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【不在着信】

作者: 川島千夜

寒さ吹き飛ばすネタが入ってきたのでついつい……。

これは実際に経験した話。実際に聞いた話。

さ、部屋の気温に注意して読んでみてください。

先日、行きつけの整体にいくと、そこの院長が私に目の前で自分の携帯に電話をかけて欲しいと言い出した。


よくわからないままに電話をする私。

院長の携帯は音を立て、私の着信を知らせている。


「やっぱり……」

そう呟いて、私に電話を切るように言った院長は、こんな話をしてくれた。




「一昨日の晩なんですけどね、なんともなしにアプリゲームをしていたら、突然、このスマホが着信を知らせてきたんですよ。


でも……着信番号が出るわけでもなく、受話ボタンも出てこないんです。


ただ、着信音が鳴り続けるだけ。


僕はどうすることもできず、ただ鳴り響く電話を眺めるだけ。

そのうち30コールくらいして着信音は終わったんですが、何をどう調べても着信履歴すら残っていないんです。


『気持ちが悪いな……』


そう思ったけれども、何かの誤作動かもしれないと思って忘れることにしたんですが、昨日……また着信音が鳴ったんです。


もちろん、番号も受話ボタンも出ない。


ずーっと音は鳴り響くだけで、ようやく着信音がおさまっても履歴すら残っていない。

さすがに気持ち悪くなって、心当たりのあるお客さんや知り合いに聞いてみたけどみんなかけていないって言うし、その後お客さんから予約の電話がかかってきた時は、ちゃんと受話ボタンも履歴も出たんです。


一応、携帯のキャリアのカスタマーにこんな不具合が出るという知らせはないか、聞いてみたんですが、向こうも寝耳に水みたいだし、恐らく故障でもないと言われたんですよ……。


だったら……一体何だというのでしょうかね」


そう言って携帯を置く院長。

一昨日は30コール。

昨日は60コールくらい鳴り続けたというその、「証拠の残らない不在着信」。


今日も彼の電話は鳴るのだろうか。

そして、それはいつまで鳴り続けるのだろうか。


話を聞いてから、私はまだ彼の元を訪ねていない……。

※こちらの文面・内容を無断転載・引用・流用する事は絶対にご遠慮ください※


※この作品は自サイトの無料小説ページにも載せています※

サイト名:OFFICE KAWACHIYO URLhttps://officekawachiyo.com/free-novel-【missed-calls】/

※この作品は2019年4月配信の怪談千夜2に加筆修正の上載せています※

https://bccks.jp/bcck/158849/info

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