可憐な幼女
誰だこいつ?
幼女は表情を一切変えずにこちらを見ている。
何を考えてるのか全くわからない。もしくは何も考えていないかもしれない。
ただそこには、綺麗な青髪に緑色の目のまるで人形みたいな幼女がいた。
本来ならば速攻話しかけて機嫌を取り一緒に戯れるところだが
この幼女からは得体の知れないものを感じる。
翔は本能でその感覚を察知し
関わってはいけないと考え無視するこのに決めた。
「ん〜・・・ここは俺の部屋か」
翔は首を回して部屋を見渡した。
そこにあるのはいつもと変わらず汚い部屋があった。
床には衣服などが散らばり、テーブルの上には食器などがたくさん置いてある。
そんな部屋の中にポツリと幼女がどこから持ってきたかわからない椅子に腰をかけてこちらを
ジッと見ている。
「きみ悪りぃな・・・」
翔はそう思いながら布団から体を起こしドアに向かって歩き出した。
そんな時でも幼女はこちらに視線を送ってきている。
「まぁほっとけばいつかいなくなるだろ。
さて顔洗って朝ごはんでも食べるかな。
いつも通り目玉焼きとトーストでいいだろう。」
そんなことを考えながら翔はドアノブに手をかけて廊下に出て洗面所まで足を運ぶ。
「本当に誰なんだ?あの子は。
あんな子知らないぞ。いとこにしては幼すぎるし、まずいとことかいないしな。
まさか新しい子供!?おいおい・・・
お袋と親父、何歳だと思ってるんだよ。今年でもう60だぞ。
さすがにないだろ。母さんももう子供産めないだろな。
じゃぁ可能性としてあるのは親父の隠し子?
いやいやいやwwwwwww
ないないwwwww
あんな老いぼれ禿げ親父のこと好きになって子供
作ろうってなる人がこの世にいるわけないなwwwww
加齢臭もひどいし。最近気にして香水とかつけてるけどその香水の匂いだ加齢臭以上に
キツイ匂いを放ってるしな。ありえないな。
じゃぁ
本当にあの子はなんなんだ?」
そんなことを考えているうちに洗面台の前まできた。
翔はお湯を出し、さっきまで考えていたことを洗い流すように顔を勢いよく洗い始めた。
「きゃっ!!」
「ん!?
なんですか?今の可愛らしい声は?
なんだろう。俺の保護欲が今急上昇している!」
そんなことを考えてまた顔を洗い始めた。それも勢いよく。
バシャッ!
「きゃっ!!」
バシャッ!
「きゃっ!!」
バシャッ!
「きゃっ!!」
「なんだろう・・・・
とても癒される・・・
あぁ・・もっと聞いてたい・・・
さぁ!俺にもっと癒しをおくれ!!!!」
バシャッ!
「ゴフゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「フーフーフー」
翔は勢いよく壁に衝突した。
「イッッッッッッッッテェェェェェェェぇぇぇぇええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
誰だゴラァ!!!!!!!
いてぇだろうが!!!!!!
ちょっと表出ろヤァ!!!!!!ゴラァ!!!!」
「寒い・・・・」
「へ?」
翔は間抜けな声を発して、声のした方に目をやると
そこにはびしょ濡れになった幼女が顔を真っ赤にしてこちらを
睨んでいた。