第0幕 どこかの少年の話
「嘘だろ」、「あり得ない」、「信じたくない」
そう思いたくなるのも、当然の事だと思う。
あの時、俺は少しだけ遅かった。
立ち上がるのが。 ほんのちょっとだけ。
何か、風を感じたんだよ。
そうしたらさ、周りの人みいんな。
死んでたんだ。
俺は、何が起きたか分からなくて、夢じゃないかって.......
突然、暗くなったんだ。
見上げたらさ、真っ赤な女の子が顔ぐちゃぐちゃにして、
「にげ...てっ、お願い.....だからっっっ。」
鎌を振り上げてた。
俺は、逃げた。 何処に向かっているのか分からなかったけど。
ただただ、足を動かして、動かして、動かして。
何か気配を感じた。自分はもう死ぬって感じた。
振り向きたくなかった。走り続けた。
「死にだぐ...なっ...いっ‼︎」
「ごめん...なさい。」
「お前はそのまま走れ、走り続けろ。」
誰かなんて、考える暇なんて無かった。
助けられたという事は分かった。
俺は、とにかく、自分の足が機能しなくなるまで走り続けた。
その夜、俺はどこかの森の中で眠りについた。
何も思い出したくなかった。夢であってほしかった。
しかし、やっぱりそうはいかなかった。
俺は、1日かけて家に帰り、
「ただいま。」と、ただ一人の帰宅を知らせたーーーーー。