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魔法使いを夢見る少女の冒険譚  作者: 夢達磨
第1章 夢見る少女の旅立ち編
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第8話 夢見る少女と少年 追憶の彼方


 アリアは暗闇に包まれた森の中で静かに眠りについていました。


 その夢の中で、アリアは五歳の頃に不思議な少年に出会った日の夢を見ていました。


 アリアたちの出身であるルーラル村の近くの小さな寂れた公園の砂場で、その少年と出会いました。


 いつものようにアリアが一人で砂場で遊んでいると、物陰から、じっと視線を感じたアリアは気になってしまい、見に行きました。


 そこにはアリアと同い年くらいの泥だらけの少年が木に寄りかかるように立っていました。少年の顔や腕などには擦り傷や打撲傷があり、怪我をしているようでした。


 アリアは少年に向かって「私、アリア・ヴァレンティン! 君は?」と尋ねます。


 少年は「ディア……」と小さく呟きました。


「ディア君! こっちで一緒に遊ぼ!」


 アリアの言葉に少年は小さく、「うん」と頷きました。これが二人のファーストコンタクトです。


「怪我してるね。先にばい菌さんをやっつけるために手当てしよう! 少し痛いけど我慢してね!」


 アリアはそう言ってディアの体を洗った後、持っていた塗り薬を塗り、絆創膏を貼ってあげます。


「痛い?」

「ううん。大丈夫」


 ディアは擦り傷がしみているはずですが、顔色ひとつ変えませんでした。


「よし、これでよし! こっちだよ」


 手当てが終わると、アリアはその手を取って砂場へ連れて行きました。


「スコップとバケツを持ってるから一緒に大きな城を作ろ?」

「お城?」とディアは尋ねます。


「お城はね、王様やお姫様が住んでいる大きなお家だよ! 絵本で見たことあるんだけど、すっごく! 大きいんだよー!」

「す、すごいね」


 この歳にしても、アリアのコミュニケーション能力は驚くべきものだった。ディアはやや戸惑っている様子でした。


 お城を作り始めて数時間、二人は立派な砂のお城を作りました。


「砂のお城の完成! 上手にできたねっ!」

「うん。楽しかった」


 ディアの表情は少し柔らかくなっていました。


「わぁっ!?」


 ディアは砂の城からヒョコッと出てきたミミズにビックリして、謎の力で砂の城を吹き飛ばしてしまいました。


「あ……。ごめん」と落ち込んでいると、アリアはアハハーと笑いながらディアの顔を指して言いました。


「顔に土がついてるよ! おかしいーっ!」

「そ、そう言う君だって」


 二人は「おかしいねー」と笑い合いました。


「すごーい! 何が起こったの!?」

「ぼ、僕の能力だよ。魔力のコントロールが出来なくて、驚いたり体に物が強く当たっちゃうと勝手に発動してしまうんだ。おかしいよね……自分の力なのに」


「そんなことないよ? 練習してたらいつかきっと、コントロールできるようになるよ! 自分を信じよう!」


 アリアと話しているうちに、ディアの表情はどんどん豊かになっていた。


「いつかコントロールできるようになるかな? そんな自信はないけど」


 その言葉を否定するようにアリアは首を横に振りましたが、すぐに明るい笑顔に戻り、将来の夢を熱く語りました。


「私ね! 将来、魔法使いになりたいの。でも魔力がほぼないから、魔法使いにはなれないって言われてるんだ。でも私はいつかなれるって信じてるからっ! だからディア君も自信を持って! 一緒に頑張ろ?」


「素敵な夢だね。魔力は歳を重ねれば増えるからきっと大丈夫だよ。だから僕も頑張ってみるよ。君の夢、応援してる」


 二人の未来に向けての会話の中で、アリアの情熱とディアの優しい応援が交わされました。


「うん! お互い頑張ろう! そろそろママが帰ってくる時間だから帰るねっ! また会おうねっ!」

「うん。またね」


 アリアとディアはまた会う約束をしてこの日は別れました。


 そして二人は何日も出会って遊び、ボール遊びやおままごと、時には鬼ごっこなど、さまざまな遊びに興じました。


 思いっきり遊んだ後は、二人で座ってお話をするのが日課となっていました。


「ディア君はジュニアスクールでお勉強するの?」

「勉強は嫌い。でも、君が一緒なら……行ってみたいかも……」


 二人は夕日が沈むまで語り合いました。


 そして、アリアが帰る時間になりました。


「ディア君、また遊ぼうね! また明日!」

「うん。またね」


 アリアは走って帰ろうとしました。


 少し走った後、立ち止まって振り向いて言いました。


「君じゃなくて私の名前はアリアだからーっ! 次会った時はちゃんと名前で呼んでねー!」


 そう叫んだ後、手を振って帰りました。


 アリアは内心とても喜んでいました。アリアにとって初めての友達と呼べる存在。


 帰ってすぐに母親のメディにも「お友達ができたよ! ディア君って言うの!」と報告しました。


「良かったわねー! ディア君ね……覚えておくわぁ」とメディも娘が友達と呼べる人ができて喜んでいる様子でした。


 これからも変わらない日々を送れると思っていた矢先、突然別れの日はやってきました。


 いつものように公園に遊びに来たアリアでしたが、あの日を境にディアがアリアの前に姿を表すことはありませんでした。


 一人の少年、『ディア』と共に過ごした思い出の日々は、アリアにとって大事な体験であり宝物でした。


 懐かしい夢から目覚めたアリアは周りを見渡しました。


「んんー! 懐かしい夢を見たなー。――ディア君……元気にしてるかな? また会えるといいなー」


 アリアは身支度を整えました。


「よし、準備おっけー! まずはシュルト鉱山に向けて出発だー!」


 こうしてアリアはシュルトトレインがあるシュルト鉱山へ歩きだしました。

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