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第7話 落ち着こう

質問が質問だったのでウブい(仮)ティナは盛大にお茶を豪快に吹いたのである。


しかも俺に向けて。


その為に、着て居た某紅〇団のジャージはお茶でデロデロになってしまい、前を開いて居た為に中のTシャツも被害が及んだしまったのであった。


「誰のせいだと思ってるのよっ!(怒)」


裏の勝手口の方でティナは文句を言いながら、ゴシゴシと洗濯をするのであった。


腕時計の時刻を見ると22時過ぎである。


「全くもぅ……夜になんで見ず知らずのオッサンの服をこんな夜遅くに洗濯しなきゃならないのよっ!」


服がそんな風になる訳なので、当然顔にも掛かり「ヒャッハー美少女のお茶マンセー!とかはならないのである。

(ノーマルなので……)

そして、お風呂を頂く事になったのだが、入り方が解らずフリーズ状態のマサキであった。……(すっぽんぽんで)


「マサキ~!早く上がってよ~!私も入るんだから~!」


外からこんな事を言われてるが、わからんものはわからん!

(はぁ~……コレが文化の違いか……ヤックデカルチャー……懐かしいなぁ……)


大きな水瓶を前に途方に暮れて早数十分が経つ……


「マサキ~、まだなの?なんでそんなにお風呂長いの?」


(ティナさんや……いつの間にか呼び捨てになってますけど…)


「あのさ~!」


意を決した様にマサキはティナに声を掛けた。


「なに~?」


「入り方がわからん!この水瓶どうすんの?」


「え?え~!それならそうと早く言ってよね~!説明したのに!

じゃ、説明するからちょっと待ってて!」


「オケ!」


マサキは風呂場の窓の方を見ていると、後ろの引き戸が突然開いたのである。


ガラッ……


「えっ!…………」


「………」


「え?お?あっ……」


「ち、ちょっ!おまっ!」


(逆ラッキースケベとかマジで要らね~!)


一つ解った事がある。


女子が男性の、しかもオッサンの裸体を観ると目を覆うと言う希望的な伝説があるのだが、美少女でも視線は下に行く事をマサキはこの時知ったのであった……


カラカラカラ……ピシャ……


「ごめんなさい。」


ティナは気まずそうに、小声で一言口にしたのであった。


「いえいえコチラこそ粗末な物を……すみません。」


(気まずい……俺得ひとつもねぇ~!)


「と、取り敢えず……み、水瓶の水を使って洗えば良いのよ。

近くに、ひ、ひしゃくがあるでしょ?(震え声)」


「うむ。さようか。かたじけない。(裏声)」


「じ、じゃ、ふ、拭くものココに置いておくから、上がったら言ってね。(震え声)

き、着てたものは干しとくから。」


「かたじけない……(白目)」

(なんと言うか、どうのこうの言っても面倒見いいよなぁ……この娘は……)


風呂はやっぱりと言うか、当然水であった。

浸かる事は出来ないのである。

(冬とかどうするんだろう?流石に風呂入らないとかは無いよな……身体を拭くだけとかなのかな?)


「ティナさん。お、お風呂お先でした。」


「は、はい。じ、じゃ私も入って来るから、ゆ、ゆっくりしてて………」


ティナは先程の「粗末な物」を見てしまった影響で、いそいそと浴室に消えて行ったのだった。


テンプレだと、ココでラッキースケベ的な展開がある筈だが、粛々と時間は過ぎて行き、ティナのあれやこれやを想像するにも至らなかったのである。

(え、いや、DTじゃ無いし…オッサンだし……それなりに経験は有るし……そんなねぇ……嘘です。ちょっとは想像してしまいました……)


マサキが煩悩と闘っていると、髪の毛にタオルを巻いて、白いポンチョの丈が長くなった様な衣装を着てティナが出て来たのであった。


(ガウンとかでは無いのね。)


「あ、あの……今日、お、俺は泊めて頂けるのでしょうか?こんな夜に追い出す……とか……」

(まさかとは思うけど、泊めてくれるよなぁ……泊めてくれなきゃ困るぞ!)


「あ~……

流石に、こんな夜遅くに追い出したりしないから安心して!

寝るのは、お父さんの部屋があるから、そこで寝ちゃってよ。」


(良かった……追い出されるかと思った。てか、オトウサン……だと……そんな、ガクブルなイベント要らんぞ……)


「あ、ありがたき幸せ……

と、ところで、お、オトウサンお帰りは何時かなぁ…………(震え声)」


「大丈夫だって、もう1年も帰って来てないから……」


普通に振舞っては居たが、声のトーンが少し違った事にマサキは気がついたのであった。

(私は空気は読めるのだよ!読める!私にも読めるぞっ!等と冗談を言える訳もなくこの事は慎重に行こうと思った。てか一年帰って無くて大丈夫は無いだろ?)


先程、ティナが風呂に行ったあと、今まで自分に起きた出来事を自分なりに整理してみたのである。


先ず、自分は死んだ事、身内に最期の別れの挨拶をする為にこの世界に転生した事、転生直前に懐かしい感じのする何かに何かしらの力を授けられた事、偶然ティナに会った事、現状は文無しラノベ的なスキル、ステータスは不明、存在するのかも解らない。魔物は居る。魔法も存在する。言語は何故が通じるのだが、文字は読めない書けない。文化は前世の物より数世紀以前。


(というか身分証明はどうすれば良いんだ?ギルドとかあるのか?役場とか?魔物ってどんなのが居るんだ?)


考えを整理する前に、疑問が次から次へと浮かんで来るのであった。


「何から手を付けて良いもんやら……」


コト……


マサキが眉間に皺を寄らせて考え事をしていると、ティナが風呂上がりの飲み物を出してくれた。


「あ、有難うございます……」


「これからどうするの?」


ティナは、そんなマサキの杞憂を察して、心配そうに声を掛けたのであった


「う~ん……まぁおいおいかなぁ……

そこでちょっと頼みが有るんだけど……」

(どうするこうするの前に、自分でこの状況をどうしていいのか解らんのよ!)


マサキは無い知恵を搾り、ダメ元で、現状で考えうるだけの事をティナに伝える事を決意したのであった。


「なによぅ……お金なら無いわよ!」


「嫌だったら断ってくれても構わないし、図々しいのも理解してるんだけど、少しの間ココに置いてくれないかな?」


(今はこの位の事しか思いつかない……)


暫く間が有り、ティナは意を決したように


「ん~……まぁ良いわよ、一応そんな事になるんじゃ無いのかなって予想はしてたから」


(こいつはエスパーかよ……つーか、若い女の子とオッサンが暮らすってどういう事か分かってるんかな?なんで身の危険を感じないんだ?)


「いや、なんと言うか、とっても有難いし背に腹は替えられ無いから、言ってはみたものの、ホントに良いの?(震え声)」


「別に良いよ。昔もお父さんと2人で住んでたし。」


(も、もしや……ファザコンなのかな?だったらこのルート難易度高けぇ~!!!(涙)



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