見知らぬ場所
体が何かに吸い込まれるように痛い。
目をつぶり動けない状態でいるので、誰かが私を無理やり押さない限りこんな事にはならないはず。
目を開けようにも接着剤で貼り付けたようにピクリとも動かない。動かせない。
そこで違和感に気づく、あれ?私死んだはずでは?どうして今意識があるの?
体感的にちょっと前、クラスの男子が掃除中にふざけて遊びだし、
たまたま近くにいた私の顔面に、野球部エースの男子が投げた濡れた雑巾がストライク。
目の前が突如見えなくなり私はよろけ後ろに転ぶ、
はずが私がいた所は学校のベランダで、
そのまま頭から落ちる。高さは10メートル。
助かるはずもなく死んだはず。
つまりここは死んだあとの世界?
いや私はそういう宗教とかには入ってないので死んだあとの世界などは信じてはいなかったのだけど、
こんな生暖かくて息苦しくて目も開けられるような自由がないならそれでも納得出来る。
そんな事を考えていると、突如強い力で頭が引っ張られる。
いや、頭の上にとても小さな穴があり、そこに引き込まれている?
頭の上の方からヒュウっと、とても冷たい空気が流れてきた。
何やらそちら側から声も聞こえる。だけど、なんて言っているかは聞こえない。
そう考えてる間にもグイグイと穴へと引っ張られる感じが強くなっていくので、
私は無抵抗で苦しくないようリラックスした状態で穴の向こうへと行ける準備をした。
何せ、死ぬのは初めてだから。色んなことが気になるんだ。
ゆっくりと頭の先、首、肩、と穴の方へずりずりと進んでいく。
目をつぶっても眩しい謎の光。先程と違い寒い空気。やけにうるさい女性の声。
「congratulations!!」
何と言っているか分からなかったが、
女性らしい声が聞こえた後に私はまた意識が亡くなった