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第一章 夢遊飛翔
彼は気がつくと、どこか見知らぬ空の上に浮かんでいた。青く輝く雲の層の間を、まるで風に乗った羽根のように自由に漂っている。身体は軽く、重力も制約もなく、風が吹くままに進んでいく。ここが現実でないことは直感でわかっていたが、不思議と不安はなかった。むしろ、夢だと分かったことで解放感が心の奥から湧き上がってくる。
「どこまででも飛んで行けるぞ」と心の中でつぶやき、彼は翼を広げるように腕を開いた。すると、思った通りに身体が加速し、鮮やかな虹の帯を突き抜けた。そこには、空の彼方へ続く無限の世界が待っていた。