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第一話


短い連載になってしまうと思いますが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです!


相変わらず素人全開ですが、どうか温かい目でよろしくお願いしますm(_ _)m

三月中旬。


もうすぐ高二か…。


つい一年前高校受験から解放されたばっかってのに、なんかもう大学受験の事を考えなきゃならない時期って感じだな。

それなりにいい大学に行きたいし。

時が経つのは早い。


ふうっと短いため息をついてから、教室を見回す。


友達同士で駄弁ってる奴、部活の準備で着替えてる奴、机に向かって本を読んでいる奴。

各々自分なりに放課後という時間を過ごしている。


俺はと言うと、所属している部活が今日は週に一度の定休日なので、特にする事もなくぼーっと過ごしているのであった。

席に着いたまま頬杖をつき、なんとなく窓の外を眺めたり、人間観察をしている次第だ。


ここでざっと自己紹介をしておこうと思う。


俺の名前は、冴島隆史さえじまたかふみ

高校一年、まぁもうすぐ二年になるけど。

バスケ部所属で、上手いか下手かって言うと…面倒いな、普通普通。

成績は、悪くはない。

彼女はいない。

まぁ俺も男だし欲しいとは思うけど、好きな奴も居ないしな。

なんか冒頭の描写的に、友達居ないようにも思えるけど居るから。ちゃんと。

好きな食べ物は…餃子?

あとは…あ、えっとO型の、五月十二日産まれ。


さて、こんな感じっす。


あー…、する事ねぇ。

帰ろ。


わかってるわかってる。

僕は気まぐれです。


さてと。リュックを持って…



「冴島っ!」


帰るか。


「ちょっ!なに、シカトっ⁉」


ん?


おお、「」あんじゃん。

俺話しかけられてんじゃん。


「女の子をシカトとか、あり得ないんだけどっ!」


振り返ると、同じクラスにして隣の席の、金森杏奈かなもりあんなが仁王立ちして俺を睨みつけていた。


「…お前女だったの?」


「はっ⁉ふざけんじゃないわよ!あんた目大丈夫⁉」


「冗談をそんなに本気で返すなよ。」


「わかりずらっ!冴島、鏡見たことある?あんたって基本無表情なの!冗談か本気かわかんない!」


俺と金森がそんな会話をしていると、周りは『またか』みたいな顔で笑う。


あまり女子と関わりを持たない俺だが、金森だけはまぁ仲がいい類だ。

きっかけは、一学期にクジでクラス委員長と副委員長になったことだ。


以来俺達は、ふざけた喧嘩 (金森が一方的に怒っているだけだが)をする仲だ。


「で?何か用?」


俺がそう声をかけると、金森は急に顔を赤くした。


「どうした?」


もう一度声をかける。

クラスの連中は、またそれぞれでの活動を始めていた。


「あっ、やっ、えっと…」


金森は顔を赤くしたまま、我に帰ったように慌て出した。

こいつは何がしたいんだろう。


俺が首を傾げていると、何やらきょろきょろ辺りを見回してから、キッとこちらに向き直って。


「これっ‼」


????


コピー用紙だろうか、白い紙を差し出してきた。


「この紙に、ぶどうの絵を描きなさいっ!」


???????


「いや待て金森。悪いが俺にはお前が何をしたいのかがさっぱりわからない。」


「いーからっ‼‼」


何故お前が怒る…。


金森の思惑が掴めないまま、仕方なく俺は渡された紙にぶどうの絵を描いた。

俺が絵を描いている間、奴は絶えず周りをきょろきょろ見ている。


なんだ?この状況が見られたらまずいのか?


「ほらよ。」


絵は完成し、金森に紙を手渡す。


瞬間、ほんの少し金森が優しい笑顔を見せた気がした。

が、すぐにいつもの怒り顏に戻り。


「じゃあはい!これ!」


今度は別の白い紙を渡してきた。

これには既にぶどうの絵が描いてある。


「この紙を、新学期に返してっ!超大事な物だから、無くしたらただじゃおかないわよっ!」


だから何故お前が怒る⁉


そう突っ込みたいところだが、長くなりそうなので堪える。


「わかったよ。」


仕方ない。これは無くさないようにしよう。


「じゃっ!そーゆーことだから!」


いやごめん、どうゆうこと?


聞く暇も無く、金森はスクールバックを肩に下げ、ツカツカと教室から出て行った。


教室から出て、ドアを閉まったと思ったら、瞬時にもう一度ドアが開いて。


「絶対無くさないでよねっ‼」


ドアから顔だけ出し、そう吐き捨てて行った。


だからわかったって。


今度こそ金森が帰ったのを確認して、リュックを手に取る。


あいつ、何がしたかったんだろう。


そんなことを考えながらドアに手をかけた時、女子達の会話が聞こえてきた。


「紙切ったよー!」

「よし、じゃあぶどうの絵ね!」

「え?ぶどう描けばいいんだっけ?」


その声に俺は足を止めた。


見れば、いつも一緒にいる仲良し三人組!みたいな女子が、机を囲んで絵を描いている。


さっき俺がさせられたことじゃん。


「何してんの?」


俺は、仲良し三人組 (俺が今勝手に名付けた)の一人に声をかけた。


「おまじないだよ!」


「おまじない…?」


「うん!クラス替えで、クラスが一緒になれるおまじない。」


彼女は親切に教えてくれた。


「白い紙にぶどうの絵を描いて、同じクラスになりたい人と交換するの!クラス発表までとっとくと、同じクラスになれるんだって!」


ん?


んんんんんっっっっ⁉


…つまり?


「冴島くん?大丈夫?」


「あっ、ああ。大丈夫。ありがと。」


「いえいえ。バイバーイ!」


とりあえず廊下に出よう。


教室のドアを閉め、手に握っていた紙に視線を落とす。

真っ白な紙に、お世辞にも上手いとは言えない、絵心の欠片もないぶどうが描かれている。


そういや、あいつ美術苦手だっけ。


ぶどうの絵が描かれた紙を見ながら、珍しく赤面だった金森を思い出す。


「ぷっ。」


なんとなく一人で吹き出してしまった。


俺は、素直に。

素直にあいつが可愛いと思ってしまった。



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