私は若年性認知症、好きな人の事も忘れる。
私は 『若年性認知症』記憶がなくなっていく。
途切れ途切れ1つ1つ消えていく記憶......。
私には付き合っていた彼がいた。
まだ、私が普通の女の子だった時までは......?
ちゃんと記憶があって、彼のことがとっても大好きだった。
でもある日を境に、記憶が留めておけなくなる。
その時は、ただのド忘れと思っていた。
それが頻繫に増えていく。
何かすると...? 何か1つ忘れる。
それが、2つ3つとどんどん増えていく。
そんな私にも彼は優しく接してくれる。
私が【若年性認知症】とわかった時も彼は私から離れて行かなかった。
ずっと彼は、私の傍にいてくれた。
彼が私に言ってくれた言葉......。
『ずっと、キミの傍にいるよ。キミが僕の事を忘れたとしても......。』
そして私は遂に恐れていた事が起きた、家の近所で迷子になったのだ。
何処にいるのか? 何故ここにいるのか? まったく思い出せなくなった。
どうしていいのかわからなくなって家に帰れなくなった。
それから3時間迷子になってやっと家に帰れた。
◆◇◆
私はどうなってしまったんだろう?
このままどんどん記憶を失っていく。
怖い! 私が私じゃなくなる!?
治らない脳の病気、記憶がなくなったら......?
せめて、私の事は忘れてもいい。
彼の事は憶えていたい!
失いたくないの! 彼の事、彼の記憶を......。
◇◆◇
でも? 彼女は僕の事も、自分自身の事も、家族の事、友達の事、
何もかもすべて失いました。
何も憶えていません。
僕を見ていても、ボーっと眺めています。
誰なのかわからない僕をじーっと見ています。
ただただ、何も発する事なく僕を見ているだけ......。
それでも、僕は彼女に会いに行きます。
『記憶を失くした彼女も僕の大切な人には変わりないから。』
これからもずっと。
『彼女の記憶がなくなる前に、彼女に言えなかった言葉......。
【愛しているよこれからも、僕を憶えていなくても僕は君を愛している】
それだけが、僕の心残りであり後悔だった。
今の彼女には僕の声が届かない。
最後までお読みいただきありがとうございました。