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序章 死亡そして転生

 俺の名前は立花蓮人。

 何処にでもある一般家庭の長男として生まれ、無入試の中学に通っている15歳である。

 顔は悪くないと思うのだが未だ彼女が出来たことは無い。

 だが別にモテないという訳ではないのだ!告白されたことも数知れず、今年に入ってもう20回目だ。

 じゃあ付き合えよ?って、いやいや俺はそんな尻軽じゃない!

 いや、色好みをするつもりはないのだが性別ぐらいは選んでもいいだろう。

 その通り!俺に告白してくる奴は皆男なのである!

     お前ら何考えてんだ!

 そう思った俺は悪くないと思う。

 何でこんなことを考えているかと言うと、理由がこれだ。


 「あ、立花さん!待たせちゃいましたか?」


 そう言ったのは笑顔で手を振り近づいてきた女性だ。

 真奈麗華。我が高台中学のマドンナと呼ばれている女生徒である。

 

 確かに俺は待ったが別段彼女が遅れて来た訳では無い。

 なにせ今は約束の時間の30分前。俺がただ単に早く来すぎただけだ。

 別に楽しみ過ぎて早く来すぎてしまった訳では無い。

 これは男として当然のたしなみだ。いやいい訳してる訳じゃ無いぞ。


 真奈さんの服装は黒いパーカーにジーンズ、その上フードを被っているという男みたいな格好だ。

 深い意味は無いと信じている。

     だがこの格好はこれで良い!

 俺は思った。

 

 さて、何で俺みたいな奴がマドンナと休日二人で会うことになったかと言うと-------------


 「いや、今来たとこだ。それより悪かったな。俺の仕事なのに手伝ってもらって・・・」


 「同じ委員なんだから当然だよ!」


 まあ、そう言うことだ。


 俺と真奈さんは文化祭の実行委員なんだが俺がここ一週間風邪で休んでいたため今日必要物資の調達に来たという訳だ。


 真奈さんは腰をかがめて、ベンチに座っていた俺に手を差し伸べた。


     ドキッ!


 思わず赤くなってしまった俺は悪くない。それ程までに真奈さんが可愛いだけだ。


 「お姫様!お手をどうぞ!」


 俺は男だ!そう突っ込むのは7年ほど前に諦めた。


 俺が手を出そうかどうかと迷っていると真奈さんがクイッと俺の手を引きエスコートを始める。

 その役目も台詞も俺のものなんだが・・・・

 そうは思うがエスコートしようにも右も左も分からないのだ。如何ともし難い。


 ということでそのままエスコートして貰う。


 まあ、それは良いのだが・・・


 さっきから、その草陰に隠れている二人!頭見えてるぞ!

 あの特徴的な頭は間違いない。

 俺のクラスの信仁と亮平だな。


 何やってんだ、あいつら・・・


 まあ、大方マドンナの私服姿でも拝みに来たのだろう。

 俺も楽しみだったからな、気持ちは分かる。


 とはいえ、放って置く訳にもいくまい。


 「信仁、亮平、お前ら何やってんだ?」


 その言葉に信仁と亮平があせあせと出て来た。


 「いや、偶然だな!蓮人。」


 「ああ、俺達も偶然此処通ってな!」


 偶然そんなうが場所にウンチ座りすることは無いと思うが・・・・


 とはいえ認めたく無いこともあるだろう。


 俺はチラッと真奈さんを見る。


 大変不機嫌そうな顔をしていた。


 そりゃそうか。クラスの男子に覗き見されてたんだからな・・・

 そんなことを思っていると・・・・


 「信じらんない!こんなとこまで付けて来るとか何考えてんのよ!」


 「いや、それは偶然な!」


 「ああ、偶然だ・・・そんな事より二人じゃ大変だろ?手伝うか?」


 俺としては有難いんだが・・・

 正直女子と二人でいるより男子が居た方が気が楽だ。

 勿論、真奈さんと二人でいるのが嫌なわけじゃない。寧ろ俺のコミ力が上がればバッチ来いの状態である。


 俺はそんな思考を巡らせながら真奈さんを見る。


 「私は立花さが言うならいいけど・・・」


 「俺は構わないぞ!」


 瞬間、真奈さんの雰囲気が変わった。

 それと呼応するかのように信仁と亮平もオーラを出す。


     な、何事だ!


 チーターvs二頭の熊のような展開に俺は戦々恐々である。

 まさに高中最強決定戦だ!


 俺?パンダあたりだろ。

 パンだな俺は隅で笹を食うことにした。


 その時だ・・・・


 悲鳴?奇声?


 俺が目線を上げると暴走バイクが一台。


 寝てんのか?・・・


 あっ!待て!その方向は・・・・


 「真奈さん!」


 瞬間聞こえる肉を引き千切る音に俺の意識は混濁する。


 薄れ逝く意識の中見えるのは三人の友達。

 体は赤く染まり、泣き顔で整った顔が台無しである。


 「立花さん!立花さん!足が、足が!・・・」


 真奈さんが何か叫んでいるようだが、はっきりと聞こえない。


 しかし、ヤバいな。だんだん体が冷たくなってきた・・・

 これもしかして死ぬのか・・・・

 ああ、こんなことなら一度ぐらい告白しとけばよかったな~

 いや、魔法使いにならなかっただけいいのか?

 いやいや逆になるという手も・・・・


 『なるほどお主は魔法使いになりたいのじゃな。』


 え?何だ今の声?

 と言うか誰が魔法使いだ!


 『なんじゃ、魔法使いでは不服か?全く贅沢な奴じゃの・・・・』


 そんなに贅沢を言った覚えは無いのだが・・・・


 『フォッフォッフォッフォッ!!!豪気!豪気!では賢者でどうじゃ?』


 魔法使いと何が違うのか・・・・、いや若干悪くなってる・・・


 『フムフム。賢者でもダメとなるとあれしかないかもじゃな・・・」


 それが俺が聞いた最後の言葉だった。




 『フォッフォッフォッフォッ!!』

 

 『如何されましたか、アシル神様。』


 『いやなに、面白い魂を見つけてな。この儂にあそこまで意見するとは・・・。』


 『アシル神様に意見ですと!』


 『フォッフォッ!落ち着け、落ち着け!儂は今気分がいい・・・。そういえばユグドラシルにアクアの席が空いていたな?この魂をそこに入れてまいれ!』


 『な!・・・本気ですか?・・・ご、ごほん!すみません、御見苦しい姿を・・・。」


 『構わん!構わん!それ入れて参れ!』


 『畏まりました。』




こうして神の気まぐれにより立花蓮人の第二の人生が決定した。


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