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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

習作 異世界の戦争シーン(人類VS魔王軍)

 魔王軍の侵攻は凄まじく、燃え盛る街、逃げ惑う人々、人類に未来はないと誰もが絶望していた。しかし、人類にはまだ希望が残されていた。それは「意志」の力だ。

 魔王軍はその圧倒的な力で各地を蹂躙していたが、その進軍は無秩序そのものだった。略奪、破壊、快楽のみを追求し、統制など全く取れていない。まるで巨大な獣が暴れ回るように、無差別に全てを破壊していく。

 対して人類は、故郷を守るという強い意志のもと、統制された行軍を行うことができた。疲弊しきった体で、数十キロもの装備を背負い、険しい山岳地帯を進む。それは、愛する家族や仲間、そして未来を守るため。その意志こそが、人類に残された最後の希望だった。

 そして今、俺たちは、ついに山頂に到達した。眼下に広がるのは、魔王軍が蹂躙する「元」故郷。だが、もうやつらを恐れることはない。俺たちは「意志」で結束し、必ずこの脅威を打ち破ると誓った。この山を越えた先に、必ず勝利が待っていると信じて。


「諸君! 我々がなぜ、この険しい山脈を越えてきたのか! それは、故郷を守るためだ!  家族のためだ! 未来のためだ!」

 軍団長の言葉は、山に吹く冷たい風に乗り、兵士たちの心に深く突き刺さる。疲労困憊の顔に、少しずつ力が戻ってくる。

「魔王軍は、我々の全てを奪おうとしている。中にはすでに奪われたものもいるだろう。だが、我々にはまだ、守るべきものがある。愛する者たち、生まれ育った故郷、そして、明るい未来だ。それらを守るため、我々はここにいる!」

 軍団長の言葉は、熱を帯びていく。兵士たちの瞳に、再び炎が灯る。

「魔王軍は、野獣のように暴れ回り、全てを破壊していく。だが、我々には、彼らにはないものがある。それは、意志だ! 故郷を守るという、揺るぎない意志! 仲間を信じる、熱い意志!」

 軍団長の言葉は、兵士たちの心を一つにする。

「我々は、苦難に負けず、この山を越えた。それは、勝利への第一歩だ。これから始まる戦いは、決して楽ではない。だが、恐れることはない。我々には、意志がある。必ず、勝利を掴み取ろう!」

 軍団長の最後の言葉が、山々にこだまする。兵士たちの顔には、決意がみなぎっている。


 背後に敵が忍び寄っていることも知らず、魔王軍の兵士たちは、勝利を確信し、略奪品や捕虜の分配について騒ぎ立てていた。酒を飲み、歌い、踊り、獣のような歓声を上げる。その背後には、積み上げられた財宝と、怯える人々の姿。

 男たちは殺され、女たちは陵辱される。血と涙に彩られた地獄絵図が、そこには広がっていた。

 そこにいた、一人の少女もその哀れな犠牲者の一人だった。

「ふごふご」

 オークは、少女の胸にその醜い顔を押し付け、息を荒げている。

 少女は恐怖に怯え、涙を流しながら必死に抵抗するが、オークの力には敵わない。オークの巨大な手が彼女の体を掴み、その小さな体を地面に押し倒す。

「ふごご」

 その醜悪な欲望が少女に襲いかかる瞬間、山の斜面を駆け下りる足音が、轟轟と地響きのように谷間にこだまする。


「放て!」


 軍団長の号令とともに、無数の投げ槍が夜空を裂き、魔王軍の兵営に突き刺さる。不意の攻撃に、見張りのゴブリンたちは悲鳴を上げる間もなく、串刺しにされ絶命する。

「うおおおおおお!」

 兵士たちの雄叫びが轟く。剣を抜き放ち、獣のように荒々しく兵営に突入する。

 寝ぼけ眼のオークやゴブリンたちが、驚愕の表情で襲撃者たちを見上げる。しかし、容赦はない。

 剣戟が火花を散らし、血飛沫が飛び散る。抵抗する者は容赦なく切り伏せ、ひるむ者は盾で殴り倒す。武器がなければ、石を拾い、それもなければ拳を振り上げ、歯でかみつき戦う。


「今のうちに一人でも多く倒せ!」

 軍団長の怒号が兵士たちを鼓舞する。死闘の果て、兵営は血の海と化した。

 魔王軍の残兵たちが、怒号を上げながら、武器を手に集結し始める。散乱する遺体や、燃え盛る炎を背に、復讐の念に燃える彼らの目は、獣のようにギラギラと輝いている。

「御旗に集い盾を構えろ!密集隊形!」

 軍団長の命令が飛ぶ。兵士たちは素早く隊列を組み直し、密集隊形を形成する。盾と盾を合わせ、剣を突き出し、強固な壁を作り上げる。

「むごごごごご!」

 魔王軍の怒涛の攻撃が、人類の盾に激突する。金属がぶつかり合う轟音、怒号、悲鳴が入り乱れる。

「押し返せ!」

 兵士たちは、全身全霊で盾を押し返す。仲間が倒れれば、すぐに次の者がその穴を埋め、隊列を維持する。一人一人が、己の命を賭して、故郷を守るという強い意志を体現している。


 遠くから、鋭い笛の音が響き渡る。それは、勝利を告げる音。兵士たちの顔に、安堵と歓喜が広がる。

「重騎兵隊! ようやくおでましか!」

 軍団長は、笑みを浮かべながら叫ぶ。

 重装鎧を身にまとった重騎兵隊が、地響きを立てて突撃してくる。その姿は、まさに鋼鉄の嵐だった。

 挟み撃ちにされた魔王軍は、密集したまま身動きが取れず、重騎兵の突撃を受け、戦列の圧力に押しつぶされる。

「今だ、挟み撃ちにしろ! 圧殺するぞ!」

 戦列をじりじりと前に進める。魔王軍はなすすべなく後退し、どんどん密集していく。

 悲鳴と怒号が入り混じる中、魔王軍の中央部は瞬く間に地獄絵図と化した。息ができず、折り重なるように倒れる魔王軍たち、飛び散る血飛沫、砕け散る武器。

 魔王軍の抵抗は、もはや風前の灯火だった。


 敗走する魔王軍の兵士たちは、重騎兵の容赦ない追撃を受け、次々と血飛沫を上げて倒れていく。もはや、抵抗する力は残っていない。

「勝った……」

 誰かの呟きが、勝利の雄叫びへと変わる。歓喜の声が、夜空にこだまする。

「勝ったぞー!」

 兵士たちは、剣を振り上げ、勝利の雄叫びを上げる。涙を流し、抱き合い、喜びを分かち合う。

 長い戦いだった。多くの仲間を失った。だが、彼らは諦めなかった。故郷を守るという強い意志が、彼らを勝利へと導いたのだ。

 夜明け前の空には、まだ星が輝いている。だが、その闇は、確実に薄れ始めている。

 人類は、新たな夜明けを迎える。それは、勝利の夜明けだった。

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