第一話 プロローグ 高校でのひと時
「ねぇねぇツクモン、TSOって知ってる~?」
そう言って、前の座席から私、神山つくもに話しかけてきたのは、幼なじみの甲斐田百合だった
「てぃえすおー...? 何それ?」
百合曰く、
正式名称をTameStoryOnline、通称TSO
うたい文句は、【すべてのモンスターが仲間にできる?!】
そのキャッチコピーの通り、スライムから果てはドラゴンに至るまで全てのモンスターを仲間に出来るそうな
そして、異色なのは各フィールドにいるいわゆる【ボスモンスター】さえも仲間に出来るそう
文字通りの【すべて】らしい
発表当初はゲームバランスの崩壊が懸念されていたが、ベータテストが昨日終わり、世間の評判はおおむね【非常に高評価】だったらしい
「そのTSOがどうしたって言うの? まさか...」
「そう! ツクモンも一緒にやろうよ~」
「あんたねぇ この高校の入試の自己採点、どうだったのか忘れたの?」
「ぐぅ」
「それに、授業の最中もウトウトしてるし...」
「ぐぐぅ」
「それに入学してこの1か月、小テストの結果は...」
「ツクモン! そんな追い詰めなくたっていいじゃん!!」
「現実を言ってるだけよ 現実を」
「でもさ~ 息抜きも大事っていうか...」
「そっちがメインになっちゃしょうがないでしょ」
「うぅぅ...」
「それに、ゲームでしょ? 何か役に立つとも思えないし...」
「ふっふっふ それはどうかな~?」
どうもこのTSO、仲間にしたモンスターのAIを現実に引っ張ってきて、サポートAIの役割をしてくれるそう
「つまり...?」
「ゲームの外でも愛しいモンスと触れ合える!」
「余計、勉強に手がつかなくなるやつ!!」
「でも、触れ合ってる時間が多いから、それぞれのプレイヤーに合ったサポートをしてくれるって言ってたよ?」
「誰が?」
「運営さんが」
「ふ~ん」
「それに、ツクモンはあまりゲームしないけど、最近のVRゲームはすごいんだよ」
「と言うと?」
まずは、五感の再現性
これによって、現実ではアレルギー等で食べれない食品も食べることが出来たり、怪我を恐れず全力で身体を動かせるらしい
次に、時間加速
長時間の高倍速は脳への負担も大きいので法律で規制されているらしいが、数時間なら現実の1時間で24時間過ごせるそう
ちなみにTSOの通常時は、最大連続稼働時間が8時間の倍速率3倍、つまりゲーム内で最長1日過ごせると...
最後に、運営AI
これを実装していないゲームもあるらしいが、TSOは実装している
何でも、人間の運営の筋書き通り以外に、プレイヤーの発想と工夫次第で文字通り「なんでも」出来るようになる
「それってゲームバランス大丈夫なの? ずるがしこい人が有利な気もするけど」
「TSOはね~ 運営AIの権限を7つに分けて、それぞれにAIを割り振って独自に判断、最終的には多数決で決めるみたいだよ~」
「まぁ、そうしないと不平等か」
「でさ、話は戻るんだけど、ツクモンもやらない? 正式スタート、今週末なんだよ」
「でもさ、肝心のVRヘッド、私持ってないよ? というコトでこの話は終わr...」
「待った!!」
「ちょっと! 耳元で大声出さないでよね!」
「あ、ごめんツクモン」
「いいけどさ で、何か異議あるの?」
「実は...」
なんと百合は昨日終わったベータテストの参加者だった
そして、ベータテストでの功績(バグの発見や進捗の進み)によって、抽選ポイントが与えられ、その抽選の結果......
「なんと、最新VRヘッドが当たっちゃいました~」
「あんた、昔からそういうところ、強運よね」
「でもでも~ 私のVRヘッド、私用にカスタマイズしまくりで、新しいのが来ても使わないんだよ」
「あら、もったいない」
「そこで! ツクモンにプレゼントフォーユー」
「やっと百合の魂胆が分かったよ いいわ 暇な時間くらいでいいならやっても」
「わ~い!」
ーーこうして、私は長い付き合いとなるTSOを始める決意をしたのだった




