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夢から覚めたら異世界だったわけで...。  作者: 大支 雅軌
第一章『アレス編』
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第二話『魔術ーその①』

 ・・・目が覚めれば、そこは広大な草原が広がっていた。



~・・・ツバサが目覚める少し前・・・~


「ふぅ~・・・ここが”アレス草原”ですか。」

目的地付近の草原に到着して、開口一番にそう口にした。

魔術の修業をしながら、この世界の各地にある迷宮、遺跡を巡る旅をしている私は、一休みできる場所を求め、このアレス草原へ辿り着いた。

少し先に進めば、大きな木がある。その木の下で一休みしよう、荷物も整理したいし。

早速、その木のもとへ向かう。


「・・・ん?・・・あれは・・・。」

私は木の下で誰か倒れているのを発見した・・・大の字で。

私は急いで駆け寄った。


木の下に着いた私は、すぐさま倒れている人のところへ近寄った。

見た限り、怪我とかはなさそうだ。私は一安心して、倒れている人を見る。

人間の男性のようだ。私も人間寄りなので、それはすぐにわかった。

見た限り、外傷等はなく、息もしている。どうやら眠っているだけのようだ。


「・・・ふぅ~、よかったぁ。」

私は安堵した。死んでなくてよかったと胸を撫で下ろす。まあ死んでいても私に問題があるわけではないが、一休みしようとしたら人間が死んでいたとなれば、気分はいいものではない。

私は、もう一度彼を見ると、この人は変わった服装をしていた。

なにか文字のようなものが入っているが、こんな文字は初めてみた。まあ、こういう語もあるんですね、と割り切った。


「・・・ん・・・。」

どうやら倒れている人が目覚めたようだ。



~・・・ツバサ視点・・・~


・・・広い草原で目が覚めた・・・。


「大丈夫ですか?」

上の方から声を掛けられる。女性の声だ。体を起こし、声のしたほうへ体を向ける。

そこにいたのは、水色をした髪で、メガネを掛けた少女だった。服装と横のほうにおいてある帽子からして、魔法使いの類であると推測できる。どうやら本当に異世界に到着したらしい。

とりあえず、この少女に返事を返そう、幸いにも言葉は通じるみたいだし。


「・・・えぇ、大丈夫です。」

返事を返したら、少女が胸を撫で下ろしながら「そうですか、よかった。」と安堵していた。

この時点で分かったこと。この少女は魔法使いであるということ。この少女はかなりのお人好しなのだろう。あくまで安堵したところを見た推測だが。そしてもう一つが、この世界では、どうやら言葉は通じるということ。おそらくこの世界に転移する際、ユメガミの仕業だろう。まあありがたい話だ。言葉が通じる。言葉から習得するとなればいろいろ面倒だからな。文字はどうか知らないが、おそらくこちらの世界とは違うだろう。まあそこは妥協しよう。覚えればいい。

さて・・・。


「あの・・・すみません、ここはどこでしょうか。」

質問してみる。まあここがどこか分かったところで俺にはあまり意味をなさないが、場所の名前を知っておいても損はないだろう。


「えっと・・・ここは東の国の端にある町、アレスのすぐ近くに広がる”アレス草原”です。」

と、丁寧に答えてくれた。

”東の国”の端にある町、アレスの近くに広がるアレス草原らしい。

東の国・・・これは推測だが、これは正確な名称ではなく、アバウトな名称なのだろう。東の国にいくつか小さな国があって、東の国と呼んでいるのだろうか。

彼女の服装や荷物からして、おそらく旅をしているのだろう。

まあ情報をくれた少女に感謝しなくては。


「ありがとうございます・・・えっと・・・。」

しまったな・・・そういえば名前を聞いていなかった。

ついでに自分も名乗っていなかった・・・orz。


「あ、自己紹介がまだでしたね。私の名前は”メリア・グランベリー”。各地の遺跡や迷宮を巡りながら、魔術の修業をしています。」

この世界には遺跡や迷宮があるのか。

魔術の修業ということは、魔法使い・・・というよりは魔術師というところか。随分可愛らしい魔術師だ。

おっと、自分も名乗らなければ・・・。


「俺は・・・・・・。」

名前を告げようとしたのを押し止まった・・・。ツバサ・・・そう名乗るだけなのだが、せっかくの異世界での新生活。どうせなら向こうの世界とは違う名前、異世界の住人っぽい名前を名乗ってもいいのではないか・・・。ではなんと名乗ろうか・・・。クリテ○ウス・・・いやなんであのカードゲームのドラゴンなんだ・・・。シス・・・システィウス・・・。うん、これでいい。システィウス・バードとでも名乗るか。

バードは名前がツバサであるところから鳥を連想し、当てた。


「俺は”システィウス・バード”・・・呼びにくければ”システィ”とでも呼んでください。」

俺はそう名乗った。厨二臭い名前だが、異世界なんだ、こういう感じの名前で名乗ったっていいだろう、知り合いもいないのだから。


「システィ・・・ですね。私のことはメリアと呼んでください。

 ・・・そういえば、システィはなんでこんなところに寝てたんですか?」

おっと・・・これは返答に困るな・・・。なぜなら俺も何故、ここで自分が寝ていたかわからない。ここへ送り込んだのはユメガミだ。俺は異世界から来たのだ。素直に異世界転移の到着先がここだった、と言えばいいのだろうか。う~ん、それ以外答え様がないし、これでいいか。


「えっと・・・信じてもらえるかわかりませんが、俺、異世界人で。転移先がたまたまここだっただけです。寝ていたのは、たぶん転移前に寝ていたからだと思います・・・。」

素直に答えた。何も嘘はついちゃいない。うん。

ちなみにメリアは・・・「・・・えっ?」と目を丸くしている。そりゃそうだ、異世界から来ました~なんて、普通は信じないだろう。


「え~っと、異世界から・・・えっ?・・・ちょっと待ってください、整理します。」

彼女はそういって、頭を悩ませている。というか追いついていないのだろう。

彼女は時折、俺の方を見ては、また悩み、それを繰り返し2、3分くらいして・・・。


「・・・わかりました。異世界から来たというのはとりあえず信じましょう。その変わった服装とその服に書かれている文字がこの世界にない文字だということで、信じます。」

あれま、あっさり信じてくれた。逆にこちらが混乱する。


「え~っと、この世界って異世界からくるとかって珍しいことではないんですか?」

聞いてみた。


「私は異世界から来たという話や噂は聞いたことがないですね、なので半信半疑ではありますが、嘘を言っているようには思えませんし、信じることにします。」

どうやらこういうことは今までに事例がないらしい。まあなんであれ、信じてくれたのだ。話は進めやすい。


「信じてもらえてよかったです・・・それでメリアさん。」

ちょっとあることを聞いてみようと話しかけるが・・・。


「”さん”はいいですよ。普通にメリアで。あとそんな硬い喋り方じゃなくても大丈夫です。普段はそういう喋り方ではないようですし。」

なぜいつもの喋り方がこうでないとわかったのか・・・なんか発音変だったかな?いやそれとも顔とか・・・?いやそれはないな。きっとニュアンスが違うんだろう。


「じゃあメリア、いくつか聞きたいんだが、今メリアは遺跡とか、迷宮を巡る旅をしてるんだよな?」

遺跡とかを巡っている。旅をしているということは、この世界を色々見て回る機会が多いことだろう。であれば、自分一人でどこかへ行くより、メリアについて行った方がリスクは低そうなのだ。一緒に旅をさせてもらえるように頼んでみるのもありだろう。


「えぇ、遺跡や迷宮には魔術を行う際の魔石マセキや、お宝とかがあったりするので、魔術師としても旅をしている私としても、メリットはあります。デメリットとしてはもちろん危険が多いことですね。迷宮には罠があったり、旅の途中に盗賊に襲われたり、魔獣に襲われたり・・・危険は様々です。でもそういう危険も魔術の鍛錬を積むうえでも経験しておく必要もあって、この旅をしています。」

ほう、魔石とな?魔術のアイテム。そういえば俺にもユメガミ曰く魔力はこの世界へ転移する際与えられるとかなんとか・・・魔術を教えてくれと頼み込むのもこの先のことを考えても悪くない。

ただ、一方的にこっちから頼み込んでもあちらが了承するかどうか・・・最悪断られても、最初の町までついてっていいかと頼んで、そこから自力でやっていけばいい。


「じゃあ一つ、二つほどお願いがあるんだが・・・いいかな?」

恐る恐る聞いてみる。


「なんでしょう、私にできる範囲であれば。」

それを聞いて、俺は一つ深呼吸をして、そのお願いを言う。


「まず、一つ目のお願いなんだが、俺もその旅について行ってはいけないだろうか。異世界から来た俺は、この世界のことも何も知らないし、足手まといだと思うけど、生憎俺には宛てもない。そこで、もう一つのお願いだ。旅についていく中で、俺に魔術を教えてほしい。メリアには負担を掛けるようなお願いばっかりするようで悪いけど。でもいま頼れる人がメリアしかいない。魔術を覚えれば、微力ながらだけど、メリアの力になれるよう頑張る。だから、お願いします。俺も連れていってください。」

俺は頭を下げ、頼んだ・・・。

こんな必死に誰かに何かを頼んだのは、初めてかもしれない。でも俺には彼女しかいま頼るしかない。

放り出されても仕方ないようなお願いばかりだ。了承してくれる可能性も低い。でも頼むしかなかった。

非情に情けないことだけど、俺にはいま、これしかできない。

彼女はしばらく無言で考えている・・・。やはり、こんなことをお願いをされてしまうと思っていなかったのだろう。

しばらくして、彼女は口を開いた。


「・・・危険ですよ?迷宮も遺跡も。それでも行きますか?」

真剣な眼差しで聞いてくる。

危険?承知の上で頼んでいる。死んでしまったらそこまでだったってことだ。


「もちろん、危険は承知の上だ。メリアにも迷惑をかけるかもしれない。でもそれでも異世界に来たばかりの俺がこの世界を知るいい機会だと思う。魔術も覚えることができれば、少しは役に立つはずだと思ってる。」

真剣に返す。もちろん魔術を覚えていなくとも、俺は助力になるつもりだ。この世界の知識がない俺が何の役にアツのかなんてたかが知れてるが、何もしないよりはいい。ないよりはいいのだ。


「・・・わかりました・・・。私も異世界から来たばかりで放っておくのも気が引けます。一緒に行きましょう。魔術に関しては私ができるかぎり教えます。システィの努力次第です。」

了承してくれた。俺は安堵した。これで今後することも決まった。

メリアにはいつかこの恩を返そう。いつになるかわからないけど・・・。この世界に来ると望んだときにこうなることは覚悟の上だった。半信半疑だったけど。

でも、これからなんとかなりそうだ。


「これからよろしくお願いします、メリア先生。足手まといになるかもしれませんが、そうならないよう頑張ります。」

また深々と、頼み込むように頭を下げた。


「頭を上げてください。あの、先生はやめてください!恥ずかしいので。あと普通に喋ってください。」

と、少々顔を赤くしながら、慌てている。可愛いな、こういう反応。

まあなにはともあれ・・・。


「じゃあ改めて・・・これからよろしく、メリア。」

と、俺は彼女に握手を求めるように前に手を出す。


「はい、こちらこそ、よろしくお願いします、システィ。長旅になると思いますが、頑張りましょう。」

笑顔でそう言って、俺の手を握り、握手を交わした。一瞬ドキっとしてしまった・・・しっかりしろ俺。


まあともかく、これが俺の異世界での第一歩だ・・・。



風が吹き、木が揺らぎ、草原に咲いてる花が揺らぎ、俺に「ようこそ!」と告げている気がした・・・。


はい、今回はこの世界の技術、魔術の説明回でした。あまり面白くない話がここしばらく続きそうです(汗

なるべく面白くできるよう頑張ります。一応見込みでは魔術は『その③』くらいまでの予定です。そこからまた話が変わる予定です。なのでしばらくは、この世界の説明みたいな話が多くなると思いますので、お付き合いいただけたらと思います。

あと、今回の魔術や魔法の見解はあくまで僕個人のものですので、そこはご理解いただきたいと思います。


では、また第三話『魔術ーその②』でお会いしましょう。


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