大地創生
「なんだここ・・・・」
翔の目の前には辺り一面何もない世界が広がっていた。
今まで暮らしてきた世界には空があり大地があり、はっきりと別れて存在していた。
しかし、翔の目の前に広がる世界は空も大地もなく辺り一面白で塗りつぶされていた。翔は足の裏に大地みたいなものを感じていた。だが全てが白で塗りつぶされているので感覚的には宙に浮いているような感じだった。
「どうだ?」
幼女は躊躇することもなく歩みを進め翔の隣にきた。
「いや・・・・どうだって言われても・・・なんだここは・・・・俺は今どこに立っているんだ?」
「ん?そりゃぁお前も感じているだろ?母なる大地だよ。」
確かに何か硬いものの感触はある。
「は?いやいやいや・・・・・・お前この光景が見えないの?大地って知ってる?大地って土か岩なんかがあるところのことを言うんだぞ?どこにそんな要素がある。白だけじゃないか。」
「ん〜そんなこと言われてもな〜」
幼女は小さな顎に手をあて考え始めた。
「よし!わかった!」
幼女がそういうと右手を前に突き出しOPENと小さく言葉を発した。
その瞬間ついさっき見たパネルのようなものが幼女の前に出現した。彼女はまた指で色々と操作をした。
「よし!これで出来るぞ!おい!」
「なんだよ」
「いいから私の言う通りにするんだぞ!もし間違ったらお前は死ぬからなwww」
「え!?しぬ!?おいおいおいおい!フザケンナヨ!何するかわからんがなんで死と隣り合わせの作業をさせられなくちゃいけないんだよ!?意味わからん!!部屋に戻って寝る!」
そう言うと翔は体を180度回転させさっきでてきた玄関へ体を向けた。
「へ?」
「いやいやwwwwwんなわけないよなwww」
翔は目を腕でこすって再び目の前の光景を見た。
普通なら目の前には普通の玄関ある。
だが目の前には玄関はおろか自分の家はなく振り返る前とまったく同じ光景があるだけだった。
「あれ?俺の家は?どこ行っちゃったの」
かけはそう言いながら手を左右に振りながら数歩前に歩いた。
「家?そんなもの最初から無いが?」
「いや。お前も同じところから出てきたんだぞ?無いなんてありえないだろ。もし本当に無いとして俺たちはどこから出てきたんだよ。」
「お前もしかして『接続の門』のことを言っているのか?」
「なんだそれ?」
「接続の門っていうのはその名の通り、異なる世界を繋げる門だ。」
「へ〜そんなもんがあるのか。で、俺のうちの玄関はどこ?」
「いや、だからその玄関が接続の門なんだよ。」
「なに言ってんのお前。うちの玄関は普通の玄関だよ。扉を開ければ外に出られる門だよ。そんなよくわからんものじゃ無いよ。」
「だ・か・ら!その玄関が接続の門だと言っている。その門は選ばれた者が通ると自動的に消えるんだ。だからお前の目の前にはなにも無い。理解できたか?」
「だ・か・ら!俺のうちの玄関はそんなもんじゃ無いんだって。もし仮になんだうちの玄関が接続の門だとして、なんで今まで普通に通って仕事に行けたんだ?さっきの説明だと出た瞬間に消えてるだろ。」
「その時は選ばれていなかったからに決まってるだろ。」
「頭いてぇ・・・・・・・・」
翔の頭では到底理解できない内容だった。それも仕方がない。今までその玄関から仕事に行っていたのだから。もし本当に『接続の門』だったなら仕事に行くどころか既にこの世界に飛ばされているはずである。意味がわからない。翔は両手を頭に当てながら知恵熱を出した。
「もういいや。これ以上お前とその話をしていると頭がおかしくなる。つまりなんだ。うちの玄関は普段の世界と今の世界をくっつけるもので、選ばれたものが通ると消えると。でなんで今まで消えなかったのかというと、まだ俺が選ばれていなかったから。これでいいか?」
「うむ。」
幼女は腕を組みながら頷いた。
「で、その門を開くにはどうすればいいんだ?帰りたいんだけど」
「確か神が課した試練をクリアすれば開くらしいぞ?本当かどうかは知らんが」
「は?試練をクリアすれば開く?なんだよそれ。試練なんてしらねぇよ。」
「ん?確かに伝えたはずだが。「世界を作ってもらう」と。」
「え?世界を作る?俺が?俺創造神じゃなくてだたのサラリーマンなんですけど。」
「だから選ばれたと行っただろう。お前はこの世界の創造神に選ばれたんだよ。」
「マジかよ・・・・・・・・・・・・・俺・・・・・・・・・・・・・神様になっちゃったの・・・・・・・」
翔は遠くを見つめた。その目は完全に死んだ魚の目をしており、体からは何もかも諦めた感じがにじみ出ていた。
「もういいや。どうでもいいや。」
「おいしっかりしろ。神様ともあろうものがそんなんでどうする。シャキッとせい!」
幼女はそういうと翔の尻を思いっきり叩いた。そこは背中を叩くのが普通だが幼女の身長ではさすがに背中まで届かないためちょうど良い高さにある翔の尻を叩いた。
「はいはい。で。俺はなにをすればいいの。」
「うむ。それで良い。ではまず私がお手本を見せるからそれをしっかりと覚えるんだぞ。」
「わかったから早くしてくれ。」
幼女は両手を前に突き出し『この世界の理に従い我が命に答えよ。ハイ・カソ・ルーディア!』と唱えると同時に突き出した両手を勢いよく合わた。
その瞬間、辺り一面が茶色い何かに覆われた。
「うお!なんだ!?」
「ちょっと触れてみろ。」
翔は恐る恐る出現した茶色いものに手を伸ばした。
「これは・・・・土・・・・?」
その感触は今まで触れてきた土と同じもので、漂ってくる匂いも確かに土の匂いだった。
「そうだ。これで大地はできた。簡単だろ?」
「オォォおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!すげぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!これ魔法じゃん!!!!!何?お前魔法使いだったの!?」
「いいから。お前もやってみろ。」
そういうと幼女は再び両手を前に突き出し、『ファラ・チ・バラ』と唱え勢いよく手を合わせた。その瞬間翔の手の中にあった土は消え、辺り一面も大地ができる目のものに代わり白一色となった。
「わかった!」
翔はさっき幼女がやっことと同じように両手を前に突き出し
『ハイ・カソ・ルーディア!』
と唱え手を勢いよく合わせた。その瞬間、翔の体は少し沈んだが、周りの景色はさっきと変わらない白一色だった。
「あれ?」
「足元を見てみろ」
翔は自分の足元に視線を移した。そこにはさっき幼女が出現させた土が翔を中心に半径30cmぐらいの大きさの円描いて出現していた。