表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/16

第九章 ──心の奥にある檻

ふと気づくと、意識の中に部屋があった。

柔らかい布でできた檻のような、四角い空間。中には、自分と同じような「人間の姿をした何か」が、何人も座っていた。


「……誰?」


その一人が、ユウに顔を向けた。少年だった。どこか自分に似ている。

目が虚ろで、口は何も言わず、ただじっとこちらを見つめている。


「お前も……?」


「……うん。僕はタカシ。猫の着ぐるみ刑で……ここに来た」


彼はゆっくりと答える。もう言葉を話すのも辛そうだった。


「でも……もうすぐ僕は、この部屋の中からも消える。外にいる“猫”が本当の僕になって、ここにいる意識は……泡みたいに、ふっと消えるんだ」


「そんな……!」


「逃げられない。でも……まだ君は、声を出せた。名前も思い出せてる。だから……もしかしたら、君だけは……」


言いかけた彼の姿が、少しずつ透けていく。

まるで風船がしぼむように、彼の輪郭はぼやけ、やがてふわりと、何もない空気に溶けていった。


ユウは立ち上がる。


「……消えない。僕は、消えたくない。絶対に!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ