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9話

 ロールプレイングのゲームは好きだ。

 魔法というものが合ってもファンタジーなゲームは人気がある。


 やっぱりこの世界には魔王みたいなやつがいないんからだろうなぁ。

 俺は今魔王の城につきラスボス戦を前に軽く休憩を取っている。


 ここからが、本番なのだ。俺は昼飯を食べてからずっと部屋に篭ってる。

 現在時刻午後6時28分。ラスボス戦は午後6時30分からだ。

 

 目を瞑って凜也がよくやる黙想を開始。

 目を瞑れば思い出されるのはここまでの冒険の日々。


 ある村で事件があり、それを解決した後にまた次の事件。

 そんな偶然のように起きた事件をどんどん解決していき、現在、ラスボス。


 長かった。学校をさぼり凜也に怒られながらやったときもあった。

 本当にいろいろなことがあった。現実とゲームの世界で。


 そんな数々の思いを胸に秘めながらゆっくりと開くと時計は午後6時30分。ミッション開始だ。

 コントローラーを握りしめ、魔王との会話を読んでいく。


 その会話も終極へと近づいていき、とうとうバトルへと移行する。

 かっこいいバトル音楽にテンションを高くしてコマンドを入力しているときに、ドアを叩く音が耳に入ってしまった。


 誰か考える必要ない。俺の部屋に尋ねるやつは凜也しかいないのだから、どうせ凜也だろう。


 画面と玄関のほうを見比べて、はぁ。ため息を吐きゲームをポーズする。 

 無視してもいいんだが前に無視したら、ドアを紙でも斬るかのように斬り破ってきたんだ。


「凜也さっさと入ってくれ。大事な場面なんだ」


 俺はドアを開けて凜也の姿を確認せずにすぐに戦場ゲームへと戻る。

 ポーズをとき、再度コマンドを入力。


 レベルをあまり上げないでぎりぎりでクリアするのが好きな俺は、一つでも敵の行動を読み違えるとあっさりと全滅をしてしまう。


 この緊張感が堪らないんだ。血湧き肉躍るとはまさにこのこと。


「神村くんて村正くんが言ってた通りゲームが好きなのね」


「おう! ……へ?」


 耳に入るとそれだけで体が癒されるような、綺麗な声が耳に入り操作を誤ってしまった。


 回復魔法を使い体力の回復をしようと思っていたのに攻撃を選択してしまった。


「なんで三枝木、ここにいんだよぉぉぉおおおーーーっ!」

 

 大絶叫。絶対に周りの部屋に迷惑がかかっていると思うがみんな優しいのでこのぐらいじゃ怒らないんだよ。


 だからって好き勝手叫んで言い訳じゃないけどね!


「だ、だって! 直接神村くんに伝える事があったから……。ごめんね。迷惑だったよね。そもそも神村くんは村正くんと間違えて入れたんだもんね。そうよ。何私勝手に入っているの! 不法侵入よ! 私が悪かったです! 反省してますからもう少しこの部屋にいさせてください! 神村くんの部屋にあと一〇分だけいたいの! いや、一五分でいいから!」


 時間、増えとるがな。

 心で突っ込んでいたら、ラスボスに突っ込まれた。

 四人パーティーだったのにとうとう二人に。


 いまにも顔を燃やすようなぐらいに赤くしている三枝木は組んでいる腕を、せわしなく組み替えている。


 あまりの速さに腕が3本に見えそうだ。ゲームの方は敗色濃厚なのでもういいや。

 いつまでも立たせているのは悪いので三枝木に腰掛けるように促してから尋ねる。


「そんで、伝える事って?」


 見とれてしまうほどに美しく座っている三枝木は、胸に手を当てて胸を上下に揺らして呼吸。


 自分の胸がでかいのを少しは自覚してくれ。

 ついつい目が行ってしまうので俺はそっぽを向けることによって誤魔化した。


「一つ言う事を聞いてくれるって言ったわよね?」


「あぁ、そうだったなぁ」


 そんなまずい事を言った気もする。今さら訂正する気もないけどね。

 男に二言はないってよく言うじゃん。今の俺の心境はそんな感じ。


「その内容を決めたわ。神村くん。土曜日の一日、私の言う事を何でも聞くのよ」


 ……つらっ。でも確かに一生言う事を聞いてもらうとかじゃなくてよかった。

 このぐらいなら、ぎりぎり大丈夫だな。


「私はその日にで、ででででーとぉに誘うから、準備しておいてね。あと、メールアドレスと電話番号教えて……くだ、さい」


 デートと言う時にもじもじして声が小さくなったときに素直にかわいいと思った。

 今ももじもじと両手で携帯を持っている三枝木は本当に可愛くて。


 そう思ってしまった俺は恥ずかしさを隠すために俺は言われたとおり携帯電話をすこしぶっきら棒にして出す。


 赤外線で交換を終えた三枝木は携帯を抱きしめて、


「そ、それじゃあ、私はこれで帰るから! また、明日!」


「あ、ああ。明日な」


 台風のようにやってきてそして去っていった三枝木。

 ゲームの画面にはゲームオーバーという文字が浮かんでいたので俺は電源を切った。


 何かもうモチベーションが下がったので今日はやめよう。

 寝るまでの時間を適当に潰して、その日は凜也は俺の部屋には来なかった。


 いつも馬鹿話で時間を潰したりするのがないのはつらかった。

 1クラスから一人だけが出て、明日は試合をする。試合にでない俺達は自由に観戦したり自主練して一日を過ごすんだ。


 俺は一応試合見てやるつもりだけど……寝てるかもなぁ。

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