壱
大学生の俺たちは三人で良く肝試しとしていろんな廃墟に行ったんだ。みんなでどこ行こうって考えるのもよかったんだけど、誰か一人が見つけたところに二人を連れて行って、そこを探索しながらここではこんな事件がおこったんだって説明しながら進む方式にしてからはもっと面白くなった。
やってみてわかったんだけ秋良と冬樹はそういうのが得意で、月に二度ぐらいのペースで、患者が死にまくりすぎた廃病院だとか、呪いによって潰れた神社とか見つけてくれたんだけど、それに負けじと俺もオカルトやら心霊系の雑誌とか読みまくってやっと一か所見つけたんだよ。
まあ、雑誌に載ってたとかじゃなくて、母さんの実家の方に帰った時にお婆ちゃんから噂を聞いたんだ。かなりマイナーな場所だけど人もほとんど来ないらしくてちょうどいい。
そこは地元で呪いの廃校って呼ばれていて、三十三人の犠牲者が出ているらしい。こんなところでは直ぐに人に見つけられないせいか、腐敗が激しくその性別も年齢もほとんど何もわからないらしいし。
行ったら呪われるとか言ってたけどその程度はとっくに越えているのだ。俺もいい加減に連れていきたくて今週の日曜に行くことになった。
「やっと春斗も見つけたのかよ」
「なんとかな」
「俺もう次行くとこ見つけたぞ」
「おま、見つけんの早くね。俺なんか三か月目でやっとだぞ」
「情報網が違うのだよ。言い出しっぺのくせに探すのへたすぎw」
「秋良はまだだよな」
「流石にまだだよ、先月は僕だっただろ?」
「よかったぜ」
こうして俺が運転する車でその場所まで進んだわけだけど。つく頃にはすっかり日が暮れてしまっていて、あたりは真っ黒闇で懐中電灯程度ではほとんど見えない。
「ここって学校か?」
「そうそう、廃校。四十年前に潰れたって」
「え? 四百年前じゃなくて?」
「なわけあるか」
「お前らこっち来いよ!」
「冬樹? どうしたんだよ?」
「エロ本落ちてた」
「そんなんで呼ぶなよ。……これは俺が後で責任を取って捨てておく」
「「おい!wwww」」」
そうして、探索は一階から二階、三階へと上がっていく。
「で、どんな曰くがあるか分かったか?」
「うーん。イジメとかでいじめられっ子がいじめっ子をしちゃったとか?」
「ぶぶーww」
「実は俺知ってるぞここ、ここアレだろ、人がいっぱい死んでるところだろ。三十七か八だか知らんけどマジ怖いよな。お前よくこんなところ見つけられたよな」
「え、冬樹しってたのかよ。クッソー。後、もうちょい少ない」
「そうだったっけ? まあいいか」
「流石冬樹、ところでさっき言った僕の腹が限界って話は覚えてるか?」
「トイレだろ。春斗もういいか」
「ん? そうだな、まだ上の階あるけどこのようすじゃあ変わらんだろうしな」
「ちょっともう限界。上の方が近いかな?」
「上は知らんけど下は綺麗だったぞ」
「そういや春斗はさっき下の方のトイレ行ったんだったか。そうだぞ秋良帰り道によってけよ。いや、上に行かせて放っていくのもありか?」
「三十五人目になってしまうんだな。南無」
「分かったよ。じゃあ先に降りて行ってくから、おトイレの前で待っててね♡」
「「キモ」」
「ハモるな!」
そうして、その日はなんとか終わったんだけど。後日なぜか死体が見つかった。俺たちが行かなかった四階にあったから、マジで冷や汗かいた。
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