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第二章 ──変身手続き
「ご協力いただきありがとうございます」
執行官と呼ばれる白いスーツの男が、無表情にユウへ説明する。
「これより、あなたの刑を執行します。こちらの着ぐるみにお入りください」
執行室は白く無機質で、中央にはあきらかに子犬を模した着ぐるみが置かれていた。
丸く、もふもふした耳。ふっくらした四肢。しっぽまでついていた。
「いや、これを……着るって?」
「はい。これは単なる着ぐるみではありません。特殊繊維で構成されており、着用者の生体反応を読み取り、自律的に密着し、適応します。そして──24時間の間、外すことはできません」
「……狂ってるだろ……」
だが抵抗の余地はなかった。命じられるままに、ユウはその着ぐるみに足を通し、腕を入れ、頭をすっぽりと覆われた。
瞬間、**「キュイーン」**という微細な機械音が響き、全身が圧迫されるような感覚とともに、ふわりとした温かさに包まれた。
「くっ……! うわっ……」
重くない。むしろ軽い。だが、心のどこかが強制的に“愛らしさ”に染まっていくのが分かった。