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ステータス反転

5000PVありがとうございます!

シンが学院長の元でエンシェントエルフの力をコントロールするための修行を始めてから半年が経とうとしていた。



ーーーーーーーーー学院長室ーーーーーーーーーー



「もういいじゃないですか!」



「まだよ!まだここにいなさい!」



「本当はもう終わってるんだろ!」



「終わってない!」



「じゃあこれから何するの?!」



「ん、んーとね。んー、あっれー?おかしいなー?何だったかなー?」



「やっぱりないじゃないですか」



「そんなことないわよー。そ、そうよシンくんは今から私のマッサージをしte……」



「帰ります。今までありがとうございました。」



「ああーちょっと待ってよ!」



「待つ理由がありません。」



「もうちょっと、もうちょっとだけ、ね?」



「フィーシャさんそれもう5回目です。」



「コラコラシンくん、細かい男はモテないぞ♪」



「帰ります。」



「もうー!」



学院長室では2人が言い合っている姿があった。シンと学院長であふフィーシャである。シンはエンシェントエルフの力をコントロールする修行が終わったため出て行こうとしているが、フィーシャがそれを止めている。そのしつこすぎるフィーシャにシンが痺れを切らす。



「もう我慢なりません。実力行使させて貰います。」



シンが腰から千穿を抜く。



「そんなことするのシンくん?本当にいいのかしら?」



フィーシャは自らの周囲に魔力陣を展開していく。


学院長室には2人の剣気と魔力で溢れ、壁には亀裂が走る。



「出て行かせて貰います。」



「シンくんは私の元で可愛がられていればいいの。そんなことは許さないわ。」



どうやらシンは相当フィーシャに気に入られたようだ。



「いい歳したオバサンがそんなこと言わないでくださいよ。」



「オ、オバサンですって?!」



「どうでもいいから早々に倒れてください!」



「どうでもよくなんかない!」



2人は同時に攻撃を仕掛ける。シンは千穿にありったけの魔力を込めて、フィーシャはいくつもの魔法を繰り出していく。その2つの力は部屋の中央で激突して爆音と衝撃波を生み出す。



ドカン!



その音は学院中に響き渡り、最上階にあった学院長室は半壊した。

当然ながらアリシアが授業を受けていた教員にもほの音は届いており、授業をしていた教員も受けていた生徒も何事かと周りをキョロキョロ見ている。



「上のほうから聞こえて来たわよ。」

「というか一瞬空気が震えた気がしますわ。」

「何が起こったのでしょう?」



音はアリシアのいる教室の上のほうから聞こえてきた。最上階には学院長室がある。教員は一旦授業も止めて上の様子を見てくると言う。アリシアは嫌な予感がしたので自分もついていきたいと頼んだ。



「アリシアさんはどうして付いてきたかったんですか?」



教員が訪ねてくる。



「なんか嫌ーな予感がしたんです。当たらなければいいんですけどね。」



「そうですか。まぁ学院長先生のところにいってみましょうか。」



アリシアと教員は最上階を目指して階段を昇っていく。最上階で目にしたものは、



「せ、先生!学院長室から煙が!」



「それに戦闘音も聞こえてきます。急ぎましょう!」



2人は学院長室に向かって走る。半開きだった扉を空けて学院長を呼ぶ。



「学院長先生!何があったんですk……?」



「いい加減にくたばりなさいシンくん!」



「フィーシャさんのほうこそ早くくたばってくださいよ!もう魔力だってろくに残ってないだろ!」



「そんなの関係ないわ!いいから私のモノになりなさい!」



最初の激突で半壊し、1部の屋根が取れて日が差し込む中で学院長室の中でシンとフィーシャが一進一退の攻防をしている最中だった。

アリシアは目の前で起きていることに頭が付いていかない。



「な、なんで?シンと学院長先生が?えっ?え?」



混乱している彼女に魔法の流れ弾が1つ飛んでいく。



「アリシアさん危ない!」



教員が叫ぶがアリシアは混乱したままで動けない。シンは教員の声でアリシアに気づく。



「アリシア?!なんでここに!」



シンは床を蹴ってアリシアの元へと急ぎ、千穿でアリシアに当たるはずだった魔法を切り捨てる。



「ふぅ、間に合った。」



「あらアリシアさん?いつの間に来たの?」



シンとフィーシャの戦闘も中断する。



「すごい音がしたので先生と様子を見に来たんです。」



「そういうこと。あ、そうだアリシアさん。シンくんを私にくれないかしら?」



「ええ?なに言ってるんですか!シンは私の従者ですよ!」



「いーじゃない。従者なら優秀な人材を紹介してあげるから!」



「イヤです。私はシンじゃないとイヤです!」



「あららー?なんでシンくんにそこまで執着するの?もしかしてシンくんのこと男として見てるのかな?」



「そそそそそんなことないです!」



アリシアは顔を真っ赤にして手をブンブン振って否定する。



「そうですよフィーシャさん。オレとアリシアは兄妹みたいなもんです。それにオレはアリシアの元を離れるつもりはありません。」



「兄妹って、もう。取り敢えずシンはあげません!」



「残念だわ。」



アリシアはホッと一息いれる。安心しかけた瞬間



「学院長!魔獣行進(パレード)が起こりました!学院に救援要請が出ています!」



魔獣行進(パレード)。ごくまれに発生する異常現象であり、普段群れるはずがない魔獣でも種族の関係なく一体となって街に迫って来る。

本来ならその街にいる冒険者に依頼されるので学院に要請がくるのは前例がない。



「今?冒険者たちはどうしたの?」



「それが少し前にドラゴン討伐の遠征に出ていて実力がある冒険者は今いないようです。」



「それで私たちってことね。全く、教員を全員集めて、生徒達は絶対に前線に立たせないようするわよ。残っている冒険者には防衛重視で編成を組むように要請して。」



「分かりました。直ぐに行動を始めます。」



「あ、待って。アリシアさんとミーナさんは私と一緒に行くわよ。」



「なんでですか?生徒は下がらせるのでは?」



「あの子たちは十分な戦力になるわ。それにアリシアさんが来たらシンくんもくるでしょ?」



「当たり前です。」



「シンくんならいくら魔獣行進(パレード)でも凌いでくれるわ。」



「分かりました。そのようにします。アリシアさんもよろしいですか?」



「構いません。街がピンチな時に後ろに下がっているのは我慢できません。」



「流石は聖女ね。早速行くわよアリシアさんとシンくんは私と途中でミーナさんを連れて前線に向かうわよ。」



「「はい!」」



学生寮にいたミーナとフウを連れて、5人は街の門に急造された前線基地へと急ぐ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


前線基地には既に学院の教員と装備を整えた冒険者が集まっていた。冒険者ギルド長を中心に作戦会議をしている。



「遅れてすいません。只今フィーシャ到着しました。」



「待っていたぞ学院長。早速君も参加してくれ。今のところ冒険者は交代制でなるべく長時間の攻撃に耐えられるように編成してある。」



「ありがとうございます。教員たちは攻撃に集中させます。生徒達は安全な城壁の上から数を減らすように配置します。」



「そうするのが妥当だな。偵察兵は結果を報告してくれ。」



ギルド長が促すと1人でてくる。



「魔獣たちは約300匹ほどの規模です。ゴブリン、オーク、オーガの集団に数体の鬼熊が確認されました。到着は約20分後だと思われます。」



「なかなかの規模だな。幸いなのは空を飛ぶ魔獣がいないところか。」



魔獣行進パレードの防衛のために集まった人々はそれぞれ急いで準備を始める。偵察兵の言ったとおりに20分後に魔獣たちの姿が遠くに見えた。



魔獣行進(パレード)を確認!戦闘準備!」



その場にいた全員に緊張が走る。冒険者たちは身構え、魔法使いは魔力を練り始める。


魔獣が魔法の射程圏内に入ると



「攻撃開始!」



学院長の合図で一斉に魔法が放たれる。初回の攻撃で魔獣たちには全体の1割ほどの被害がでる。


今からは冒険者たちがどれほど耐えられるかに掛かっている。


最初のうちはうまく魔獣の攻撃をしのいでいたが徐々に疲労のせいか少しずつ決壊していく。


シンはアリシアたちに近づいてくる魔獣だけを千穿で屠っている。



「フィーシャさん、そろそろ冒険者たちの防御が崩れそうですよ。」



「そうねえ。シンくんは助けにいかないの?」



「アリシアの側を離れる訳ないでしょう。」



「やっぱり.けどまずいわね。まだ半分も削れてないわ。ここで魔獣に雪崩こまれたら一気に制圧されるわ。」



「そのときはアリシアを連れて逃げるので」



「それは笑えないわよシンくん」



「冗談ではありませんよ。それよりシンくん、取引しない?」



「取引ですか?どのような?」



「惜しいけどシンくんを自由にしてあげるわ。この状況をなんとかしてくれるならね。」



「オレになんとかできると?」



「エンシェントエルフの力を使えばできるはずよ。」



「実戦は初めてですよ。」



「私が鍛えたんだから大丈夫!」



「……分かりました。その取引を受け入れます。」



「よかったー。実はそろそろ魔力尽きかけてたのよ。シンくんと遊んじゃったから。」



その様子を見てアリシアが魔法を打つ手を止めずに疑問をぶつける。



「エンシェントエルフの修行はもう終ったんですか?」



「つい最近ね。何回か完全に変化することもできたのよ。」



「す、すごいですね!」



「私と1対1でやったこともあるけど相当よ。本気だしてなんとか止めれたわ。けど今からはもっと凄くなるわよ。」



「【流血変換(ブラッドプレイス)】ですね。シンは使えるんですか?」



「修行で血を流すわけにはいかないから分からないけど、シンくんなら使えるでしょう。シンくん準備はできた?」



「もう少し、今魔力を集め終わりました。」



シンがエンシェントエルフに返信するためには体内の8割の魔力を集める必要がある。今のところシンが準備にかかる時間は5分程度。



「冒険者たちもなんとか持ちこたみたいね。崩れたらお願い。」



「分かりました。ていうかもう崩れますね。」



鬼熊の強烈なタックルによって何人もの冒険者が吹き飛ばされ、防衛に穴ができる。そこから一斉に魔獣が雪崩込んできた。冒険者の後ろに控えている魔法使いに魔獣たちが迫っている。



「シンくんお願い!」



「行きます。」



シンは練り上げた魔力を手に集めて胸に当てる。



「ステータス」



シンはステータスを呼び出す。アリシアは何故そんなことをするのかと首を傾げる。



今出ているシンのステータスには普通のものに見えるがよく見るとなにかおかしい。アリシアもそこに気付く。



「シンのステータス、いつもより文字が多い?というか文字が重なってる?」



シンのステータスはまるで二重になっているように文字が重なって表示されている。通常のステータスの背面(・・)裏返し(・・・)の文字が、




シンが肺に息を貯めて変身するための詠唱を始める。たった一言の詠唱。






『ステータス反転』







シンがそう言うとシンのステータスがひっくり返り、シンの体を翡翠の光が包む。



「キレイ……」



アリシアがそう呟く。襲われそうな魔法使いも魔獣も皆、シンに視線を集める。



シンを包んでいた翡翠の光が弾けてシンが姿を現す。どういう訳か身に付けていた服も千穿も無くなっている。



シンの耳はフィーシャと同じようにとがり、髪もエメラルドになり、腰のほうまで伸びている。瞳は瞳孔など関係なしに吸い込まれそうなほどに純粋なエメラルド色をしている。そして何より、シンの全身が翡翠の光を発している。



「行くぞ魔獣」



シンの最初の無双が始まる。



ここまで読んでくれてありがとうございます。


次話は出来次第朝か夜の9時に投稿します。


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