プロローグ
――――宇宙の彼方。とある星に生命が宿ろうとしていた。
その星は恒星とほど良い距離であり重力も適していたが、本来は生命が宿るには今ひとつ足りないモノがあった。
――――その星には、ある時から『種子』が『何か』に撒かれた。
その『種子』は星の環境に関わらず、ひとりでに成長を続け、やがてはとてつもなく巨大な『大樹』となった。
『大樹』は星にあらゆる生命をもたらした。
生命の根源たる水。生命が生きる環境を決定づける大気と陸地……全てその一本の『大樹』から育まれた。
そして、あらゆる生命が生まれた。
微小なプランクトンなどから巨大な獣……そしてヒトも。
今現在、星の支配者であるヒトは闘争による繁栄と衰退を繰り返しながら文明を築き、やがて『大樹』の存在を知った。
しかし、『大樹』はまるで自らの姿を隠すかのように……ヒトの目につかぬいずこかの地に幻のように消えた。
ヒトは、『大樹』を探し続けた。
そして、やがて生命の基たるその『大樹』は伝説となり、ヒトからヒトへ語り継がれた。
『世界』を『創り』し『大樹』。
すなわち『創世樹』の存在を――――
星が『創世樹』の恵みを受けてから五十億年。
今、ヒトはひとつの超大国に支配されかかっている。
超大国はただ只管に力を求め続け、あらゆるモノを犠牲にしていった。力を求め、結果を出すことのみが人間の真価であり、未来であると半ば狂信的に。
超大国の名は、「ガラテア」。
物語は、「ガラテア」の歴史がちょうど千年続いた時より……「ガラテア」にその生を翻弄された者達から始まる――――