表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/18

第13話「春の撮影会」

春の朝。

ふたばは鏡の前で髪を軽く整え、リップを塗った。

今日はメゾン・ド・ラパンの春限定スイーツ“ストロベリー・クラウド”の撮影会。


「みつば、今日もかわいく撮ってもらえるようにがんばってくるね」

「にゃ〜」

黒猫のみつばはあくびをしながら尻尾を揺らす。

ふたばは笑い、バッグにハンカチとブラシを入れて家を出た。


新宿のお店に着くと、いつもより少しにぎやかだった。

テーブルの上には春の飾りつけ。

桜の花びらが入ったガラスの器と、ピンクのクロス。


「ふたばちゃん、おはよう!」

厨房から顔を出したのは、パティシエの香澄。

「今日の撮影用スイーツ、朝から仕上げてるのよ。

 いつもより“映える”ように、リボンを多めに飾ったの」


「わぁ〜、香澄さんのスイーツ、まるで本物の桜みたいです!」

「ありがとう。今日はふたばちゃんたちがメインだから、

お菓子たちも緊張してるかもね」


ふたばは笑いながらエプロンを着け、鏡の前でリボンを結んだ。

「よし、今日も“笑顔の魔法”でがんばります!」


撮影スタッフが機材を並べる中、

お店の扉が開いて、外の光がふわりと差し込む。


「ふたば〜!」

手を振っているのは、親友の水野しずく。

「えっ、しずく!?どうしてここに!」

「呼ばれたの!ロリィタ代表で“お店と春”の撮影に参加するんだって!」

「すごい! 本当に夢みたい!」


しずくは淡いミントグリーンのロリィタドレス姿。

フリルが風に揺れて、店内が一気に春めいた。


撮影が始まる。

ふたばとほのかは、桜色のスイーツをテーブルに並べる。

香澄が最後の飾りを丁寧に添えて微笑んだ。


「苺ソースは光に弱いから、撮る直前にね」

「はいっ、香澄さん!」


「おかえりなさいませ、ご主人さま♡」

カメラのシャッター音が軽やかに響く。

その横で、しずくがロリィタ服でお茶を持ち、ふんわりと笑った。


ふたばと目が合う。

お互いに違う世界の服を着ているけど、

“かわいい”という心は同じだった。


休憩時間。

テーブルの端で、香澄がいれた紅茶の香りが漂う。

「ふたばちゃん、いい表情してたわね。

春の写真って、やわらかい笑顔が一番映えるのよ」

「ありがとうございます。香澄さんのスイーツのおかげです」

「ううん。みんなで作った“春”だから、こんなに素敵なの」


しずくがカメラを構えて言った。

「はい、次はスタッフさんも入ってくださ〜い!」

「えっ、わたしも!?」と香澄が笑いながら手を振る。

シャッターの音がまた響く。


撮影が終わるころ、外の桜並木が夕日に染まり始めていた。

お店の前で、ふたばはしずくと香澄に頭を下げた。

「今日は本当にありがとうございました!」

「おつかれさま、ふたばちゃん。

春って、頑張る子の味方をする季節ね」と香澄。

「ほんとそれ!」としずくが笑う。


ふたばは手に持ったカメラの画面を見つめる。

そこには、笑顔の仲間たちと、桜色のスイーツ。


「“かわいい”って、やっぱり人の心を明るくするんだね」


春の風がそっと髪を揺らす。

その瞬間を、しずくがまたカメラに収めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ