愛犬ランさん いつもありがとう
感謝をこめて
私がどうしようもなく辛い時も
ランはいつもそこで こちらを伺っている
4畳半の和室の端っこは、彼女の定位置だ
黒い毛皮と黒い瞳は、とても愛らしい
ランと目が合うと
ごふ、っと鼻を鳴らした
「もしかして、励ましてくれたの?」
泣き笑いが溢れた
言葉は通じないけど、視線だけで伝え合える
私が赤く腫れた目を擦ると
ランはゆっくりと上目使いで近寄ってきた
「さぁ私を撫でて、気持ちを落ち着かせてごらん?」
とでも言っているのかな
ランはごふっと、鼻を鳴らした
ありがとうね
またお前さんに励まされた
疲れた時も、嬉しい時も
辛い時も、悲しい時も
いつもそばにいてくれてほんとにありがとう
ぎゅっと抱き寄せて横になる
外の雨音に耳を傾け、ランの寝息が聴こえた
朝の気配に目覚め、起き上がった私は
酷く濡れた枕をしげしげと眺めた
寝ながら泣いてたのだろうか、
自分でも呆れていると
みかんのダンボールの陰に隠れたはずの君と
ふと目があった
ごふっ
なるほど
悪戯好きなランのしわざか
「らんちゃん、おいでっ」
ごっ、ごふっ
鼻を鳴らしながら上目使いで近寄ってくる
「ふふふ、いつもありがとうね。」
そっとらんちゃんを、抱き寄せる。
ごふ
涙を舐めてくれたのかな?
「ふふ、ありがとう」
さぁ、もうひと眠りしよう。
らんを抱き寄せて眠る、大切な日常