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8話 牙折

2ヶ月後。

火魔法、地魔法の初級と水魔法、風魔法の中級を習得した。

中級になった瞬間に魔力消費量が一気に上がり、最も少ない魔力消費量で初級の一番多いのよりも2倍ほどの魔力消費量になった。

無詠唱も試してみたが威力、精密性が落ちるだけで、魔力消費量は変わらいみたいだ。

逆にゆっくりと詠唱してみると普通に詠唱した時と魔力消費量は変わらず、威力、精密性が上がる。

詠唱は魔力を練るという作業だと考えてよさそうだ。


剣術に関しては、明日からから技の練習に入る、と父さんに今日の基礎トレーニングの後言われた。

まぁ今日は寝るだけだ。おやすみなさい。




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はい、おはようございます。

最悪ですね、土砂降りの雨です。

これでは、剣術の修行ができません。

とか思ってたら

「今日は収穫祭の用意があるから雨降って欲しくなかったんだよねぇ。」

と、呟きながら、傘のようなものをさした村長が家に来た。

村長は50歳くらいで、若い頃はさぞモテたであろう顔をしている。頭頂部が少し寂しいが。

たまに店に来る程度だが、僕の顔と名前は覚えているみたいだ。

「ヴァンくん、アニタさんを呼んでくれないかい?」

母さんに用があるらしい。

「母さんですか?ちょっと待っててください。」

母さんを呼びに行く。

村長が呼んでいると伝えると母さんは面倒くさそうに

「わかった。すぐ行くわ。」

と言い、村長がいる玄関へと足を運んだ。

「何の用ですか?村長。」

「収穫祭の用意を今日したいと考えてたのですが生憎この雨でですね。つきましては雨を止めて頂きたいと思いまして。」

と、村長。母さんはやっぱりか、と言いたそうである。

天候操作!?そんなの魔法教本にあったか?

「アニタさん、貴女以外この雨を止めることが出来る人はいないんです。」

母さんしか出来ないのか。

「やってもいいけどお金は頂くわ。」

「もちろんですよ。」

母さんは村長から金を貰うと土砂降りの中、傘もささずに外に出た。

「これやるともう今日1日魔法使えないのよね。」

と呟くと天を仰ぎ、魔法の詠唱を始めた。

「母なる海よ、その力の全てよ!終わりを告げる暴風よ、その力の全てよ!我は天を笑わせんとする者!嗚呼、空よ、風よ、太陽よ、白き雲よ!我に呼応しその全貌を今あらわにせよ!そして、燦々と照りつける太陽を我が目前へと誘い給え!

エイステリオスケイロス」

唱え終わると物凄い風と水が空に舞い上がった。

その風と水が雲に到達した瞬間、雲が消えていく。雨が止んでいく。

「いやぁ、ありがとうございます。これで心置き無く収穫祭の用意ができますよ。」

そう言って村長は去っていった。

さて、母さんにあの魔法がなんなのk

「なんだったんだ、あの魔法は。って言いたそうな顔してるわね。」

「ふぇ!?」

心を読まれました。

母さんは少し笑うと

「あの魔法はね、混合魔法って言うの。ヴァンが読んでる教本には載ってないわ。」

僕が読んでる教本には、か。

魔法教本って一つじゃないのか

「他の教本に載ってるんだけど、その教本は家にはないわ。」

「どこにならあるの?」

「うーん、あまり数がないのよ。多分、王国の図書館とかに行かないとないわね。」

王国だと。やはりあるのか。

「まぁ、教本の数がないのは使い勝手が悪すぎるからなんだけどね。魔力消費量が一番多い上級魔法の5倍程度なのよ。そのせいで魔力量的に使える人も少なくてね。私もあれ使ったら1日他の魔法使えないわ。」

そうなのかぁ。僕の魔力量で使えるんだろうか。

色々考えていると

「お、晴れたな。いや、アニタが雨雲を吹き飛ばしたのか。よし、ヴァン、剣術の練習やるぞ。」

「はい!」

待ってました!

この2ヶ月間の基礎トレーニングの成果を見せてやる!

「剣持って外でろー。」

「はい。」

外に出る。父さんも剣を持っている。

まじまじ見つめていると

「刀が気になるか?俺の愛刀だ。冒険者時代から使ってる。」

そう言って笑う。

「どの流派をやりたい?」

どうしようか。うーむ。

「最初は剣狼流がオススメだぞ。単純で強い。」

オススメなら、剣狼流にしようかな。

「剣狼流にする。」

「分かった。付いてこい。」

村の広場に移動する。

ここら辺でいいか、と父さんが呟く。

「よし、まずは初級の技、牙折からだな。牙折は相手の篭手を切り、剣を落とす技だ。見てろ。」

そう言うと父さんは地魔法で土の人形を作り出した。中段に剣を構えている人形だ。

父さんは中段に剣を構えた。

『剣狼流・初級技・牙折の使用を確認¦使用者・ルシアン』

声が頭の中で響いた次の瞬間、父さんは

右足を踏み込んだ。それと同時に剣が人形の指を切り落とした。

太刀筋見えなかったよ、父さん…

「見えたか?」

「見えてない。」

「あ、やっぱり?」

見えないってわかってたんかい!

「もう1回、今度はゆっくりやるから、よく見てろよ。」

「はい。お願いします。」

父さんは人形の腕を直すと剣を中段に構える。

『剣狼流・初級技・牙折の使用を確認¦使用者・ルシアン』

右足を踏み込んだ。

今度は太刀筋が見える。

人形の剣を弾き、指を切り裂く。

剣と指が落ちる。

「ふぅ、こんな感じだ。コツとしては相手の剣を弾く時にあまり力を入れないということかな。さ、やってみろ。」

父さんが土人形を治した。

僕は剣を構える。

右足を踏み込む。

剣を弾く。

その後、指を切り裂く。

失敗した。指に当てられなかった。

「何度もやってみろ。見せて欲しければ言え。」

「はい!」

繰り返して13回目で成功した。

「父さん!できたよ!」

「おお!よし、それを失敗しなくなるまでやり続けるんだ。」

父さんが土人形を直しながら嬉しそうに言う。

繰り返す。繰り返す。

何回目からだろうか。

失敗しなくなったのだ。

「ヴァン、やったな!これで牙折はマスターだ!」

「やった!ありがとう!」

手が痛い。腕が痛い。体中が痛い。

まぁ、嬉しさが勝るな。

「この後、少し仕事しないといけない。明日は2つ以上できるように仕事を空けておくから、明日もやるぞ。」

「うん!頑張るよ!」

こうして僕と父さんは帰路についた。


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