大魔王様に捧げられた聖女様
「なあ、聖女様よぉ」
「はい、大魔王様」
「国民どものためにって散々祈りを捧げてきた結果が俺への生贄って、気分はどうだよ?」
「気分…とおっしゃられましても…特には」
「はぁ?怨んだりしねぇの?」
「怨む?」
「お前を生贄にしたクズどもとか、俺とかにさ」
「…?」
「…けっ。お人形さんが」
「…はい。私は正しくお人形さんでした」
「…あ?」
「ですから、こうして聖女の職から解放してくださった皆様には感謝しているのです。特に、大魔王様には」
「…マジかよ、お前」
「マジです、大魔王様」
「…あー、名前は?」
「ミレイユです」
「ミユ。お前少しおかしいよ」
「はい、私もそう思います。大魔王様」
「…ロストでいい」
「ロスト様?」
「おう」
「…ロスト様、私、誰かとこうして寄り添いあえるなんて夢みたいです」
「ミユ、お前夢みるのは勝手だけど相手は選べよ」
「はい。ロスト様がお相手でよかったです」
「…ミユ。お前面倒クセェ」
「すみません、はしゃぎ過ぎましたか?」
「そこじゃねぇよ」
ー…
「聖女様を生贄に差し出したからか、平和だなぁ」
「でも、本当にこれでよかったのかな?」
「仕方ないだろう。他に方法はなかった」
「それはそうだけど…」
「…ミユ。久々の人間界はどうだよ」
「変わりなくて安心しました」
「…お前、今の会話ちゃんと聞いてたか?アイツら、お前がこうして俺のそばで生きてるなんて知らないのに平和になってよかったなんて言ってるんだぞ?」
「そうですね。…ロスト様が気に入らないなら、滅ぼしますか?」
「…おう。俺は最初からそのつもりだ」
「ならば、お伴しますね」
「そりゃいいな!アイツらきっと自分のしたことに気付いて泣き叫ぶぜ!」
「…なんだか」
「あ?」
「ロスト様の方が人間達よりよほど正義感の塊だなぁと」
「あー?んなことねぇよ。ただお気に入りのお前が蔑ろにされてんのが気に入らないだけだ」
「そうですか。ロスト様」
「ん?」
「地獄の果てまで、お伴しますね」
「おう」




