お見舞い
投稿に関して補足させてもらいます。
前回に述べた様にこれからは出来次第投稿しますが投稿時間は朝か夜の9時にします。
母リースが持ってきたスープを飲み、寝ていたがオレは物音を聞いて目を覚ました。
額に当てていた冷水で冷たかった布ももうぬるくなっている。
リースを呼ぼうとして上半身だけ起こすと、ドアをノックする音が聞こえた。
「母さん、氷持ってきて欲しい、、」
「シン!大丈夫?!」
入って来たのはなんとアリシアだった。
「アリシア?!なんで?!」
「なんでってお見舞いに来たのよ。お・み・ま・い」
「いやいやダメだろ。移っちゃうだろ?」
「いーの。シンみたいにビショ濡れになった訳じゃないからそう簡単に移らないわ。」
「それはそうだけど、、とにかく、ん、ゴホッゴホッ」
「ほらほら、大人しくしときなさい。氷いるんでしょ?リースおばさまから貰ってくるわ。」
「あ、ありがと。」
そう言ってアリシアは氷を貰いに行った。
(畜生かわいいなぁ。願ってもないシュチュエーションだけど流石に移してしまっても悪い。早目に帰ってもらおう。)
考えているとアリシアが氷を持って入ってきた。
「私がやってあげる。それ貸して。」
アリシアはオレが持っていたさっきより更にぬるくなった布を指しながら言った。
「うん、頼むよ。」
そう言ってアリシアに手渡す。
「うわわ、あったかい。シン、ほんとに大丈夫なの?」
そしてアリシアはオレが想像もしなかったことに行動をうつす。
「熱すごいよ。」
アリシアは、『額』のオレの『額』にくっ付けて来た。
(うおおぉぉお!?近い!近いよアリシア!)
「ほら顔も赤くなってきた。シンはもう寝て。」
さらにアリシアはオレに覆い被さるようにしてオレをベットに押し付けた。
(ちょ!やめて!なんかヤバいって!ってオレは何考えてるんだよ!アリシアはまだ子供だぞ!)
そして更に顔が赤くなるオレ。
「ハイハイ。熱がまた上がってきたみたいだから早く寝ちゃって」
「ア、アリシアも早く帰れよ。移ったら悪いし…」
「ヤダ。シンが寝付くまで側にいる。」
「ヤダって。やめてよなんか恥ずかしいから」
「ううん、ヤダ。居る。」
「もう、移ってもしらないからな。」
「そしたら今度はシンがお見舞いに来てね?」
「そ、そんなの当たり前だろ。オレはもう寝る。」
「はい、おやすみ。」
オレは気恥しいさを隠すようにして布団に潜った。意識があるうちはそばにアリシアの気配を感じていて、なんとも言えぬ緊張感があったがいつの間にかその緊張感も途切れ眠りに落ちていた。
オレは寒気を感じて目を覚ました。どうやらいつの間にか自分で布団を剥がしていたらしい。
(流石にアリシアは帰ったか。)
部屋の中にアリシアの姿は見つからない。寝る前にアリシアがいた場所に手を当ててみると少し温もりを感じる。アリシアが帰ってからそれほど時間が経っていないのが分かる。
ベットから降りると立ちくらんだがさほど調子が悪くない。風邪が治ってきている。次第に空腹感も出てきたので台所に向かう。
「母さん。なんか食べ物ないー?」
「あ、シンくん。起きたのね、もう大丈夫?」
「うん、だいぶ良くなったよ母さn、、、」
オレは母さんの隣にいる姿に目を奪われてしまう。
「シンくんどうしたの?」
「な、なんでアリシアがいるの?!帰ってなかったの?!」
そこにはエプロン姿のアリシアがいた。まだあどけない姿だが、それだからこその色気が少しにじみ出ている。裸エプロンでは無いぞ決して、裸エプロンでは、大事なことなので2回言っておく。
まだ5歳にも関わらずアリシアはなんかグッとくるものを時々出してくる。母親の血のせいだろうか、たまにアリシアはものすごく大人びて見える。アリシアの母親であるルナマリアは見るもの全てを虜にしてしまうような人だ。その外見だけでなく、雰囲気もとてつもなく見ているほうを朦朧とさせてしまうものがある。
どうやらアリシアには母親の遺伝子がちゃんと働いてしまっているらしい。5歳である今でさえこれなのだからこれから先がとても楽し、、ゲフンゲフン思いやられてしまう。
オレはそこで思考を止め、アリシアに改めて質問する。
「アリシア、君はオレが寝たら帰るって言ってたよね?移ったらいけないからって。」
「うん。だから帰ったしじゃない。シンの部屋から、ね?」
そう言いながらアリシアは指を立ててウインクしてきた。
「かわいいなおい。ってそんな屁理屈でわざわざ病人のいる家にいるなよ。本当に移してしまって知らんないぞ。」
「えーだってー。リースおばさまと、、、」
アリシアが顔を若干赤くしながら言葉を濁した。そこへ母リースが割り込む。
「はいはいそこまでよシンくん。アリシアお嬢様はシンくんのために今までここにいたのよ。」
「へ?オレのため?どうして?」
「はいこれ、お腹空いてるんでしょ?」
オレは母さんがテーブルの上に置いたものを見る。シチューだ。
「あ、シチューだ。ありがと母さん。いただきまーす。」
先程浮かんだ疑問よりも空腹感が勝り、オレはシチューにがっつく。
「シンくん、そのシチューおいしい?」
「え?普通においしいけど。なんで?」
「ふふ、アリシアお嬢様よかったですね?」
「え?本当に?よかった!」
そう言って母さんはアリシアのほうを見る。そしてアリシアはぱぁっと笑顔になる。もしや、、
「もしかしてこのシチューアリシアが作ったの?」
「そうよシンくん。まぁ私も少し手伝ったけどアリシアお嬢様が頑張って作ってくださったのよ。」
Oh..マジですか。どおりでおいしい訳だね。なんたって美少女が作ったってだけでその料理は三ツ星が付いてしまう。まぁこのシチューは普通においしいけどね。
「アリシア、ありがとう。そ、その、さっきはきつく言って悪かったよ。」
「ううん。大丈夫よシン。私も悪かったわ」
「ふふ、若いっていいわねぇ。」
人間よりも長い寿命を持ち老けるのがとても遅いエルフの血を継ぐまだ実年齢よりも少なくとも10歳は若く見えてしまう母さんがなにか言っているが気にしないでおこう。ちなみに母さんは今28歳、正直に言うと外見だけならゆるふわ系JKだ。そんな母さんと結婚した父さんは地球の観点から見れば少し危なくなってしまう。ふたりは髭をはやしたダンディな男前とゆるふわ系JKなのだ。
オレはこの後シチューを食べ今度こそ家からアリシアを屋敷へと帰らせた。アリシアはもう日も暮れ始めていることもあり、文句を言いながらも帰ってくれた。
「今度なにかお礼しなきゃな。」
オレは風邪を全快させるためにも今日まではしっかり休むことと母さんから言われたのでベットにつき瞼を閉じた。眠れるか分からなかったが、美少女成分入りの三ツ星シチューも腹に入っていたせいかすぐに意識は落ちていった。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
次回は出来次第朝か夜の9時に投稿します。
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