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02話 現状把握

 さて、これが異世界転生であるのは、最早疑いようがないな。

 なぜかって?

 そりゃ、ゴブリンでガス。異世界だろ?

 その上、俺の体自体違うのだ。これで認めないのは流石に往生際が悪い。

 ちなみに、今の俺は15歳くらいの銀髪美男子らしい。

 ゴブリンの言葉故、そのまま鵜呑みにすることは出来ないが・・・・

 とはいえ、年齢も性別も同じだったのは有難かった。

 あと、俺の服装だが古代ローマの・・・なんていうんだ?

 あの体に巻く感じのあれだ!


 現状の振り返りはこのくらいでいいだろう。


 しかし、腹が空いたな。何か出してくれと言うのは図々しいだろうか?


  何を言っている・・・食事なら目の前にあるだろうが・・・


 ん?今何か聞こえたような?・・・

 いや、気のせいだな。

 そう言うことにしておいた。

 だって、相手はゴブリンだよ?さすがにあれは無いなー。


  くっく!ゴブリンか?どうでもよかろう?俺は今腹が空いてるんだ!


 幻聴だ。空腹すぎて変な幻聴が聞こえるだけだ・・・


 「旨そうだな。」


 俺は一番大柄なゴブリンを見て、そんなことを口走っていた。

 これは不味い!かなり末期な感じだ!いやいや、腹が空いてるだけだ。


 ゴブリンは俺の言葉に体を震わせている。


 怒ってる、怒ってらしゃる!・・・不味いぞー、これは俺の第一の必殺技ムーサルト・ジャンピング・ドゲザを披露する時なのではないか?


 俺がそんなことを考えていると件のゴブリンはさらに体を震わせる。そして――――――――

 「な・・・・!」


 「な?・・・・」


 「何という幸せ!アクア様の御贄になれるなどこれ以上の幸せはありますまい!」


 そ、そうでもないと思うぞ・・・

 というか、俺の名前アクアっていったんだな。

 まあ、それはいい。

 取り敢えず、俺は普通の食事を用意してもらった。


 俺のことを神のごとく崇めてる奴等だ、これは御馳走なのだろう・・・


 質素である。とても少ない・・・


 これが御馳走となるといつもの食事は悲惨の一言になりそうだ。

 早急に食生活の改善をしなければな!




食事をしながら―――――――――――――――――――


 「それで、この世界についてもう少し詳しく知りたいのだが・・・・。」

 「何なりとお尋ねください。」


 応えたのはやはり一番体格の良いゴブリンだった。

 しかし、名前が無いのは面倒だな。後で付けてやるか。俺はそう思う。

 今すぐ付けないのは、ただ単に思いつかなかっただけである。

 まあ、それは兎も角・・・・


 「俺たちの今の立ち位置、現状を教えてくれ。」

 「御意に。・・・そうですね、まず、ここは「酷亜の森」と呼ばれる大森林の中にあるダンジョンの一つです。位置としては、確か東あたりだと記憶しておりますが・・・正確なことは何とも。人間たちが大規模な侵攻をしたことはありませんが、冒険者なるものが年に数回見かけますね。まあ、すぐに帰ってしまいますが・・・・。」

 待て待て待て待て!ちょっと色々聞きたいことがありますよ。まず、あれだ・・・。ダンジョンって一つじゃなかったの?

 いや、確かにこんな寂れたダンジョンが世界唯一のダンジョンだったら、なんか残念だけど・・・

 てか、冒険者に無視されるダンジョンってなにものだよ!予想通りだけどさ!これはこれで腹立つな!


 ふうー、落ち着け・・・・

 まずは一つづつ疑問を片付けていこう。


 「この近くにダンジョンがあるのか?」

 「はい、近くと言うほどではありませんが3、4っつほど・・・。」

 「それで、そのダンジョンとは敵対してないよな?」

 「そうですね、敵対はしていないと思われます。それなりに離れてますし。」

 「そうか・・・、では・・・・。」

        ・

        ・

        ・

        ・

 それから色々聞いて、大方分かった。

 曰く、自分たちは亜人であり、魔物とは違った生き物だとか・・・

 ちなみに、亜人には二種類いて蛇人や蜘蛛人のような先天性の亜人とゴブリンやオークのような魔物が知性を得た後天性の亜人がいるそうだ。

 分かりやすく言ってしまえば、亜人=知性がある、魔物=知性がない、ということだである。

最も人間からしてみたら亜人だろうが魔物だろうが大した違いは無いのだが。


 曰く、この世界では亜人も魔物も大きい括りでは魔族と呼ばれており、ゴブリンやオークといった魔物が下級魔族、一般的な亜人が中級~下級魔族、オーガやリッチと呼ばれるものが中級~上級魔族、吸血鬼や悪魔と言われるものが上級魔族~超級魔族と言うのが一般だ。

 中級から上級の間には隔絶した壁があり、上級から超級ではそれ以上の差があるらしい。

 竜や真祖といった災害級やら厄災級やらといったものもいるらしいが、今は考えないようにしておこう。


 曰く、ダンジョンにはダンジョンコアと言う物があって、これがある限り何度でも修復可能なようだ。逆にこれが無くなるとダンジョンはダンジョンとして機能しなくなり、同時にダンジョンマスターも消滅するらしい。

 このダンジョンのダンジョンコアはオレンジ色のヨーヨーぐらいの球だった。

        ・

        ・

        ・

        ・

 「なるほど、大体分かった。」

 俺は鷹揚に頷く。


 さて、話の間並行して考えてきた名前であるが、ただいま決まった。

 もちろん、こいつらに名前が無いことは把握済みだ。

 ということで・・・・


 「名前が無いのは不便だな?一応考えてみたが、どうする。」


 不安があるとすれば、俺のネーミングセンスの無さだ。

 こんな下らんことで見切りをつけられたら叶わない・・・・

 そんなことを考えながら、周りを見渡すと、恐る恐ると言うふうに


 「ア、アクア様、宜しいのですか?」


 何だろう、皆の様子がおかしい気がする。

 さっきまで絶え間なく動かしていた手が完全に止まっている、そして俺をガン見してるんだが・・・

 これは、マズったか?


 「い、いや、否が無いのならつけようと思っただけだ。」


 瞬間起きるのは 大 歓 声 だ!

 な、何事だ!・・・・

 なんだかよく分らんが、大丈夫らしい・・・

 

 取り敢えず、皆を落ち着かせた。

 まずは、一番大きいあのゴブリンからだな。


 「お前の名前はレイドとする。」

 「謹んでお受けいたします。」


 感激したように膝を着き、頭を下げるレイド。

 名前を与えただけでこの反応・・・・

 これがネーミングセンスのなせる業か。如何やら俺はデキル男になっていたらしい。


 気分を良くした俺はどんどんと名前を付けていった。


 名前はこんな感じにした。大きい方から、レイド(男)、ミア(女)、シルク(男)、ゴブイチ、ゴブジ、ゴブサン、ゴブヨン、ゴブゴ、ゴブロク、ゴブナナ、である。

 ちなみに、上位三人はホブゴブリンだった。

 何で分かったって?ステータスだよ、ステータス。そうなんです!なんと俺ステータスの見える男になったんです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――


『マスター。侵入者を確認しました。』

ダンジョンコアの機械的な音が響いた。


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