お店で安く売ってたよ」
テレビのCMにもよく出てたメーカーだしね。
「そっ、そうなんですか!? こんなに良い物が安く手に入る?」
セラはリィンの言葉が信じいられないのか、シャンプーの容器を手に持ってずっと見つめている。
「それよりもセラ、頭洗って」
「あ! 失礼しました。リィン様」
シャンプーの容器を置いて中から液体を出す。そして液体を泡立てるとリィンの後ろに回ってくる。
「リィン様、髪を洗うので目を瞑っていてください」
「ん、わかった」
大人しく目を瞑ると、ワシャワシャと頭から心地いい音が聴こえてくる。
「うにゅ〜・・・・・・気持ちいい〜〜〜」
「喜んで頂けてなによりです」
・・・・・・って、あれ? シャンプー液って一回プッシュで髪を洗えたっけ? たしか今のリィンと同じぐらい髪を伸ばしていたお母さんが、私髪が長いから二回か三回ぐらい押さないと間に合わないのよねぇ〜。って言ってた気がするけどぉ・・・・・・きっと気のせい! ・・・・・・だよね?
「セラ」
「はい、なんでしょうか?」
「泡が足りないと思ったら、足してもいいんだよ」
「え? 十分足りてますよ。それにしてもリィン様いた世界の洗剤の技術はスゴいですね。あれだけの量でリィン様の“腰まである長い髪を洗えるんですから”」
やっぱりおかしいっ! お姉ちゃん洗剤になんか魔法をかけたでしょ!? あとで聞いてみよう!!
「・・・・・・これでよさそうですね。洗い流しますよ」
「うん」
頭から暖かなシャワーかけられ、泡を洗い流された。
「あ、身体を洗うのだったら隣のボディーソープを使って」
「ボディーソープ?」
「うん、シャンプーの隣にあるのが身体を洗うためのボディーソープっていう洗剤だから、それをスポンジにかけて泡だててみて!」
「はぁ・・・・・・わかりました」
セラはなんか納得出来ないような顔をしながらボディーソープをスポンジに付けたあとに、クシュクシュと泡だてる。
「・・・・・・ホント、不思議なぐらい泡立ちがいい」
洗剤の泡立ちが不思議なぐらいって、この世界の石鹸の泡立ちはどんだけ悪いの?
「しかし、こちらの世界とは違い。リィン様がいた世界では洗剤を洗う箇所に使い分けているのが普通なんですね」
「うん、そうだよ。種類によっては汚れを落とすだけじゃなくて、美肌効果や髪の抜け毛やバサつき予防の効果が種類別であるから、身体の洗う箇所に合わせて洗剤を変えないといけないんだよ」
「美肌!? 抜け毛やバサつきの予防まで・・・・・・うーむ、なんてスゴい」
「セラ、感心しているところを悪いけど、スポンジ頂戴」
セラの手からスポンジを取ろうとしたのだが、手を引いて取らせてくれなかった。
「ダメです」
「なんで?」
「私がリィン様の身体を洗うのですから、スポンジを渡すわけにはいきません」
セラがリィンの身体を洗う?
「ちょっ、ちょっと待って! 自分の身体ぐらい自分で洗うよっ!?」
そうしないと、大人の精神が傷つくからさっ!!
「いいえ、ダメです。リィン様のお世話係である私がアナタ様の身体をきちんと洗わなければ示しがつきません。なので、じっとしていてください。って逃がしませんよ!」
「うにゅっ!?」
こっそり逃げてから別のスポンジを使って洗う作戦失敗。
「さぁリィン様。大人しくしてくださいね。私がリィン様の身体を“隅々までちゃんと洗って差し上げますからねぇ〜〜〜”」
隅々までってところが、不穏に聞こえたんですがっ!?
「や、止めて! リィンのモラルが・・・・・・モラルが傷ついちゃうよっ! だから一人で」
「ダメです」
セラはリィンの後ろから手を回ようにして、お腹を優しく洗い始める。
前に回って洗わないのっ!?
「ヒャンッ!? ちょっ、ちょっと待って! 前は自分で洗、ってそこは自分でやっ! アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!?」
こうしてリィンはセラの手によって、綺麗さっぱり身体を洗われたのであった。
セラさんのチート能力発揮(笑)
セラサン ハ フツウ 二 カラダヲ アラッタ ダケ デスヨ・・・・・・。