7話 風魔法
昼食である。
干し肉とパン、それに豆のスープである。
朝食のメニューに干し肉が追加されました。
家族5人揃っての食事である。
「初めての剣の修行、まぁ基礎練はどうだ?」
と父さんが聞いてくる。
「疲れた。眠い。」
率直な感想である。
「はっはっはっ。慣れたら楽になるぞ。エステル、ミナスは1ヶ月くらいで慣れたよな。」
それ、何歳の時だよ…
「私達は12歳の時だったよ、父さん。まだあのメニューはヴァンには厳しいんじゃない?」
エステル姉ナイス!
「いや、男だからな。問題ない。現にちゃんとできたじゃないか。大丈夫だよな?ヴァン。」
疲れたし、筋肉痛にはなるだろうが問題ないだろう。
「まぁ、大丈夫だよ。」
父さんが豆のスープを飲みながら何気なく
「明日から毎日やれよ。」
と呟く。
は!? 毎日ぃ?流石に死ぬよ…
「それは…」
「大丈夫なんだよな?」
目が怖いよ、父さん…
「は、はい!」
迂闊だった。あの言質はこのためか…
まぁいいや、午後はゆっくり休もう。
「ヴァン、午後は風魔法の練習をするからね。」
と、母さん。
休みなんてないらしいです。
「はい、母さん。」
死んだ魚のような目になっていたのだろう。
対面に座っているミナス姉が心配そうに僕を見つめている。
ほぼ無関係の姉に心配はかけるわけにいくまい。
ニコリと笑ってみる。
少し安心したようでニコッと笑い返してくれた。
まぁよかった。
------------------------------------------------------------
食休みをしてから庭に出る。
風魔法の練習だ。
「はい、最初はこれね。」
えーと、初級のアネモスディミウリギアか。
「今回は手をかざすとかしなくていいわよ。」
「はい。」
どこから出るんだろうか。
まぁいい。唱えれば分かる。
「終わりを告げる暴風よ、その力の一端よ、ここに現れよ!
アネモスディミウリギア」
風が吹き始める。
大して強くもない風だ。
木々がざわめく程度である。
終わりを告げる暴風の一端の力ってこの程度なのか。
ていうか、魔法なのか?これ。
偶然風が吹いただけじゃ…
「これ、発動出来てるの?」
「ん?発動してるわよ。」
あ、出来てるんすね。
風が止んだ。
「次は、アネモスバラね。」
ネロバラと同じ系統だろう。
風の塊を相手にぶつけるってやつだと予想する。
手を少し前にある木の方にかざして
「終わりを告げる暴風よ、その力の一端よ、威風堂々たる宝玉となりて我が敵を打ち払え!
アネモスバラ」
手から見えないなにかが放出された。
次の瞬間、木が少し抉れた。
見えかったが、やはりネロバラと同じようなものだろう。
今回も初級を一通りやってお開きになった。
初級の風魔法はなんというか、水魔法と同じような感じだった。
一つを除いてだが。
アネモスディミウリギア¦風をどこからか出す。
アネモスバラ¦風の塊を相手にぶつける
アネモスクシィーフォス¦風の剣。なぜ持ててるかが良く分からない。視認はできるが見えにくい。ネロクシィーフォスと切れ味、持続時間は同じ。
アネモスヴェロス¦風の矢。ネロヴェロスと長さ、効果は変わらず。
アネモスアスピダ¦風の盾、のはずだがどちらかと言うと空気の盾に近い。2分ほどで消えた。
アネモスアルスローセオン¦手に風を纏う。防御効果、殴る力を上昇させる効果がある。上がり方はその人の筋力依存。2分ほどで消えた。
アネモスアルスローセオン以外は水魔法とほぼ同じである。
魔力消費量もほぼ変わらない。
アネモスアルスローセオンとネロオティシーの魔力消費量がほぼ同程度だった。
明日は火魔法の初級をやるらしいが、この分だと水や風とほぼ変わらないのだろうなぁ。
まぁ、うん。
剣術のための基礎トレーニングと一緒にがんばっていこう。
魔法の名前がものすごく分かりにくいのはご容赦していただけると作者はとても喜びます。