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プロローグ『夢』
明けない夜はないと、誰かが言った。
いつになったら俺の夜は明けるのだろうかと聞いても帰って来る返事はない。夜はいつか勝手に去っていくものであり、いつかはわからないらしい。それとも、朝が勝手に来るのだろうか。そのうちのどちらかが闇を晴らすというのならば、どちらでもいい。来るなり、行くなりしてくれ。それも、できるだけはやく。
こうして祈っても、来ることも行くこともしない。ずっと状況は変わらない。こうして俺がとどまっていることが夜が長い理由なのだろうか。光というものは、光に向かって歩き続けた人間の特権なのだろうか。そんなバカな。そんなことはありえないと、ただ否定する。
闇というものが光を知った人間にのみ認識できるのならば、心の底から思う。
――光がささなければよかったのに
こうして俺は闇の中で手を伸ばす。その手はどこまでも伸びるような錯覚もし、同時にどこまでも闇が広がる認識を起こした。それを知った俺は足を止めて、膝を付く。
そうして俺は夢の中でも足を止めた。
こんな夢を、毎日見た。