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第十三章 ── 刑のその先へ
病院のベッドの上、ユウは目を覚ました。
「……おかえり、ユウ」
医師がそう告げる。
執行ミスとして処理された「子犬の着ぐるみ刑」は、技術的問題としてニュースになった。
でもユウは語らなかった。
あの中で何を見たのか。どれほどの恐怖と、どれほどの安らぎがあったのか。
彼はただ、そっと呟いた。
「……もう、怒鳴ったりしない。黙って閉じ込めたりもしない。ちゃんと……伝える」
あのふわふわの感触。
撫でられるたびに感じた、ぬくもり。
それがただの罰ではなく、“誰かに必要とされる感覚”だったことを、ユウは忘れていなかった。