異世界での目覚め
称号に関しての補足を追加。【力】を【筋力】に変更。
「@%+#%-%-#~!」
「%#%8%-@@ーー@!」
耳元で誰かが喋っている。オレはその声で目覚めた。しかし、何を言っているのかは分からなかった。やっぱり異世界で使われてるのが日本語や英語なわけないか。目を開けても視界はボンヤリしていてよく分からなかったが、これからも判断して男女がオレに向けてなにか喋っているのが分かった。
(多分この2人がこの世界でのオレの両親なんだろうな。)
そう思っていると、浮遊感を覚えた。きっとどちらかが俺を持ち上げたのだろう。なつかしい感覚を感じていると次第に視界がハッキリしてきた。視界に写ったのは清楚な感じがする顔立ちをした女性となかなかイケメンな男性だった。
(この2人の遺伝子だったら、オレはなかなか整った顔立ちになりそうだ。)
つまらないこと(ではないが)に一安心すると、眠気に襲われたのでオレはそのまま寝ることにした。
ーーーーーーーー5年後ーーーーーーーーーーーー
オレは5歳になった。5歳になるまでにわかったことは大きく分けて3つだ。この世界で使われている言語、この世界の現状、そしてオレ自身のことだ。
まず、この世界での言語だが、5年間周りの大人達が喋っているのを聞いているうちに読み書きはまだ完璧ではないが、日常会話程度なら難なくできるようになった。
実はこのことについてオレはかなり心配していた。前世でのオレの英語の成績は散々たるものだったからだ。すぐに覚えられたのが神から与えられた才能か脳がまだ赤ん坊だったお陰でもの凄く柔らかかったせいかは分からないが。
次にこの世界のことについてだが、流石は異世界らしくここには普通の人間とは違ういわゆる亜人に当たるものがおり、地理も地球とはかけ離れたものだった。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
この世界についてまとめると次のようになる。
この世界の人間は4つの種族に分かれている。
まず、『人族』。これが総人口の半分以上を占めているらしい。
そして『獣人族』、『エルフ族』、『妖人族』がいる。細かく分けるともの凄い数になってしまうぐらい種族はあると大人達が言っていた。それぞれの種族に特性があるということも知った。例えば獣人族ならば生まれつき身体能力が高く、エルフ族は人族の約1、5倍の寿命がある等だ。
この世界は途轍もなく大きい大陸で形成されており、その大陸はこれまた、もの凄く大きな川によって大きく5つの州に区切られている。
ちなみにオレがいるのはザオキール州だ。ザオキール州には主に人族、獣人族がいる。なお、州によってそこに住んでいる種族はある程度決まっているらしい。
そして、この世界には魔法があり、魔獣も存在する。魔法を扱えるのは全人口の2割にいくかどうかぐらいらしい。もっともその2割は実戦レベルで扱えるという基準を超えた人の割合であり、簡単な明かりをともす程度の魔法なら誰にでも扱える。
魔獣は人の手が届いていない地域にはわんさかいるらしく、人が住んでいるところにもたまに出てきたりするらしいのでこの世界の街は壁や塀で覆い、兵士を見張りし、時には冒険者を雇うなどしてそれらの侵攻を防いでいる。
冒険者とは1つの職業であり、大陸にいくつかあるダンジョンに行くことで生計を立てている。ダンジョンには魔獣が多数いて、それらを討伐し、素材を取ってくることで換金している。ゆえに冒険者はある一定以上の強さを求められる。
最後に、この世界で一番重視されること。ステータスがある。ステータスは【筋力】、【敏捷】、【防御】、【魔力】、【魔耐】の5つ基本ステータスと一部の人がもつ【スキル】、そして誰でもある【称号】によって表される。一般人だとそこまで重視されることはないが、兵士や冒険者はにおいてはステータス=実力になり、魔獣がいて、戦争が身近であるこの世界ではステータスの高い人が重宝される。
なお、ステータスは7歳になるまで分からないし、魔法も7歳になるまではどんなに天才でも使うことができないという。
逆に言えば7歳になり、ステータスをもらった時点で勝ち組と負け組に分かれる世界なのだ。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
そして、最後に分かったことは、俺のことだ。
「シンくーん、ご飯できたよー。」
「分かった。今行くー。」
俺のこの世界での名前は「シン」。オレはこの世界である貴族「ヴェルディベース家」に代々仕える一族に生まれた。
この世界では爵位を持っていないと日本でいう苗字にあたるものがない。
(普通はその貴族のもとに生まれるはずだろ!いきなりテンプレはずしやがったあの神s、、いやクソ神がぁぁ!)
とはいっても特に不満がある生活をしているようでは無いので、たまにでてくる捨て子スタートに比べればいいかとオレは納得していた。さて、母親に呼ばれたので早く行かなければ。
「おはよう母さん、父さん。」
オレは自分の両親に挨拶をした。母の名は「リース」7年前に父と結婚し、俺を産んだ。綺麗なエメラルドの髪をしており、この髪が母がエルフの血を継いでいることを表している。母はエルフと人族の間に生まれたハーフエルフだ。
そんな母と結婚したオレの父の名は「ハルト」父は普通の栗色の髪をもつ人族だ。しかし、ただの人ではなく武人としての父はとてつもなく強いと母は言っていた。実際に戦っているところ見たわけではないので分からないが、最近父から主を守るためということで戦闘の手ほどきを受け始めた。
父さんはオレにとても5歳の子供にはできないことを押し付けてくる。訓練があるたびにオレはクタクタになっていた。
そして、この2人の間に生まれたのがオレだ。母がハーフエルフのためはオレはクォーターエルフであり、髪もどういう訳かは分からないが普段は栗色の髪をしているのに泣いたり、怒ったりなど、強い感情を持つと一時的にエメラルドになったりする。
これには周りの大人達も
「シン君の髪は不思議ねー。」
「ねー。」
「エルフのクォーターはシン以外見たことないから分からんな。」
と理由は分からず仕舞いだったが、少し天然の母が
「栗色の髪もエメラルド色の髪も似合ってるから気にすることない!」
と発言したことにより、周囲の大人達はあきれながらオレの髪のことは気にしなくなった。
「おはようシン君」
「おはようシン。今日のことは分かっているな。早く準備をしなさい。」
「分かってるよ父さん。」
そう、父さんに言われたように今日は大切な日なのだ。オレたち家族の主であるヴェルディベース家の長女である「アリシア・ヴェルディベース」の5歳の誕生日なのだ。オレと同い年である彼女は赤ん坊の頃からの仲である。主君である彼女の父親「ギルザール・ヴェルディベース」はオレたちのことを無下に扱ったりしない寛大な人で、同い年ということでオレとアリシアはよく一緒に遊んでいた。
「アリシアの誕生日だからね。しっかり準備して祝って上げたいよ。」
「アリシアお嬢様だ。シン。我々は従者だそ気軽に呼ぶな。」
「アリシアはオレに『お嬢様』は付けなくていいって言われてるんだけど。」
「それでもだ。二人きりのときならまだしも、今日は外からお客様が来られるんだ。品位を守るためにもきちんと従者として役目を果たせ。」
「分かったよ父さん。今日は気をつける。」
こうは言ったもののまだ5歳であるオレは今日の誕生日パーティーにおいて仕事という仕事はない。せいぜいアリシアの話し相手をしたり、言われればなにか取りに行ったりするだけである。
「準備はいいかシン。そろそろ屋敷に行くぞ。」
「うん、いいよ父さん。」
そうして、オレと父さんは主達の住む屋敷へと向かった。
オレの家と屋敷はすぐ近くにあるため2,3分歩くだけで屋敷に着いた。
「シーン!おはようー!」
屋敷の2階から可愛らしい声が聞こえてきた。窓から顔を出し、綺麗な金髪を靡かせて呼んできたのはアリシアだ。
アリシアは彼女の母親である「ルナマリア・ヴェルディベース」に似て将来は絶対に美人になることが確約されていることを今の彼女の相貌を見ても分かる。
アリシアの母親はアリシアの父親であり、オレたちの主君である、ギルザールと結婚するまでは様々な貴族、最終的には王族の1人にまで求婚されるほどの美貌の持ち主だったが、ギルザールがルナマリアの危機を救ったことにより結ばれることとなった。
そして生まれたのがアリシアだ。
「アリシアおは、、お嬢様おはようございます。」
(危なかった。いきなり父さんから注意されてしまうところだった。)
先ほどしたばかりの約束を早速破りそうになったオレは父さんに少し睨まれてしまった。
「だーかーら。『お嬢様』はいらないって言ってるでしょ。」
「お嬢様。今日は外からもお客様がお見えになるのでご遠慮させてもらいます。」
「んー。それはそうね。似合わない敬語使うシンも面白いからいっか」
「お、お嬢様?!」
いきなりバカにされていると父さんから早く行くぞと連れていかれた。アリシアに見送られながらオレは少し落ち込みながら屋敷のなかに入っていった。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
良ければ評価等よろしくお願いします!
次話は明日の9時投稿します。