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月下の闘い  作者: マサ
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世界の王

街灯すらない暗い世界で赤黒い月の下を人間は歩いていく。

そう。赤黒い月の下を。だ

いつからかこの世界はいつものような月ではなくこの赤黒い月が昇るようになった。さらにそれに関連してか、一部の人に月型の痣が体のどこかに現れる人間も出現した。


僕もその内のひとりだった。僕の名前は時駆速人ときかけはやと。僕には人に言えない秘密が存在する。それは僕が動かすこの金色の人型の存在だ。これは通常ほかの人間には見えない。見える人間もいたが(全員月型の痣の持ち主だった)。見えないが質量はある。便利かと思うが大きい上にコイツがダメージをくらうと俺にもフィードバックがくるのだ。おいそれと使うわけには行かなかった。力は有るけど、使う気にはなれなかった。

だからこれは僕の秘密。僕は一生この能力を隠し続けるつもりで居た。

そう、あの日までは。







無感動に生き、怠惰に学校で過ごし、刺激のない放課後を過ごし、帰り道を歩いていた。

今日も月が赤黒い。血がこびりついているように。

そういえば、この巨人も赤黒い月が出現した当たりに出現したんだよな…

丁度五年前のあの日、月が赤黒く、一際不気味に光を放ったあの日に僕はこの金色の巨人を手に入れた。首筋に浮かんだ月型の痣と一緒に。

望んだのではなく、まるで当然のように、決定事項のように、僕の目の前に現れた。最初は怖かった。なんせ12歳、まだ小学六年生の頃に発現してしまったから。

その事を親に話して、精神病院に連れていかれそうな時もあった。

傷つけ、傷付けられるのが怖くてひとりぼっちになってしまったときもあった。

そんな僕もあれから五年たって高校二年となった。

僕はこの能力のせいで友を失い、家族を信頼できなくなり、人を信じるのをやめた。

そんな忌々しい思いでの集大成、赤黒い月と金色の巨人の出現から丸五年。

さらに僕の人生は混迷を極めることとなる。


あの日、赤黒い月の出現から五年たったあの日、ぼくたち月型の痣を持つ人間の運命は大きく狂ったんだ

『聞こえるかい?月型の痣を持つ諸君。いや、新人類のみなさん。君達は五年前の今日、なにか不思議な力に目覚めたはずだ。』


いきなり、この声が頭に響いてきて


『それは、君達が特別な人間であるという証だ!誇って良い!そして、君達にはある試練を達成しなければならない!』


誇って良い?こんな力が?試練?これ以上僕に苦しめって?



『それは君達の為の自身を守るための能力を使い、この世界の王であると証明する事!』


なにが王だ...なにが自分守るための力だ...この力のせいで僕はどれだけ傷ついたと思ってるんだ!


『王の力の証明...それはガーディアン同士の闘い!負けた雑魚は死に!勝った優良種は生き残る!その闘争が優劣を分ける!総勢10000人そして生き残った10人に王の資格を与える!神である我の言葉に従えばおまえ達はこの世を支配できる!』


王か...なってやるよ。

なって神といったお前を...殺す。



その日から僕は神殺しを目標とした。




次の日



朝、起きたら早速昨日の話を聞いた奴らに動きがあったらしい。


『朝のニュースです。昨日の夜から通り魔事件が多発しております。死亡者も出ています。危険ですので夜道に出歩かないよう気をつけてください。凶器などには不明な点も多く...』


...早いな、コレが昨日の神が言ったような揚力者同士の争いというなら、いつ自分が狙われるか分からないって事か。気をつけることにしよう



今日は学校行かない方がいいかもな、学校内に能力者がいるかも知れない。危険だろう。ちなみに僕は一人暮らしだ、両親が僕の能力を怖れ、僕を隔離している。兄妹もいる、両親と暮らしてるけど。だから危険は僕だけにしか来ない。学校に行って取り返しのつかないことになるよりは家でじっとした方が良いだろう



そんな事を考え、休む連絡を入れようとしたとき。大きな音が後ろからなった


まさかな...流石に早すぎるだろう...



「見つけたどぉ、オラと同じ月型の痣を持つ人間!」


そこにはなんか、肉だるま?うん、肉だるまだな。そんな見た目の奴が家の中でどや顔していた。

こいつ、壁破壊して入ってきたな...やめてくれよ...入ってくるのは良いが派手になったら事件になるし、修理代がかかる。


「オラの能力は皮膚の硬化だど、お前の能力はなんだぁ?」


うわー、自分から言うとか...でも、なるほど皮膚を硬化。その硬さを利用して壁を壊したのか...



「情報ありがとよ、僕の能力か.........だれがいうかボケ、お前に教える義務は無いし、わざわざ教えてやるほど優しくない」


それにこの王を決める戦争で情報というのは大切な武器になる。なんせ敵の情報が体のどこかにある月の痣しかないんだ。


「勝手にバラしたお前がバカって事だ。それにお前はここで殺す。そんな奴に話しても時間の無駄だ」


「生意気だど!だけどオラもお前を殺すつもりで居るからやらしてもら...ぐびゃぁ!」


しゃべってる時間も惜しかったので勝手に巨人で殴り抜けさせてもらった。だけど今の感覚...


「酷いど!硬化してなかったら死んでだど!だけど、お前の能力、その巨人だど?」


やっぱり、相当堅い。岩みたいだった、いや、この巨人なら岩でも砕こうと思ったら砕けるんだけど...人体が石化してるって意外と面倒だな、殴っても体が吹っ飛ばされて力が逃げる。それに僕の能力もバレてしまった、不意打ちはもう無理だな。


「いくど!アルマジロアタックー!」


名前の通りアルマジロのように体を丸めて転がって攻撃して来た。それにしてもなんかださいな、技名か?変えた方がいいぞ。こんなこと言ってるのは良いがかなりこの技キツい。岩みたいな肉だるまボディを転がしてくるから当たったら恐らく大ダメージを負う。だが殴っても吹っ飛ぶだけで対したダメージを望めない、多分、受け止めるとしても、失敗したら終わり。

さーてどうしようかな...


「オラオラオラ、死ぬどぉぉぉ!」


とりあえず避けないとなぁ。


速い!避けられない?


その瞬間僕は確かに感じたんだ。相手の動きが遅くなる瞬間を。


「動きが遅く?避けられる!」


避けられた。なんだあの感覚は?相手が遅くなった?

一発目は避けられた...だけど、次はかわせないだろう。このあとどうすればいい?


「もう一発いくど!」


くっ、僕は...僕は...神を殺すまで負けられないんだよ!


ーー力が、ほしいのかい?


あぁ、欲しい!


ーーなら私が力を貸してあげるよ。


貸すんじゃない、寄越せ!


ーー今は、無理だね。そんな曇った目じゃね


なら、力を貸すで良いから速く力をよこせ!


ーーなら僕の名を呼ぶんだ...


おまえの名前なんか知らない!


ーー君は知ってるはずだ。私の名を、知らなくても心の奥底で知っている。


なにを...?速くしてくれ!僕が死んじゃうだろう!?


ーーしょうがないな、こう呼ぶと良い。私の名は...



攻撃が当たる寸前僕はその名を叫んだ


「『速度の繰者スピードコントローラー!』」


その瞬間黄金の巨人の姿が変わる。大きさが僕と同じ大きさとなり、色も白となった。



うわー、白いボディってあんま好きじゃないなー


『感傷に浸ってる暇はない。アイツを倒すぞ』


「え?喋った!?」


『当たり前だ、私の仮の名とはいえ私の名で能力を解放させたのだ。喋れるさ。それより加速してるとはいえそろそろ当たるぞ?』


「え?おわっ!?」


あの巨体が目の前にあった。だがその動きは遅い。遅くなってるのか?


『遅くなってるのではない、こちらが加速している。止まってるわけではないので当たるぞ』


「まじかよ!」


急いで回避した、すぐに殴ろうと近づき、殴ろうとするが


『マスターよ、制限時間終了だ』


突然、男のスピードが元に戻った。


「どういう事だよ!」


『加速にも制限はある、今のマスターの力では加速した世界で一分。こちらの世界で十秒が良いところだ』


ならもう一度...!


『無理だ、一度使ったら数分は使えない』


な...!それじゃピンチじゃないか!


『だから言ったろう?まぁ、本当にピンチになったら私が受け止めてやるさ、それより見たまえ』



いや、お前が受け止めるダメージって僕にも入るんだけど...


奴が指さす方を見ればアイツが壁に猛スピードで突っ込むところだった


あ、アイツ壁に激突するぞ、アレ。


案の定凄い速度で激突した。お、壁にめり込んで抜けなくなって、もがいてる


「痛いど!すごい痛いど!」


ずいぶん痛がってるな…ん?痛がってる?壁にめり込んでからすごい痛そうだ。

あ、さっきまで殴られたら吹っ飛んで力を逃がすことでダメージがなかなか入らなかった。

だが、今はそれも出来ない。

なるほどそう言うことか


「お前のその状態で僕の巨人で殴ったら力が逃げなくてさぞかし痛いんだろうな…」


「や、やめるど、そんな事しない方が良いど」


『巨人ではなくせめて繰者と呼んで欲しいのだが...』


うるさい、話の腰をおるな


「安心しろお前は殺す気はない」


さっきと言ってること違うって?いいんだよ。殺すのはやはり寝覚めが悪いし、まぁ、二度と来ないよう痛めつけるがな!


「二度と来るなよ...行くぞ。繰者。加速だ。もう入れるだろ?」


『あぁ、もちろんだ。君が加速と言えば可能な状態なら入れる。』


そりゃ便利なことで。


「行くぞ。加速」


またあの世界へと僕は入っていく。


「この世界で繰者の力でラッシュを入れる。二度と来ないようにな...やれ」


『了解した。君は敵だが君にこれから幸福が有らんことを。』


ラッシュが入る音が聞こえる




加速が終わった後に残っていたのはぼろ雑巾のようになっている男の姿だった...


「はぁ、面倒だけど病院には連れて行かないとな...」


『それをお勧めする。彼のおかげで私は覚醒できたのだから』



確かにコイツのおかげで俺も狙われてるのをちゃんと自覚できたし。



これから繰者と二人あらゆる敵を倒す。そう誓う。



たけど住むところはどうしようかなぁ...敵がくる度直すのは経済的に厳しそうだ...ホテルにでも住むか?そうしよう

能力解説


黄金の巨人


五年前に発現した。速度の繰者覚醒前のパワーだけの巨人を出現させ攻撃する能力。特殊な能力がない代わりパワーが速度の繰者覚醒後より高い。


速度の繰者


時駆が命の危機を感じたとき繰者の声を聞き、巨人を覚醒させた姿

巨人は黄金色だが繰者は白色になり、小型化している。その分パワーは低くなったがスピードが増した。特殊能力として思考速度、身体速度などのあらゆる速度の加速を持っている。加速はおよそ倍率十倍。たった一分半の間しか加速できないがこの加速世界に入れる人間はいないため、一分間自由に動けるというのは絶大なアドバンテージとなっている



硬化


硬化と言ってたが実際は身体の構成物質を変える能力。だが固くすることしか考えなかったため。硬化させる能力にとどまっていた


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