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4 危険な魔力

 というわけで、次はユズリハちゃんが石盤の前に立つことになった。ドキドキする少女を前に、セフィルさんもドキドキしているのが伝わってくる。どうかいいギフトを! という彼の心の声が聞こえてくるようだ。


「ユズリハ様のギフトは……、【治癒】です! おめでとうございます! 他の皆様と同じ最上位ランクのアルティメットギフトです!」


 これまでの発表とテンションが段違いじゃない。

 涙を流しながらバンザイをするユズリハちゃん。周囲では神官達が暖かい拍手を送っていた。

 もちろんエルゼマイアさんも満足げだ。


「まさか四人もアルティメットギフトが発現するなんて。私の普段の行いがいいから……、ではなくて、まさにレゼリオン神様のお導きですね」


 教皇様が誰よりも一番レゼリオン神様を信じてないと思う。

 まあでも、四人共いいギフトが出てよかったよね。いよいよ最後は私だ……!

 石盤の前に立つとサキが背後にススーと寄ってきた。


「順番が最後でリナ、オチる条件は整ったな」

「オチてたまるか、私も最上位を引き当ててみせる。そもそもギフトはもう宿ってるし」

「認識するまでが勝負なんだろ」


 もうここまで来たら、逆に最上位じゃないのを出す方が難しいでしょ。……いや、私だから普通にありえるの?

 傍らで見守る四人の聖女達をちらっと見た。


「皆で私を守ってね」


 四つのため息が重なった後、エルゼマイアさんもセフィルさん達と一緒に石盤を覗きこんだ。


「さあ、出るかアルティメット五連チャン! お願いしますよレゼリオン神様!」


 もうギャンブルに熱中している人のノリだ。神罰が下りますよ?

 やがて石盤が輝きを放ち、そこに結果が表示されたのだと分かった。

 しかし、今回はこれまでのように声を上げたりする人はいなかった。全員が石盤を見つめたまま固まっている。

 もしかして、私のはしょぼいギフトだった……?

 と思った矢先、エルゼマイアさんがぽつりと呟いた。


「信じられません……、本当に実在したなんて」


 続いてセフィルさんがようやく結果を教えてくれた。


「リナ様のギフトは……、【強化】です」


 それが信じられないことなの? 私は説明を求めてエルゼマイアさんに視線をやる。


「【強化】は強化系統、最上位ランクのアルティメットギフトです。ですが、過去に確認されたのはたった一度だけ。古くから伝わる記録によれば、今から五百年前、このギフトを授かった召喚者の活躍で戦争は五年で終結したそうです」


 五百年前といえば戦国時代かな? その頃の人なら今より強そうだよね。だとしても、たった一人で十五年かかる戦争を五年で終わらせられるものなの?

 強化って補助的な力だし、ちょっと信じられないな。

 疑問を口にするとエルゼマイアさんは部屋の入口に向かって歩きはじめた。


「食事はここまでにしましょう。場所を変えて、皆様の魔力についてお教えします」



 またしばらく通路を歩き、辿り着いたのは沢山の本棚が並んだ部屋だった。本の背表紙に目をやると、知らないはずの文字なのにやはりなぜか読むことができる。


「ここは私の執務室です」


 短くそう告げてエルゼマイアさんは、私達に置かれたテーブルセットの椅子に座るよう促した。それから少しの間、彼女は考え事をしながら部屋の中を歩き回る。


「色々とお伝えしなければならないのですが……、やはりまず魔力に関してですね。このままでは危険ですし」


 え、今は私達、危険な状態なの?

 私達が顔を見合せていると、エルゼマイアさんが両手を広げて「ご注目ください」と。視線をやると彼女の体は淡い光に包まれていた。全身から溢れ出るオーラのようで力強さを感じる。

 目を見張る私達にエルゼマイアさんは微笑んでみせた。


「これが魔力です。今は引き出して体に纏っている状態ですね。皆様の中にもすでに備わっていますよ」


 本当に? でも、言われてみれば体の中に何だかモヤモヤしたものが……。ちょっと待って、意識しはじめたら勝手に動き出した! 止められない! 溢れ出てくる!

 私が一人でパニックになっている間もエルゼマイアさんの話は続いていた。


「皆様はまだ引き出さないでくださいね。とても危険……、と言っているそばから何をやっているんですか! リナ様!」

「勝手に溢れてくるんです! どうしたらいいですか!」

「どうしたらって……。とりあえず……、皆様! リナ様から離れてください!」


 呼びかけを受けて四人は弾かれるように席を立った。素早くエルゼマイアさんの方に避難する。

 なんか傷つくんだけど! まるで私自身が危険物みたいな扱いじゃない!

 私も立ち上がろうとテーブルに手を添えたその時だった。


 バッカン!


 テーブルは中央から綺麗に真っ二つに分かれた。

 ええ! この机もろすぎ!

 驚きながら椅子に座り直そうとしたその時だった。


 ベッキィー!


 椅子はまるで重さに耐え切れなかったように脚から砕けた。

 さっきまで普通に座っていたのに! 私の体重は標準! 失礼な椅子だな! もろすぎ!

 と床についた手がズズッと沈む。見ると石素材の床に手がめりこんでいた。


 ……テーブルや椅子がもろいんじゃない。おかしいのは私だ。

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