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2話 転生前、最後のお話

できる限り1日1話更新して行きます。

僕が何故運が良いかの話だったね。

それは、人間が神と呼ぶ存在に目をつけられた事だ。



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「おーい、聞こえているかい?………まだ目を覚まさないか…」

という声を意識が消えたはずの僕の耳が聞き取った。女性の声だった。

「うっ…」

徐々に意識がはっきりとしてくる。目が開く。

「あ、起きたようだね。」

その声の主は僕の顔を覗き込んでいた。目が合う。

「うわあぁぁ!!」

通り魔に襲われた時の記憶が蘇る。

その恐怖で思わず叫び、起き上がる。

「落ち着いてくれよ。大丈夫だよ、ここに君を殺したやつはいないよ。というか人間自体いないけどね。」

と軽い調子で僕に話しかけてくる。

通り魔に刺された痛みも傷も綺麗さっぱりなくなっている。

「ここはどこですか!?貴女は誰ですか!?なんで刺された傷が消えて…」

マシンガンのように質問を投げかける。

「混乱してるだろうけど、質問は一つずつで頼むよ。私でも全知全能って訳じゃないからね」

と言われる。

「ここはどこですか!?」

「ここはね、君たちの言う神様がいる場所だよ。天界とか言ったりするね。で、私は俗に言う女神様ってやつだよ。名前はレイア。」

と、当たり前のことのように返答される。

「ふざけないで下さい!」

「あらら、やっぱ信じて貰えないよね…。仕方ない、アレをやるしかないか。」

そう言うと自称女神はブツブツとなにかを唱えだす。それが終わったかと思うと、

『神の権能・過去への回帰の使用を確認¦使用者・女神レイア』

そんな言葉が脳内に響く。

「さて、始めるよ。君は今から君自身に何があったかを見てきてもらうよ。トラウマものかもしれないけど、信じてもらう方法としてはこれが一番手っ取り早いからね。」

そう言って自称女神が僕の手を取った瞬間、僕が死んだ時の映像が頭の中に流れ込む。

それも通り魔視点の映像だった。

「はい、これが君が死んだ経緯。ま、覚えてるだろうけどね。」

自分で自分を刺し殺しているという場面を見た僕は恐怖と驚きで吐きそうだった。

だが、こんなことが出来るのは神か悪魔くらいだろう。

「あらら、やっぱ吐き気するよね…。ごめんね、これしか信じてもらえるような方法が無くてね。こんなこと、神にしかできないと思わないかい?」

と軽い調子で聞いてくる。吐き気が収まってきた。

「なんで、殺されてるのを見てたのに助けてくれなかったんですか…?」

そんな感情がふつふつと湧き上がり、感情に任せた言葉が吐き出される。

「神だなんだ言うのなら助けろよ!!」

女神はきょとんとしていたが、少しして口を開いた。

「見ていたのは他の神なんだ。私は君の世界の神じゃない。」

「その神はただ平凡に生きてきただけの人間を見殺しにするのかよ!そんなの神じゃないだろ!」

「さっきも言ったけど、私達神は全知全能じゃない。自分たちが受け持つ世界に基本は干渉できないんだ。」

「言い訳だろ!ふざけんな!」

僕は怒りに身を任せ、自分が何を言っているのか、半分くらいわからなくなっていた。

「君の気持ちはわかる。だから君はここにいるんだよ。」

「どういう意味だ…?」

女神は真面目な顔で説明を始めた。

「私達、神はね、死んだ人の魂を自分たちが受け持つ世界で循環させるんだ。でもね、例外がある。それはその世界で悲惨な死に方をした人、まぁ君みたいに、はらわたを抉り出されたりとかした人達は他の世界に魂を移すんだ。悲惨な死に方をした人をそのまま同じ世界に転生させると、人を殺したり盗みを働いたりと必ず大きな罪を犯してしまうんだ。それは他の世界に魂を移すことで抑えられるんだ。」

「異世界転生ができるってことか?」

と質問すると

「そういうことだよ。でもね、君達が言うような前世の記憶を保持したままとか、めちゃめちゃ強いとかは出来ないんだけどね。」

と返答が来た。

「それ、僕に言わずに異世界に転生させればい良んじゃないのか?」

「そこで君に朗報があるんだ!」

と悪戯っ子のような笑みを浮かべて女神が言う。

「君は試験的に前世の記憶を持ったまま異世界に転生してもらうよ。ついでにちょっとした能力のプレゼントもしてあげる。まぁ記憶を消して転生したいなら消すけどね。」

この言葉を聞き、疑問が出る

「僕が転生する世界はどんな世界なんだ….?」

よくぞ聞いてくれました、とばかりに女神が目を輝かせ、話し出す。

「それはね、私が受け持っている世界でね。簡単に言うと剣と魔法の世界だよ!」

ライトノベルとかに多いやつだ。

男なら誰もが1度は憧れるだろう。

かくいう僕もドラ〇エとかは大好きである。

「どう?記憶を残して転生してみたい?」

答えは決まっている。

「してみたい!」

そう答えると女神は笑顔になり、数秒後に神妙な顔つきになった。

「よし、転生する上で言っておかなきゃいけないことがあるんだ。まず、君が記憶を残して転生する理由なんだけど、私の世界は魔物が強くなりすぎちゃってね。人間が減ってきているんだ。それを助けて欲しい。言うなれば勇者だよ。次に、転生特典の能力だけど、それは転生してからのお楽しみってことになる。最後に、君は死んだら記憶を無くしての転生になるからね。」

勇者、である。僕が。

「僕なんかでいいのか…?」

「まぁ実際、誰でも良いからね。君は運が良かったんだよ。はらわた抉り出されて死んでるけどね。」

誰でも良かったのか…

少ししょげていると女神が

「あ、敬語で話してくれてもいいんだよ?」

と、とてもにこやかな笑顔で言ってきた。超怖い。

「敬語で話させて頂きます…」

女神は満足そうに頷く。

「よし、じゃあ転生させるよ。たまにお告げみたいな感じで夢に出るかもしれないから、よろしくね。じゃ、目を瞑って。」

『神の権能・異世界転生(記憶残留)の使用を確認¦使用者・女神レイア』

目を瞑ると意識が体から離れていった。



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僕はこうして元いた世界から女神レイアの管理する世界に転生した。

これが。僕のこれまでの経緯だ。


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転生してからの僕の物語はこれから僕が紡ぐことになるのだ。

女神に選ばれた運の良い勇者としての物語を。

1話と2話の話の長さに差がありますが、話の流れによって長さが大きく変わります。ご容赦ください。

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