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顔が怖い龍人さん  作者: ヘタレウサギ
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六話 薬草を採取しよう【2】

薬草って大事よね

ミリアさんにじゅうろくさい視点です。

何という事だ。

私は恐怖(恐ろしい貌の魔族の受け付け)が去った後にもたらされた、新たな恐怖に打ち震えてしまう。

恐ろしい龍人を見送った後、すぐに1組の冒険者達がギルドに飛び込んできた。

龍人により静まり返った中にその知らせを持ち込んだのは、幸か不幸かどちらとなるのかしら?


「た、大変だ!」


焦燥とした冒険者達、確か名前は『光ノ騎士(シャイニングナイト)』だったかしら?

彼等は最近登録したE級の冒険者で、5人で何とか森の浅部の依頼を達成していた、一般的な初級冒険者だ。

そんな彼等は2人の少女をパーティに入れていた筈なのだけど、見た限りでは男3人で、1人は傷だらけとなっている。

ゴブリンの群れにでも遭遇したのか、もしくはゴブリンの亜種や進化種にでも遭遇したのか、彼奴らは女子供を苗床にしようと優先して狙ってくる。

全く吐き気を催すわね。


ただ、私は嫌な予感がした。


口を塞いでしまいたくなる衝動を抑えつつ、彼等のリーダーを宥め、状況説明するを促す。


「お、オークだ!オークが出たんだ!!」


あら?給料日はいつだったかしら?

この間気になる美容品出たのよね。

やっぱり魔族領の商会は安心できるし、効果も抜群、買うしか無いわ。

私もそろそろ結婚定期年齢ですし、良い男いないかしら?


「助けてくれ!サラとマリーが拐われたんだよ!!」


残念だけど、現実逃避も此処までね。


「落ち着きなさい、焦る気持ちは分かるけれど、私達冒険者ギルドは冒険者を守る義務があるの。ハイそうですかと救援に冒険者を送り込めば、貴方達の二の舞となる。2人を助けたいなら、迅速に、詳細に情報を伝えなさい」


「あ、あぁ」


とは言っても、もしも本当にオークが群れで女を攫うなら既に手遅れどころか、最悪の事態だけど。

私は周囲のギルド職員に、医療班を呼ぶように指示を飛ばす。


「俺たちはゴブリン討伐依頼を受けて、アルダカの南の森に入ったんだけど。ゴブリンは全然居なくて、代わりにオークがいて、驚いていたらもう1匹現れて、サラとマリーが拐われて、助けようとしたけどトムソンが殴られて!仕方なかったんだよ!!」


長々叫んでいるけれど、彼等の話をまとめればこの街(アルダカ)の付近までオークの斥候が来ているという事ね。

恐らくゴブリンはオークに襲われ身を隠しているか、移動したのでしょうね。


私はオークの生態を思い出す。

オークは基本的に異種族の雌を、繁殖の目的として攫う事は無い。

あくまで彼等にとっては人族等食料であり、面倒な種族だと好んで襲う者は少ない。


そんなオークが人間の女を狙って攫う事態は、彼等の生態が観測されている中でただ1つ。


繁殖期だ。


とは言っても、オークの繁殖期は定期的に訪れるものでは無い。

各地で確認されているオークの繁殖期は、災害とも言える存在、オークキングの出現と同時に発生している。

オークキングが持つ異種族を孕ませる能力により、爆発的に数を増やすのだ。

更に、人族等の異種族を苗床にしたオークキングの子は、オークメイジやオークジェネラルと言った上位種が産まれやすくなる。

産まれた子供たちは1週間と経たず屈強な兵士となり、群生となりまた女を攫い数を増やす。

下手をすれば、B−にもなる脅威度は国を脅かす存在だ。

この街(アルダカ)が所属するグラン王国は小国であり、B級の冒険者の数は2人しかいない。

オークキングの群生を相手には圧倒的に数が足りず、他国の応援が来る頃にはこの街(アルダカ)は蹂躙されているでしょう。


オークに蹂躙される前に、好みの男を襲った方が良いかもしれないわね。


とりあえずオークキングによる魔物の暴走(スタンピード)が予測される今、ギルド長に連絡と、領主への連絡、住民の避難、冒険者の収集。


無理ね、オークがこの街(アルダカ)付近まで来ている現状ではどれも間に合わない。

諦めて若い男を襲うか、もしくはオークキングが力を兵力を蓄える前に此方から攻めるか。


ふと、私は先程案内した魔王の様な凶悪な顔を思い出す。

かの龍人がいれば倒せてしまうのでは無いかと。

其れ程の威厳を放っていたのだ。

だが、この国(グラン王国)の住民ですら無く、人族ですら無い流れの魔族に命をかけろと言えるほど私は顔が厚くはない。

そもそも、顔が怖くて見れない。

下手したらオーク以前に滅ぼされそう。


やはり、若いツバメを今から襲うべきだろうか。


私がジロリと最近冒険者になった13歳の可愛らしい少年へと目を向けつつギルド職員に指示を出し、ギルド長を待っていると、騒がしいギルドが静まり返る。


奴が、太古の龍(エンシェントドラゴン)が帰って来たのだ。


どれ程危機が迫っても、サブタイトルは裏切らない

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