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魔法使いを夢見る少女の冒険譚  作者: 夢達磨
第4章 悪夢の王国記念日編

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第8話 ハンターギルドマスター


 ジランと名乗った男は非常に丁寧な口調で、腰の低い態度が目立ちます。坊主頭に黒いスーツを身にまとい、肩には大きなハンマーを担ぐ、体格の良い男性です。


「こちらこそご丁寧にどうも。それで、ハンターギルドのジランさん、相談ってのは何ですか?」リトニア国王は落ち着いた声で尋ねます。


「単刀直入に申し上げます。我々の目的は、全人類の平等化です。そのためには、王族制度や貴族制度を廃止していただきたい。私たちは皆、同じ人間です。しかし、生まれた環境がわずかに違うだけで、生活がまるで異なってしまう。貴族制度のせいで、我々は長い間苦しめられてきました」


「なるほど。正直に言うと、それはなかなか難しい話だね。でも、具体的にどんな目に遭わされたのか、話してもらえるかな?」リトニア国王は興味を持ちつつも冷静に応じます。


「では、率直にお話しします。十五年前の出来事です――」


 ジランは真剣な表情で、自分たちが体験した悲劇を語り始めました。彼らが住んでいたのは、ここから南西に位置する小さな集落。裕福ではないものの、ささやかな幸せを享受していた彼らのもとに、ある日突然、武装した兵士たちが押し寄せてきたのです。彼らは食糧や家畜、さらには若い女性たちまでも連れ去り、残された人々は抵抗もできず、ただ見送るしかありませんでした。


 当時、まだ子どもだったジランとその仲間たちは労働力として強制的に連行され、朝から晩まで過酷な労働に従事させられました。そして解放されたのは、一年半後のこと。心も体もボロボロに傷ついた彼らがようやく故郷に戻った時、そこにはかつての家族や家、そして平穏な暮らしは存在していませんでした。すべてが破壊され、消え去っていたのです。


 絶望の中で泣き崩れるジランたちに声をかけたの が、ハンターギルドのマスター、『グゾルム』という男でした。彼は、王族や貴族たちによって引き起こされたこの非道な仕打ちに対して復讐を果たさないかと誘ってきたのです。ジランたちは、その言葉に深く共鳴し、王族や貴族たちに対する強い復讐心を抱くようになりました。


「しかし、私たちは無関係の人々を巻き込むつもりはありません。だからこそ、この場所に来て、直接あなた方に話をしに来たのです」


 ジランは静かに語り続けます。彼らが貴族制の廃止を強く主張するのは、生まれた境遇の違いが、運命を大きく分けてしまうこの不公平な世界を一度壊し、新たな平等な世界を築くためでした。彼の言葉には強い決意と、長年の苦しみから解放されたいという切実な思いが込められていました。


 リトニアは、ジランの話を聞き終えると、複雑な表情を浮かべながら口を開きました。


「君たちがどれだけ辛い目に遭わされたか、痛いほど分かったよ。本当に苦しかっただろうね……国の代表として、心から謝罪する。申し訳ない」


 そう言うと、リトニアはゆっくりと立ち上がり、深々と頭を下げました。その姿は王でありながらも、一人の人間としての誠実さが感じられます。しかし、ジランたちの怒りはそれでは収まりませんでした。


「謝罪なんていりません! 求めているのは、貴族制度の即時廃止、最低でも貴族の優遇を取り除くことです!」


「……それでも、貴族制度を廃止することはできない」


 リトニアの静かな返答に、ジランは怒りを抑えきれずに詰め寄ります。


「なぜだ!?」


「国民にとって、貴族という存在は、最後の希望だからだよ」


「希望だって? 貴族が俺たちにどれだけの屈辱を与えたと思っているんだ! そんな奴らが何の罰も受けないって言うのか!?」


 ジランの激しい問いに、リトニアは一度息をついてから、真剣な目で答えました。


「もし君たちの言うことが事実なら、当然罰を与える。だが、君たちが話している『グゾルム』という男……彼は、ハンターギルドのボスなんだ。冒険者ギルドや貴族を陥れるための嘘をついている可能性が高い。だから、僕にはどうしても信じられない」


 その言葉に、ジランとその仲間たちは唖然とし、動揺が走ります。


「嘘……だと? 俺たちは、これまで何のために……」


 ジランの声は震え、その場に立ち尽くしました。彼らが信じてきたものが、一瞬で崩れ去ったかのようでした。


 リトニアは、そんなジランにそっと歩み寄り、胸ポケットから一つの魔導石を取り出しました。


「これは……魔道石?」


 ジランは戸惑いながら問うと、リトニアは静かに頷き、その魔導石をジランの胸元に当てました。


「君たちは、この魔道具を使って自分たちもろとも心中しようと考えていたんじゃないかな? でも、それはさせない。君たちの敵はハンターギルドだ。だから、僕たちと手を取り合い、共に戦おう」


「!? なぜそれを知っている!?」


 ジランとその仲間たちは驚きの表情を浮かべます。


「僕は未来が断片的に見えるんだ。いつもじゃないけど、たまたま今日のことが見えていたんだよ。だから、こうなることはすべてお見通しだった」


「俺たちは……なんて思い違いを……」


 ジランは自分の過ちを認め、膝をつきます。仲間たちも同様にうなだれ、涙を流しました。リトニアは優しく微笑みながら、彼らを見守ります。


「誰だって、間違いを犯すことはあります。その時は、誰かが正しい道へ導いてあげればいい。幸いにも、君たちはまだ大きな過ちを犯していないんだ。まだ引き返せる。だから、気にしなくていい」


 その言葉に、ジランと仲間たちは感謝の念を口にしながら泣き崩れました。しかし、その静けさを破るように、頭上から不気味な声が響き渡ります。


「なら、お前がこれからどうなるかも、見えているんだろうなぁ!?」


 突然の声に、リトニアが顔を上げた瞬間、一瞬のうちにその声の主はリトニアの背後に立ち、鋭い刃を向けました。


「リトニア国王!」


 バロンとレオンが同時に声を上げ、武器を構えます。しかし、リトニアは彼らを制止します。


「うん、分かってるよ。でも、君は誰だい? 僕の未来には、君の姿が見えていないんだけど?」


 リトニアが振り向くと、そこには暗紫色の忍び装束に身を包んだ男が、玉座の背もたれの上に立っていました。銀色の刺繍と鎖帷子が所々に輝き、右目だけを見せる覆面をしているその男は、紫色に光る瞳でリトニアを鋭く見つめます。


「よぉ! 虫ケラどもー! 俺様は古封異人の戦士、アクィラ様だーー! 俺様はそこら辺のなんちゃって古封異人とは違う、本物の戦士だぜ! はっはっはっはー!」


 男は玉座の上から高笑いを響かせます。その名はアクィラ――彼の手には巨大な鎌が握られており、その刃には禍々しい光が宿っているかのように見えます。鎌はまるで生きているかのようにうねり、アクィラの力を誇示しています。


「さて、俺様の紫黒の狩刃しこくのしゅじんの錆にしてやろうか!」

第4章表が残り3話となります(^ ^)

4章表が終わった後は、4章裏が始まります(^_^)

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