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女と電話 2


その夜、

電話は幾度となく鳴っては切れたりした。


その度に女は電話をとりそこねた。

実際、女は電話がなっているのか鳴っていないのか自信が無かった。


―――いま、電話がなっていなかったかしら。気のせいよね、だって今は真夜中だもの。


こんな真夜中に何度も誰が電話をかけてくるというのだろう。

少なくとも女の知人のなかに思い当たらなかった。


そんなことよりも今は、なぜか夜が長く感じる。ひどく、朝が恋しく感じる。

暗闇のなか、女は一人で妙な“喪失感”に苛まれていた。

いつもより長く感じる夜、そんな中、女は電話を見下ろしていた。


―――電話が鳴った気がする、幾度となく。


電話は確かに幾度となく鳴った。

留守番電話に切り替わり、機械特有の音が響いたのは数え切れないほどあった。


しかし、

女はそのどれも取らなかった。

鳴っているのに、女にはなっていない気がするのだ。

それが定かではないからかどうしても受話器を取る気になれない。


―――嫌ね、眠りたいのに今日はなんだか眠れないわ。


女は先ほどから妙な違和感を首に感じていた。時間を気にして、時計を見ようかどうしようかと悩んでいた時。


遠くの空で小鳥のさえずりを女は聞いた……気がした。


―――あら、やだ。もう朝なのね。


東の窓、わずかに開いたカーテンの隙間から部屋の中に日が差し込めた。

女の横っ面を柔らかい色の朝日が照らす、自然と女にはそれがまぶしく感ぜられなかった。あんなに朝が恋しかったのに日差しを浴びても嬉しくもなんとも無かった。


―――結局、一睡も出来なかったわ。これから仕事に行かなくちゃならないのに…。確か午後に会議が入ってたわね。


女がそう思ったとき、

確かに鳴っている。

女の眼下、見下ろした先の電話が。


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