第十七話 賑やかな宿 その1
宿屋は東通りのちょうど中央広場と東門の中間にあった
看板には分かりやすく、ベッドの絵が描かれている
「ん? いいにおいがする」
時間ももう日暮れだからか、夕食のにおいがあちこちでしはじめる
「こんなところもリアルに作られてるんだ...」
窓はすりガラスのようになっていて中の様子はうかがえない
しかし、賑やかな明るい声は聞こえてくる
「...よしっ 入ってみよ」
ーーーーーーーーーー
ロキャンダの宿屋
ーーーーーーーーーー
カランコロン
「! いらっしゃい! おひとり様かい?」
入ってすぐ声をかけてきたのは、恰幅の良い、明るく元気そうなおばちゃんだった
「はい あの... 私、宿屋って初めて利用するので...」
「そういうコトなら リリー! お客さんの案内頼むよ!」
「は~い 分かりました~」
そういって店の奥から出てきたのは...
「? ゆr」
「わぁぁぁ?!」
私は急いでその女の子に口をふさがれる
というか... 百合だよね? この反応も...
「まずは、名前 何にしたの?」(ぼそっ
「え? ツクモだけど」(ぼそっ
「まさかのまんま?! それ、本名ってここで言っちゃだめだからね」(ぼそっ
「分かった... それでゆr」
「リリー! ここではリリーだから!」
「それって英語にしただけじゃ...」
「本名のツクモよりはマシ!」
「あんたら、仲良しだねぇ 知り合いかい?」
「あ、ロキャンダさん まぁ同郷の友達ですね~」
「仲がいいのはいいコトだけど、仕事はちゃんとするんだよ いいね?」
「はい~ 分かりました~」
そしてロキャンダさんは宿の奥に行く
「それにしても、ツクモン、日中どこ行ってたのさ~! 噴水広場で待ってたのに~!」
「え? いた? 見かけなかった気がするけど...」
「えぇ~ .......... あ! チャンネル! チャンネルのコト忘れてた!」
「チャンネル? テレビの?」
「考え方は近いけどね~ プレイヤーの混雑を避けるために、ランダムにチャンネルが割り振られて、それぞれ同じだけど違うマップに飛ばされるんだよ~」
「なんとなくだけど分かった気がする」
「にしても、それならなんで今、会えてるのかな~ もしかしてツクモン、町の外行った?」
「え? 西の山に採取依頼に行ったけど...」
「多分それだね~ 町の出入りの時にチャンネルが再度割り振られて、帰ってきた時に偶然同じチャンネルになったんだよ」
「それなら今後も偶然一緒の時しか会えないってコト?」
「いんや、噴水広場の石碑に触ればチャンネルを選んで変えられるよ~ それに、ほい」
ーープレイヤー:リリー より、フレンド申請が届きました
ーー承認しますか?
ーーYES
ーーNO
「何これ?」
「フレンド登録 ゲーム内でもチャットできるから合流しやすいよ~」
「そういうコトなら」
ーー承認しました
「んじゃ、フレンド登録もできたし、この宿を案内するね~」




