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魔法使いを夢見る少女の冒険譚  作者: 夢達磨
第3章 冒険者育成学園ー1年目前期編ー

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第6話 夢見る少女と課外授業


「あぁっと、今日からぁ課外授業っつーことで、二日間の間ー、お前たちには冒険者としての心得を習得をしてもらうためぇ、外で生活をしてもらう。日々の授業や模擬戦などを真面目に受けていれば、特に問題は起こらないはずだぁ。――ふぁぁっあ。ねみぃ、朝早くからやることじゃねーだろ。ったくよぉ」


 スパイク先生は寝袋にくるまって、寝転んだ状態でそう言いました。


 そして、くるりと後ろを振り向くと続けて言葉を発します。


「そこの机の上に今回の課外授業の注意事項をまとめた資料があるから、一人一枚ずつ持ってけー。それと必ず目を通すようになぁ。――以上」


 言い終えるとスパイク先生は大きな欠伸をして目を瞑ってしまいました。生徒たちにとって毎日の光景なので、慣れてきていました。今は自分たちで判断して行動するほどです。


 生徒たちは仲良しグループで集まりだし、ゾロゾロと資料を手にして、動き始めました。


「グエッ!? おい! 日々お世話になっている先生を踏むとは! 良心が痛まないのか?」


 寝転がっている先生をフレッシュやゼオン、カルナとその一味が次々と踏んでいきました。


 カルナとその一味は先生の言葉を無視してそのまま進んでいきました。


「ゼル様ー! 見てください! 人数に関係なくパーティーを組んでいいそうですよー!」


「グエッ!」


 フレッシュは人数分の資料と布袋を手に取ると、スパイク先生を再び踏みつけてゼルの元へと駆け寄りました。


「おい、先生を踏んでんじゃねー。謝ってこい」

「えー、でもーー。あいつらだってやってましたよ?」と、フレッシュはカルナたちを指差し言いました。


「人を踏みつけるのに、誰かがやってたからやっていいってことにはならねぇ。やっていいことと悪いことの区別もつかねぇのか?」

「でも――」

「俺様はそんな善悪の判断もできねぇやつをそばに置く気はない。先生に謝ってくる」


 そう言ってゼルはフレッシュを遮り先生の元へと向かいました。


 それを近くで聞いていたメルジーナは「ブーメランだわー」と呟きました。


 アリアは「ブーン! ブーン!」と言ってメルジーナの周りを旋回します。



「スパイク先生」

「お? なんだ? もう学園が恋しくなったのか?」

「違いますっ! ――その、側近のフレッシュが先生に大変失礼な行動を取ったことにお詫びを言いにきました。申し訳ありませんでした。あいつには厳しく言っておきますので、今回は許してもらえませんか?」


 ゼルはスパイク先生に頭を深々下げ、そう言いました。


 先生はポカーンとした顔をしてましたが、すぐにその表情を崩してゼルに言葉をかけます。


「いいよ、別に。俺は気にしていない。だが――」

「だが?」

「お前が謝ってくるとは思わなかった。俺は、貴族のガキは親が貴族だのご子息だのご令嬢だの理由をつけて、自分の行いが悪いと思ってねーし、謝ることもしないから、謝罪の言葉も知らないって思ってたからな。まあ、その考えは改ねーとな」


「だから、先生は貴族制度を嫌ってるんですか?」

「まあ、それだけじゃねーがそんなもんだ。分かったらさっさと行け。俺は今から寝るんだ」


 スパイク先生の態度に引き攣り笑いをするゼルは「わ、分かりました」とだけ言い残し、二人の側近を連れて、森の中へ入って行きました。


 メルジーナも机に並べられている資料を手に取りました。


「何この資料。めっちゃ可愛い!」


 その資料にはデフォルメされた犬や猫を始め、たくさんの動物たちが描かれてました。その動物たちには吹き出しがあり、色々と分かりやすく説明してくれています。


 アリアはメルジーナが手に持っている資料を覗きます。


「わぁ、猫さんだぁ! 可愛い! ワンちゃんもクマさんもいるー。メルジーナちゃん、読んでー!」


「分かったわ! アリアさんのために心を込めて読ませて頂きますわ!」

「普通でいいよ?」


「こ、コホン。今回の課外授業のテーマは『冒険者の基本』と『臨機応変に対応』です。授業で習ったことを思い出して、この授業に挑んでほしい。ルール説明。ここからの説明はオイラ、クマサブロウが説明させてもらうぜ!」


「クマサブロウ?」とアリアは首を傾げました。

「このクマさんの名前みたいね。ちゃんとキャラ付けがされているのかしら。じゃあ、続きを読むわね。

 ルールは簡単! 本日から三日間、みんなには自給自足で生活してもらうぜ! 身の危険を感じたら棄権してもよしだ! ま、さ、に、デンジャラース! 危険と棄権を掛けてるんだぜ? 面白いだろ? ――――読むのがつらくなってきたわ。要点だけ伝えるね」


「うん、分かった」


 メルジーナは文章を読んでアリアに分かりやすく説明をしました。


 今回の内容は三日間、自給自足の生活を行い、冒険者としての基本を学ぶこと。

 パーティーを組んでもいい。(人数制限なし)

 家や学園には緊急でない限り戻っては行けない。

 身の危険を感じた時は布袋に入っている、発光信号弾を空に向けて発射すること。


 注意事項として、ハンターと遭遇した場合は無茶な戦闘は避け、相手を刺激せず命優先で逃げること。

 ギルドが指定してあるハンターは殺しても罪にはならないが、相手によってはハンターギルドを敵に回すことになるので、無闇な殺人はしないこと。しかし、避けては通れない戦闘だろう。命あっての冒険者、殺られる前に殺れの精神で対応を。

 この授業は夏季休み前の実力考査にも関わってくる内容だそうです。


「アリアさん分かりましたか?」

「うん! 分かった! メルジーナちゃんありがとう!」


「どういたしまして。布袋の中身を確認しましょう」


 メルジーナは机の上に布袋の中身を出しました。


「信号銃と複数の調味料、ナイフが二種類。解体用と料理用かしら? それに魔道具の簡易松明とテントね。しっかり揃ってるわね」


「楽しみー! メルジーナちゃん、一緒に行こう?」

「もちろん!」


 こうして、二人は森の中へと消えて行きました。


 そして、スパイク先生は一人でお昼寝をしていると、一人の男性が近づいてきました。


「おや、スパイク先生、こんなところでお昼寝ですか?」

「んあ? あー、カイナ先生ですか。一緒にお昼寝します?」

「いえ、結構です」

「遠慮しなくていいのに」


 カイナ先生は、勉学教室の一年生の先生です。


 フルネームはカイナ・ゼーレです。金髪で、光を受けると黄金に輝くような美しい髪を持っています。

 顔は縦長で、その細身の輪郭が彼の知的な雰囲気を際立たせています。目元にはシンプルなデザインの眼鏡があり、透けるレンズ越しに見える彼の目は、深い思索の跡を感じさせます。

 シンプルだが上質なネズミ色のスーツを着ており、白いシャツと落ち着いた色合いのネクタイが彼の真面目さを象徴しています。足元には、磨かれた革靴が光っており、細部にまで気を配る姿勢が窺えます。


 カイナ先生は一枚の資料を持ってスパイク先生に見せます。


「スパイク先生は本当に生徒思いの先生ですね。この可愛い手作り資料を作って配るなんて。一枚ずつ書いてるんですか?」


「いえ、昔は手書きで全部書いてましたが、今は紙を複製する魔道具を購入しましたので、一枚書いたらそれを使って複製しています。ほんと便利な時代になったもんですよ」


 あの可愛い資料はスパイク先生の手書きだったみたいです。


「このクマサブロウ君やイヌジロウ君たちはちゃんとキャラ設定をしているんですか?」

「えぇ、もちろん。クマサブロウは親父ギャグが大好きな十五歳の男の子で、好きな食べ物はデーモンサーモンです。イヌジロウはワイルドで少し冷たいところはありますが、実は仲間思いでいいやつです」


「結構細かいですね。この『命あっての冒険者、殺られる前に殺れの精神で』って言葉いいですね。スパイク先生の気持ちが表れてます。キャラクターに言わせないで、直接言ってあげたらどうですか?」

「嫌ですよ。俺はそんなキャラじゃない。資料のことは生徒には内密にお願いしますね」


 カイナ先生は笑いながら「分かりました」と答えました。


 そして、その日の夜――


「こちら、ポジションB、ターゲットのアリア・ヴァレンティンが例の洞窟の近くでテントを張ったのを確認しましたわ」

「こちら、ポジションC、ターゲットはメルジーナ様と行動している模様。どうしますか?」

「こちら、ポジションA、メルジーナ様はあの程度でくたばるような方じゃないわ」

「こちら、ポジションD、これより『さよなら、アリア・ヴァレンティン作戦』を開始する!」

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