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09話 雄叫びと歓声

 ザスター(コボルトの王)視点


 排除―――そう決めた後、すぐにザスターは行動した。この瞬間の一分一秒の持つ重さをよく理解していたからだ。

 臣下に遠吠えを送り戦の合図を知らせる、同時に自身もそれに備え準備を始めた。

 問題となるのはダンジョンコアの存在だ。


 ザスターは青色の箱に視線を落とす。


 持ってくべきか?ここに置いていくべきか?

 一長一短はある。

 まず、ダンジョンコアというものは魔法攻撃でしか破壊することは叶わない、それもコアを破壊できるほどの威力のものだ。そのため乱戦となってもゴブリンに壊されることは無いだろう。

 が、あちらには強者がいる。あの者なら破壊するは簡単だ。

 ならば、持っていかないのが正解か、と言うと、そうでもない。

 もし自身の留守中に人間が来れば・・・、そう考えれば、置いていくのは愚かだろう。


 ダンジョンコア、あのゴブリンならざる強者、戦力を分散させることで生じるデメリット・・・様々な要因を加味し、ザスターは「持っていく」と、決断を下した。


 (決戦は明日深夜!それまでよく休み英気をを蓄えよ!)


  ウオl-----------ン ! ! !


 ザスターの覚悟に応えるように、歓喜を含んだ遠吠えが歪に闇夜を切り裂いた。




 コボルト進軍

 その報を聞き、場の空気は一変する。

 肌を刺すような空気が、こちらにまで伝わってくるのが分かった。

 さらに報は続く。

 数は100以上、アークを複数体確認・・・・

 そしてさらに悪いことに、人狼を見たという。

 ゴブジ自身信じられていない様子だったが、ただの見間違いと切り捨てるのは危険だろう。


 人狼、その言葉にレイドの表情が一瞬固まったのを俺は見逃さなかった。

 不審に思って聞いてみたのだが・・・


 コボルトの進化体で危険度はアークコボルトの比ではない


 と、いうような答えが返ってきた。

 人狼はここら一帯で恐怖の象徴のような存在だったらしい。

 皆の表情も硬い。

 当然か。

 おそらくレイドと同等程度の力を持っているだろう人狼、アークコボルトが複数体、この時点でこちらに質としての優位は無くなったと考えていい。おまけに圧倒的な数的不利を抱えている。

 この状態で不安に思うなと言うのが無理な話か・・・・・


 しかし、少し緊張しすぎだ。こんな状態では勝てる戦も勝てない。

 やれやれ、偶には主人らしいことでもするか。


 ふうー、と深い息を吐き、緊張を和らげる。

 ここからは失敗は許されない。少しでも不安を悟らせたら俺の負けだ。

 そう言い聞かせ、俺は不敵な笑みを作った。


 「数は百体、人狼がいるみたいだな。」


 あっけらかんと何とでもないように――――――――――――――


 「奴等、俺たちに勝てると思ってるらしい―――――――」


 自信を持て、弱みを見せず――――――――――――――――


 「どうした?忠義の時間だ!」


 そう言い、俺は笑みを深めた。


 ゴブリンの歓声が闇夜に響いた。

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