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ep1:青年リン

ゴミの山がある。

山である。

そう呼ぶ他なく大量に集められたゴミは見渡しても

濃い霧の向こうまでどこまでも続いて

地面と山を作っている。


一人少年がいる。いや青年だろうか、

彼は走っている。

その表情からうかがえるのは恐怖。

追手は5mほどの大きさの4輪ドローン

見た目の大きさに反して俊敏に動き

その圧倒的な機動性で青年や他の逃げ惑う人間に

辺りの物を投げつける。

襲撃者は一人二人と人々を屠りつつも

徐々に青年へと距離を縮めて行く。

青年はわずかな足場を複雑に飛びまわりながら

要り組んだ村を進む。

ここで言う村とはなにかの例えの言葉ではない

「人の生活している共同体」という意味である。


ゴミといってもそこにあるのは

錆びた電子機器類とそのパーツだったものたち。

悪臭に悩まされることこそないがその代わり、

足場と頭上はひどく不安定で

辺りには尖った金属が散乱し

心得のない者の侵入を拒んでいる。

そして彼はこの村の住人であった

だが、いつまでも器用に走り続けることはできなかった

オイルに濡れた足場に滑り尻餅をつき

そこから転げ落ちてしまう

するとすぐ頭上を追手の投げた何かが

飛んで行くのが見えた。


冷や汗を流したのもつかの間。目の前の山が燃え出す

機器から漏れ出たオイルに

今の投擲で火がついたのだろう

一瞬で火は先程の足場まで達し

衝撃で辺りの山も崩れだす

四方を囲まれた

絶体絶命である


逃げ場を探す青年

新しく足場を見つけそこによじ登る

火はもはや突破不可能なほどに

燃え広がっている

ドローンはいつの間にかいなくなっていた

それがむしろ残酷に

彼に死を告げているようだった

諦めかけたその時

彼は地面に着いた手に微風を感じた

彼の座る足場のすぐそば

金属のダクトが風を出している

すぐさま動き出した彼は足元にあった

鉄板を拾い上げ

ダクトのフィルターの隙間に差し込むと

体重をかけてこじ開ける

異音と共にひしゃげて外れたフィルターを放り

体をダクトの中にねじ込んだ











俺達の村はドーナツ型をしている。

昼になるとその真ん中目掛けて

空からゴミが降ってくる。

そしたらドーナツの内側にすむ人達が

地面から出てきて使えるものを集める

集められた資源は外側にすむ俺達が組み立てたり

金属を抽出したりして建材なんかにする。

俺達の村には機器類だけが降ってくるが

他の村では落ちてくる物の種類が違うようで

村々はお互いに物資を融通しあって生活している。


ある昼下がりの集会場兼食堂になっている広場に

俺はいつも通り飯を食べに来ていた。

こういう食堂は地下の各地にあり

食料の生産が困難なこの村において

住民が唯一食事をとれる場所であり

村長が交易の成果を住民に示し

忠誠を誓わせる場所でもある。

だが、その体制は崩れつつあった

30歳の新人村長、ダンは資源を巡る

交易の交渉に立て続けに失敗した挙げ句

先日住民に黙って軍事行動を起こし

隣村から食料を強奪したそうだ。


そんな彼は今、食堂の中央に立って

いかに自分が勇猛に戦ったのかを説いている。

それで自分への忠誠が元通りになるとでも

思っているんだろうか。


あらゆる村と断絶状態にあって

制裁待ったなしの状況のなかで

村内にはすでに新しい村長としてソーマという女が

名乗りをあげ、すでに他の村と独自に

交易を行っているらしい

当然俺はこの女の肩を持っているが

この哀れな男の行く末には興味があった

昨晩仕事中に思いつき

今朝執筆し現在に至ります。

誤字の指摘をいただけると有りがたいです。

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