決闘?!
あらずじを入れてみました。もしよかったら感想で必要かどうか教えて下さい。今後の参考にしたいと思います。
ーーーーーーーー前回のあらすじーーーーーーー
シンと同じく従者をしていた金髪の少年はフウ。
その少年の主である銀髪ショートの少女はミーナ。
ミーナはステータスを見ることができる「賢者」。
金髪縦ドリルの少女は言った。
「2人とも私と決闘しなさい!」
ーーーーーーーーー終わりーーーーーーーーーーー
「ええええええ?!」
「……ん。」
アリシアはその驚きをその可愛らしい顔を驚きでいっぱいにして、フウはもはやズッコケる直前。シンはこのテンプレを予測していたので形だけで驚き、ミーナはその顔になんの変化も無し。
「ちょ、ちょっと待ってください。まずアナタはどなたですか?」
「まぁ!私のことを存じないと言うの?信じられないわ。まぁいいわ、今回は特別に教えて差し上げますわ。私はドリアーヌ・カーディナルス。この学院を創設したカーディナルス家の長女であり、天才魔法使いですわ!」
この学院の正式名は「カーディナル女学院」。彼女が学院を創設した家系の1員いうことは本当のことなんだろう。だからこそここまで高圧的な態度を取っているのだと考えられる。周りが本日2度目の驚愕に見舞われている中、シンは
(頭だけじゃなく名前までドリルとか、、、やべぇ)
心の中で爆笑していた。無論表には出していないが。
「そこのアナタ。今失礼なこと考えていなかったのではなくて?」
「何のことでしょうか?ドリアーヌ・カーディナルス様。」
(良い勘してんなこの縦ドリル。)
「気のせいかしら、、、まぁいいわ、それで2人ともどうするのかしら?」
アリシアは未だ困惑から抜けきっていない。
「そ、そもそも決闘を受ける理由がないわよ。だから決闘は受けないわ。」
「……ん。」
「決闘をする理由なら先ほど言ったではありませんか。貴方がたよりも私のほうが優れた魔法使いだということを知らしめてやるのですわ。」
「そんなことしなくてもいいじゃない。これから一緒に励んでいくクラスメート同士でしょ?」
「……ん。」
「『そんなこと』ですって?!私よりも目立っておいて『そんなこと』とはどういう了見ですの?!もう我慢なりませんわ。貴方がたがなんと言おうと私と決闘してもらいます。オッタム此処に!」
「およびですかドリアーヌ様。」
ドリアーヌのすぐ横にオッタムと呼ばれた護衛がひざまつく。
「教員に決闘申請をしてきなさい。渋られたら私の名前を出していいわ。」
「畏まりました。」
「ちょ、勝手に話進めないでよ!私達の意見はどうなるのよ!」
「……ん。」
「うるさいですわ!貴方がたは私と決闘して私にコテンパンにやられておけばいいのですわ!」
ドリアーヌは最後にそう言い散らすとムカついているのが後ろから見ても分かるくらい不機嫌そうに元いた場所に戻っていった。
「もう意味分かんないわよ、、、」
「……ん。」
アリシアは頭を抱えていた。ミーナはブレない。
「お嬢様、ミーナ様。決闘でドリアーヌ様に勝てば万事解決だと思われますよ。」
「とは言ってもねぇ~。勝てるかしら?」
「ミーナ様、どうでしたか?」
「……火と水。700ぐらい。」
「ありがとうございます。それなら大丈夫そうですね。」
「あそっか。ミーナには分かるのよね。確かにそれなら勝てるかも。」
「安心してあの縦ドリルをコテンパンにしてやって下さい。」
「縦ドリルって言うのが何なのかよく分からないのだけど、まぁやるからには勝たなきゃね。」
「……勝つ。」
その後入学式で貰ったパンフレットらしきものを見て、決闘の取り決め等を確認しいると教室の扉が勢いよく開かれて、眼鏡をかけた若い教員が入ってきた。
「ドリアーヌ・カーディナルスさんとアリシア・ヴェルディベースさんとミーナ・クルーエルさん。決闘申請が受託されたので第2訓練所に集合して下さい。」
呼ばれた3人はそれぞれ護衛を連れて第2訓練所へと向かう。ドリアーヌの護衛の量だけ異常でかなりの人目を引いてしまったため決闘を見に来る人もそれなりの人数になった。
第2訓練所に着くと、それぞれ訓練用の服装に着替えた後に直径30mはある中央のリングへと集まる。ドリアーヌ1人とアリシアとミーナの2人が向き合う形になっているが、後ろに並ぶ護衛の数が違うため迫力が違う。
ドリアーヌは屈強なオッタムを始めとする10人以上の護衛を連れているが、アリシアとミーナはそれぞれ1人ずつでその上見た目は少年であるのでそう見えてしまう。
リングへ教室に来た眼鏡の教員が上がり、中央へ立つ。
「これより決闘を始めます。決闘を行う人以外はリングから降りてください。」
シンとフウ、ドリアーヌの護衛たちがリングから降りていく。
「まずは決闘ですが、ドリアーヌ様は1人でよろしいのですか?」
「構いませんわ。2人がかりできても私の勝利は揺らぎませんわ。」
「それでは2対1で決闘を行います。形式は魔闘です。」
魔闘は互いに魔法でしか攻撃してはならないという決闘の1つ。リングに直径となるように円を半分に分ける線を描いたらそれぞれ自分の半円内では自由に動き回り、相手に魔法を当てていく。3回相手から直撃と判定された魔法を喰らうと負けとなる。分かりやすく言えばドッチボールで3機持ち、球は魔法で、という感じだろうか。
基本的に魔法使いは身体能力が高くない傾向にあり、ここにいるのは貴族で女の子だ。魔法を避けるというのは難しくなるので単純に火力が勝負を分けるだろう。
なお魔闘の他にも単純に肉弾戦を行う剣闘や大きい舞台で行う5対5の眷閥闘などもある。
「それでは開始します。」
教員がリングの中央にある魔法陣へと触れるとそこから直線が伸びてリングを半分に分ける。
「魔闘始め!」
鋭い声がリングに響き渡る。先に動いたのは、
「行きますわよ。ファイヤーバレット!」
ドリアーヌが貫通力のある火魔法のファイヤーバレットの魔力陣を背後に5つ展開させる。
すぐに魔力陣からファイヤーバレットが出てきて一直線にアリシアとミーナに襲いかかる。
「……アイスウォール。」
ミーナが防御用の壁を生成する氷魔法のアイスウォールを地面から生やしてアリシアのファイヤーバレットを受け止める。
「ミーナありがと。」
「……ん。」
「今度はこっちの番、サンダージャベリン。」
アリシアがバレット系の魔法よりも速度を重視したジャベリン系を雷魔法で2つ発動する。
2つの細い紫電を生み出し、狙いを付けるとそれは霞むほどの速度でドリアーヌへと駈ける。
対するドリアーヌは足元で小爆発を起こして後ろへと下がり、紫電から逃れる。
その動作にシンは感心していた。
(やるなあの縦ドリル。魔力ではアリシアに負けているけど魔力のコントロールと使い方は上手い。多分どっかで実戦訓練でもしていたんだろう。)
5年間嫌というほど父親との実戦訓練を重ね、自らの風魔法を磨いてきたシンは分析していた。
どちらかが魔法を放てばもう片方がウォール系の魔法で防御して反撃する────この流れが4.5分続いていた。
ここでドリアーヌが変わりそうにない戦局に痺れを切らす。
「まどろっこしくなってきましたわ。これで決めます!ファイヤーキャノンとアクアキャノン!融合ですわ!」
ドリアーヌは破壊力を重視したキャノン系の魔法を火と水の両属性で発動、そして融合させた。
融合は複数の魔法属性をもつ者の特権とも言われるもので異なる属性を掛け合わせて魔法を発動することで威力を掛け合わせる。その威力は単属性の魔法とは一線を画す。
複数の魔法属性を持たなくても他の人と魔法を掛け合わせる共鳴もあるが共鳴は繊細な魔力コントロールと寸分の乱れもないコンビネーションが必要となるためでける人は少ない。
ドリアーヌは自らの火と水の魔力を融合させ、発動する。
「サーモキャノン!」
赤色と水色の魔力が交差しながらアリシアとミーナへ大気を震わせながら突き進む。
対するアリシアは
「ならこっちもファイヤーサークルとサンダーサークル。融合!」
アリシアの目の前で2つの円盤状の魔法が混ざり合う。
「炎雷の円刃!」
紫電を纏った紅蓮の円刃がドリアーヌのサーモキャノンを迎え撃つ。
激突した2つの魔法はその接触面から眩い光を発する。
そしてアリシアの魔法がドリアーヌの魔法を飲み込み、そのままドリアーヌのほうへ向かう。ドリアーヌは大魔法を使った反動で動けない、このままでは怪我に繋がってしまう。
審判をしていた教員もこの危険性に気付いたのか魔法を発動しようとするが間に合わない。
ドリアーヌが目の前に迫る紅蓮の円刃に目を瞑った時、
「風神の息吹。」
ドリアーヌの目の前を突風が通過する。そしてその突風によってアリシアの放った魔法は軌道を変えて誰もいないところへと着弾した。
「い、今のは何?」
まずドリアーヌが目の前で起こった出来事に疑問を抱く。目を瞑っていたため突風に気付いたら自分に当たるはずだったアリシアの魔法はどこかに消えていた。
彼女が不思議そうにアリシアの魔法の着弾地点を見ていると、
「シンごめんなさい!つい融合魔法を使っちゃった。」
「いいんですよお嬢様。こういうことも含めて僕の役目ですから。」
「そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど、何だか複雑だなぁ。私の融合魔法をあっさり弾くなんて。」
「確かに弾きましたけどオレはお嬢様よりも魔力が少ないんですから毎回こんなことしてあげられませんよ。」
「そうね。今度からは気を付けるわ。」
アリシアとシンはさも当然のように会話をしている。
周りにいる教員も含めて皆、顔を引き攣らせている。
先ほど起こった融合魔法同士の激突。入学したてとは思えないほどの高レベルの魔法戦だった。
そして、ドリアーヌの「サーモキャノン」を打ち破ったアリシアの「炎雷の円刃」、その紅蓮に壮大な破壊力を秘めていることを誰もが見て思っていた。
しかし、その魔法は弾かれたのだ。突如横から乱入した突風によって。しかもその突風を生み出したのはリングの近くで決闘を見ていた少年だ。
その事実に誰もが皆豆鉄砲をくらったような顔で固まっている。
そこで均衡を破ったのは、
「面白そうなことしてるわね。」
まるで瞬間移動してきたかのように突如リングの中央にエメラルドの髪を靡かせ、とんがった耳を持つ長身の美女が出現する。
「が、学院長!」
教員の1人が声をひっくり返しながらその正体を明かした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次話は出来次第朝か夜の9時に投稿します。
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