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3話

 俺は私立の魔法学校に通っている。

 魔法って聞けば火をだしたりするものだと思うだろ?


 実際はそんな便利じゃない。

 参考程度に俺の魔法について説明させてしえあげようじゃないか。


 俺は魔法銃が武器だ。マシンガンタイプのでつねに魔力を込めて打ち続けることができる以外特に利点はない。


 安定して打てるだけで片手用のハンドガンタイプの魔法銃とは対して違いはない。

 俺は魔力が人の数十倍ある以外に才能はない。


 火だしたりなんて俺にはできない。

 果してこれは魔法なのかどうか疑いたくもなるけど、細かい事は気にしない。

 俺達の学校は戦闘を教えるんだけどなんで戦うのって思うだろ?


 この世界には突然モンスターが現れたりするんだ。

 そのモンスターから自分を守ったりする為に戦いの基本を学んでいるんだ。 

 それが主な理由だ。


 今日は学校お抱えのダンジョンで受けるミッションがある。

 昨日凜也が言っていたパーティー制の授業だ。


 内容は『午前10時から午後6時までの間にダンジョン1の地下5階にあるカードをとってくること』だ。


 これには細かい事は特になく、2人で行けばいい。それだけ。

 今回は魔物はなくトラップ回避だけをすればいいんだ。


 時間内にクリアすれば残りの今日1日自由時間。 

 そう、そうなんだ、が。


 今俺は現実逃避交じりに自分が戦う理由を思い出してため息をつく。


 凜也はとっくにクラスの女子とパーティーを組んでいた。

 あいつが組む人を探したときにクラスの女子が半分くらい手を上げたときに俺はビビッたぜ。


 凜也、結構もてるんだな。

 俺は俺で昨日決めたとおり、三枝木さえきと組むために声をかけようとしたんだけど。


 クラスの人気者三枝木紗枝。

 彼女の周りにはどこの有名人だよってぐらいに人だかりができていた。


 げんなりだよ!


「早くしないと他のクラスのやつも来るぞ。あいつは学校の人気者だからな」


 とっくに決まって余裕なのか凜也はわざわざ一言釘を刺して、教室を出て行った。

 くそぅ、俺だってなぁ、人がいなきゃとっくに誘ってる。


 俺が三枝木を自分の席で頬杖をつきながら見ていると、目が合った。

 すぐに三枝木は頬を染め、ぷいと背けた。


 1秒にも満たないほどだったが、俺はその姿を見て、昨日の屋上の事を思い出して恥ずかしくなってしまった。


 忘れろ俺! 

 ――私と付き合って!


 忘れなきゃいけないのに何思い出してんの!?

 あの時の三枝木の顔が鮮明に思い出されてしまった。


 だめだ。このまま、じっとしていても埒が明かないしこのもやもやも消えない。

 何かしないと。


 思い立つが……なんだっけ?

 思い出せないけど、とにかく何かしよう。


 一歩踏み出して、ピタと足を止めてしまう。

 よく考えてから行動しないと「おまえは本当に行き当たりばったりだな」って凜也に言われちまう。


 でも、いないし気にする必要ないよな。


「ちょっと、どいてくれ」


 人で賑わう三枝木の周りを掻き分けて進んでいく。

 大げさに言っているが実際大したことはない。


 すぐに三枝木の前に躍り出ることに成功した。

 向かい合ってさて、どうしよう。


 俺が目の前に来たとたん三枝木はもじもじした様子で顔を下に向けたりこっちに向けたり落ち着きがなくなっている。


 わずかに頬も赤い気がする。

 他の生徒はなんだこいつとばかりに俺に刺すような視線をぶつけてくる。

 

 主に男子が。

 何も考えてなかったよ。せめて、なんて言うか考えてからにすればよかった。


「あー、その、今日のミッション一緒にいかねぇか?」


 少し淀みながらだけど言いたいことは言えたはず。

 俺の言葉を聞いた瞬間ぱぁっと顔を輝かせ、だけどすぐに仏頂面になって、


「う、嬉しい! じゅ、準備あるから! それじゃさよなら!」


 その場で席を立ち、ターンをして教室を飛び出していった。

 あれ? もしかしてダメだったか?


 でも肯定的なことを言っていたような気もする。

 三枝木の周りにいた男子は凍りつき、女子はなにやら黄色い歓声を上げていた。


 女ってわかんねぇなぁ。俺は髪を掻き毟りながら、とりあえず寮に戻ることにした。

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