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ひと爪。いつもの日常。

 はじめまして。今時、竜の物語は中二病とか言われるとは思いますが。書いてみようと思います。よろしくお願いいたします。




 数千年か、はたまた数万年か。大きな大きな、100人が手を繋いで幹を囲むほどと、それに比例する近場の山と並行する高さ、そそり立つ樹冠は濃いめの影を作り何もかも飲み込むよう広がっていて怖く感じると思いきや、何故か温かく包み込まれるように気持ちになり安心する。古い古い樹木なのに周りの若い木々に負けない緑葉が目を保養してくれるのも1つの理由なのだろうか。



「リュウちゃん。」


 樹木をじっとずっと眺めている男の子に声を掛ける女性の声。


「リュウちゃん。そりそろ稽古の時間でしょう? 時間は守らないといけないよう?」


 女性の声に気づく『リュウ』と呼ばれる男の子。そうだった! っと思い出し男の子は慌てて走り出そうとする。


「はい。稽古の剣。取りに行ってたら遅刻だからね。しょうがないったらありゃぁしないねぇ。」


 女性はどうやら木刀を握っていたようで、その木刀を男の子に投げ渡す。渡すと言ったが男の子はどうやら受け取り失敗したようで額に柄がゴツンと当たってしまった。痛いのを我慢し、涙を出さないよう男の子は目的の場へと走り出した。


「稽古が終わったら今度はあたしと魔法の勉強だよ!」


 女性が問うと、男の子は『わかった!』っと良い返事をする。


「行ってくるね! おかあさん!」


 どうやら女性は男の子の母親らしい。


 軽く右腕を振り見送る彼女。ボソッと独り言を吐いた。


「…………本当にあたしの子だったら人の姿じゃあないよ。」


 彼女の外見は人ではないのだ。いや、上半身は人の女性そのものだが、下半身は蛇なのだ。種族名ではラミア、もしくはエキドナと呼ばれるらしい。魔法使いがよく被るフードで顔を隠すようにしている彼女。それでも彼女の容姿はセクシーであり大人のお姉さんという印象だ。


「……帰ってくるまでちょっと一杯飲むかねぇ」


 ……酒が大好きのようだ。




 リュウという男の子は蛇女ラミアと生活で必要でよくお世話なる村から少し離れた洞窟で一緒に暮らしている。蛇女を母親と思い、言う事を素直に聞いている。


 今日こんにちも村で稽古があるのでサボらずに学んでいた。魔物や怪物がいる世界だから守る術が絶対必要だ。余談だが、蛇女のとある事象によって村や住処などには魔物や怪物が近寄れず平和でいる。村人達はその事を知っているが満心してはいない。


「ねえ、今度はあのある意味有名な息子さんがいなくなったんだって。もしかして失踪したあの娘さんと駆け落ちだったりしてね。」


 リュウが途中で聞く大人達の会話。子供だから駆け落ちの意味は分からないけど、もしかしたら魔物に食べられたのか? そうならないように稽古が必要なんだろうな、と考えながら稽古に励みに行く。


 稽古は準備体操、基礎体力作り、素振り、攻防駆け引き、対人練習。対人戦は木刀などで当てられると痛みを貰えるので大抵の子が嫌がる練習だ。


「痛いのは生きてる証拠。そしてスキと弱点。避けるか払うかで回避! だけども魔物がそのスキを付けば痛いでは済まない! 今の痛みをしっかりと覚えて本当の戦闘ではしっかりと守りなさい!」


 稽古の先生はリュウ達に訴える。活ともしもの時に生きて欲しいと願いを込めて。



「リュウ君。この後お祈りに行く?」


 稽古が終わり、後片づけと汗の処理をしている間に同学年の女子がリュウに声を掛ける。


「リュウはどうせ行かないぜ。コイツ、信じているのはドラゴンの悪い神様だからな。」


 不定的と嫌味含む言葉を発する同学年男子。


「何よ! 私はリュウ君に聞いているの! ねえ、リュウ君、一緒に行かない?」


 いっー! っと歯を見せる口で男子に『あっち行って!』と顔を見せて、リュウにはケロッと少し照れた笑顔の表情で聞く。


「ごめんね。すぐお母さんの所に帰らないといけないから。」


「……そっか。じゃあ、バイバイ。また明日ね。」


 悲し気な唇をグッと締め、すぐに笑ってゆっくりと手振りし、女子は稽古場から消えてゆく。リュウも女子と同じ気持ちと後悔もあって、女子がいなくなったのを確認し、足を蛇女の所へ運び始める。


 



 稽古後の子供達は教会へと向かいお祈りをする。強制ではないが大人も子供も大半は出向く。蛇女とリュウを除いて。


 リュウは蛇女から聞き飽きるだけ耳に入れられていた。世界の歴史を。


 大昔から竜は世界を守っていた。悪い竜もいたけれど戦ってやっつけていた。やっつけられる前に悪い竜は悪い神様を誕生させて世界を壊そうとした。竜と悪い神様は戦って戦って、悪い神様をやっつけた。けれど、悪い神様は竜を滅ぼそうと考えて魔物を沢山作った。魔物は悪い神様がいなくなった後も竜を襲い続け、やがて竜はこの世界から消えた。


『リュウちゃん。消えたっと言っても、やがて竜は復活するのさ。世界を守る為に必ずにね。』


 蛇女の締めくくるいつもの最後の一言。それを心に刻んでいるリュウ。その為どうしても教会でお祈りをするというのを拒んだ。お祈りをする相手が竜ならまだしも、三目を持つ怪物のような銅像ある教会は反射的に嫌悪感を覚えたのだ。


 …………ちなみに子供達……村全体の主張は逆だった。世界を滅ぼそうとしたのは竜であり、それを制したのは三目の神様だと。


 2人は村人達に陰で異端者扱いにされている。だからといってイジメや不平等な行動はない。それは蛇女が村にいろいろと貢献な行動をしているからだ。子供同士はからかいはするもののそれくらいだけ。しかしこの村以外ではけっして竜を信仰していると口に出してはいけないだろう。





「はい。それじゃあ、はじめ!」


 自分の家、いや洞窟に真っ直ぐ帰宅すると蛇女と魔法の練習。魔法は身体内にある気を放出し、それを維持させる。蛇女の掛け声でその行動をするリュウ。


「!?」


 パン! っと乾いた空気が破裂した音でリュウはいつも通り同じ反応で驚く。それから数十回と同行動するが同結果となる。もう魔法の練習は3年前くらいからしているが一向に上達がしない。


「やっぱりリュウちゃんに攻撃魔法は無理なのかねぇ。……リュウちゃん。身体を温める魔法をやってみて」


 言われてリュウは両手をお腹辺りにおいて静寂。すると薄い透明な生地とキラキラ煌めく光が身体を包むのが見られた。


「治癒系なら完璧なんだけどねぇ。火の初歩魔法だけ覚えれば事は足りるけれど、どうしようか?」


 悩む蛇女にブンブンと横に首を振って諦めない意志を示すリュウ。それからずっと攻撃魔法の練習をする。進歩ないまま。



 リュウと蛇女はこうやって毎日生活をしている。食料は2人で採りに行ったり、蛇女が生成する薬を村人と物価交換などをしたりして。毎日毎日ほぼ同じ事の繰り返し。誰かがこの一時ひとときを壊さなければ。





 読んでいただきありがとうございます。ゆっくり書いていきますゆえ。

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