新しい世界
「・・・・・・・」
翔は黙ったまま立ち上がりゆっくりと幼女の方に向かって歩き出した。
「お?ポンポンの方は大丈夫なのか?」
「あぁ・・・お前のおかけでようやくポンポンの調子は絶好調になったぜ。ありがとよ。」
「なら良かった笑」
「もういいや。お前にお仕置きをするのは今度にしてやゴフ!」
「あ・・・・すまない。消すのを忘れておった」
そういうと幼女は右手を突き出し理解できない言語を発音した。
その瞬間、何かが割れる音が翔の前でなった。
「なんだ?今の音は?誰かうちの窓でも割ったのか?」
「違う違う。さっきお前が私に殴りかかって来た時に作った壁を破壊したのだ。
「は?何言ってんのお前?」
「ものは試しだ。こっちに向かって歩いてこい」
「やだよ。そっちに行ったらまたよく分からないものにぶつかるだろうし。せっかく止まった鼻血をまた流したくないしね」
「たく・・・・飛んだ臆病者だな。」
そういうと幼女は先ほどと同様右手を突き出し人差し指を手前に向けて一度だけ振った。
「へ?」
その瞬間、翔の襟元は勢いよく引っ張られ幼女の方に体を持って行かれた。
「うわうわうわ!なんだなんだ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
「な?大丈夫だったろ」
目を開けるとそこには幼女が可愛らしい笑顔を受けべながらこちらを見て立っていた。
「お前・・・一体何者だ?」
「私か?私はお前にこの世界について教えるために作られた存在だ。まぁ簡単にいうとお前の先生だな」
「は?この世界について教えるため?何言ってんだお前?もうこの世界に生まれて20年以上経ってるんだぞ?今更何を教えるというんだ?」
翔は幼女の言っていることが全く理解できなかった。確かに翔が今いるのはずっと暮らしてきた家で世界についても幼女以上に理解している。
「まぁ理解できないのは仕方ないか。この世界に連れてこられてからさっきまで寝ていたんだからな。ちょっと私についてこい」
幼女は体を反対側に向けて洗面所から出て行って。
「おい。どこ行くんだよ。」
「黙ってついてこい。ついて来ればわかる。」
翔は黙って幼女の後を周りを見ながら歩いて行った。
『何を行っているんだこいつは。どっからどう見ても俺の家だろ。もしかしてこいつちょっと早い厨二病でも発症してるの?』
「厨二病ではないぞ」
「なんでわかるんだよ!!」
そんなことを考えてるといきなり幼女が立ち止まった。
「うぉっ!いきなり止まるなよ」
「ついたぞ」
「・・・・・・・・いや。玄関じゃないか。」
幼女が立ち止まったところはなんの変哲も無い玄関だった。
そこにはいつも履いている靴が無造作に転がっていた。しかし、そこには自分の靴しかなくどこを探しても幼女の靴はなかった。幼女は裸足のまま扉の前に立って翔に向かって話しかけた。
「ここから先にお前が”作り上げる世界”がある」
「だから何を言ってるんだお前は」
「いいからドアを開けてみろ。そしたら説明してやる」
翔は露骨に不満感を醸し出しながドアノブに手をかけ扉を開いた。
「うっ・・・・」
ドアを開いた瞬間、今まで感じたことのない熱と光を感じた。