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落語【声劇台本書き起こし】

落語声劇「花見の仇討ち」

作者: 霧夜シオン
掲載日:2026/02/08


落語声劇「花見(はなみ)の仇討(あだう)ち」


台本化:霧夜(きりや)シオン@吟囁亭喃咄(ぎんじょうていなんとつ)


所要時間:約30分


必要演者数:4名

      (0:0:4)

      (4:0:0)【性別準拠人数比率】

      (3:1:0)

      (2:2:0)

      (1:3:0)

      (0:4:0)


       

※当台本は落語を声劇台本として書き起こしたものです。

よって性別は全て不問とさせていただきます。

(創作落語や合作などの落語声劇台本はその限りではありません。)


※当台本は元となった落語を声劇として成立させるために大筋は元の作品

 に沿っていますが、セリフの追加及び改変が随所にあります。

 それでも良い方は演じてみていただければ幸いです。



●登場人物


熊公(くまこう):花見の趣向(しゅこう)に狂言(きょうげん)をやろうと言い出した長屋(ながや)のメンバーの兄貴分。

   自身は浪人者(ろうにんもの)の役を取る。


八五郎(はちごろう):落語の世界ではおなじみ、そそっかしく、やらかしをする役どこ

    ろ。長屋(ながや)のメンバーにして巡礼(じゅんれい)役その一を拝命(はいめい)。


吉公(きちこう):巡礼(じゅんれい)役その二を拝命(はいめい)した長屋(ながや)のメンバー。

   八五郎(はちごろう)に比べて影が薄い。


六兵衛(ろくべえ):狂言(きょうげん)の六十六部(ろくじゅうろくぶ)役を受け持つ長屋(ながや)のメンバーだが、当日親戚の

    叔父(おじ)に見つかって説教されたあげく、酒を呑(の)ませて酔い潰(つぶ)して

    逃げるつもりが、あべこべに潰(つぶ)されてしまう。


武士1:巡礼(じゅんれい)役に頭をひっぱたかれる、ただただはた迷惑な思いをした人

    。それはそれとして泥酔(でいすい)はよくない。名前は近藤。

    ※劇中、ずっと酔ってます。


武士2:巡礼(じゅんれい)役の二人に頭をひっぱたかれた武士1(近藤)をなだめすか

    して八五郎(はちごろう)と吉功(きちこう)を助ける。

    八五郎(はちごろう)の嘘八百(うそはっぴゃく)を信じ込んでしまい、狂言(きょうげん)の仇討(あだう)ちに助太刀(すけだち)とし

    て飛び入り参加してしまう。


叔父(おじ):六兵衛(ろくべえ)の親戚(しんせき)。超・耳が遠い。

   六兵衛(ろくべえ)の六十六部(ろくじゅうろくぶ)のなりを見て本気にしてしまい、説教のあげく

   酒で酔い潰(つぶ)してしまう。


町人(ちょうにん):長屋劇団(ながやげきだん)の仇討(あだう)ち狂言(きょうげん)の場に居合(いあ)わせた町人(ちょうにん)。


語り:雰囲気を大事に。




●配役例


熊公・武士1:

八五郎:

吉公・親戚・町人:

六兵衛・武士2・語り:




※枕は誰かが適宜(てきぎ)兼(か)ねてください。




枕:桜と言うものは日本人の心を代表しているものだなんと言います。

  パッと咲いて、惜しいなあと思う時にサアッと散ってしまう。

  人間と言うのはどなたもそうですが、咲いてる時よりも散り際が肝心

  だなんて言います。

  落語に関してもオチが肝心(かんじん)、つまりサゲが良くなくちゃいけないなん

  という事を申します。中身だけが面白(おもしろ)くてもいけないという事ですな

  。

  江戸の頃、花見と言えば向島(むこうじま)か飛鳥山(あすかやま)と言われておりました。

  このうち、遠足気分で出かけたのが飛鳥山(あすかやま)だったそうです。

  昭和・平成の頃と比べても花見の様子(ようす)なんてものはそうそう変わらな

  い。

  桜の下に敷(し)き物を敷(し)いて、酒や食べ物を広げてわいわいやる。

  中には度(ど)が行き過ぎて、周りに迷惑をかけたりする者も出てきます。

  ただし江戸の花見では、一つ間違(まちが)うととんでもない事態に発展する事

  もあるようで。


熊公:おう、そろそろなんだね、これから相談にかかろうじゃねえか。


吉公:うん、まあそれはそうなんだけどね。


六兵衛:どういう趣向(しゅこう)にしようかって話だよ。


熊公:どういう趣向(しゅこう)にしようかったっておめえ、花見だよ?

   江戸じゅうが「あッ」と言うような事をしてえじゃねえか。

   なんか良い考えはねえかい?


八五郎:うーん、江戸じゅうが「あッ」と言うようなのかい?


熊公:そうだよ、「あッ」と言うのだよ。


八五郎:「あッ」と言ってどうなるんだい?


熊公:どうもなりゃしねえよ。

   まぁつまりなんだな、花を見ている人が俺たちの趣向(しゅこう)を見るだろ。

   「うーん、こいつは驚いたね」ってぐっとこう後ろに反(そ)るような

   驚き方だな。


吉公:うんうん。後ろに反(そ)るようなね。


熊公:で、明(あ)くる日にゃこいつが江戸じゅうの評判になると、こういう

   趣向(しゅこう)をしてえじゃねえか。年にいっぺんなんだしよ。



八五郎:ふーん、そうかね。

    それなら一つだけあるんだけどね。


熊公:へえ、言ってみなよ。


八五郎:言うのはいいんだけどもね、おしまいの所にちょいと気にいらね

    えのがあるんだ。


熊公:気に入らねえところがあるってんなら、そいつはみんなでもって

   相談しようじゃねえか。

   言ってみなよ。


八五郎:うん、まあ言うとわけねえんだけどさ、みんなで赤い長襦袢(ながじゅばん)を

    こしらえるんだよ。


熊公:ほう、なるほどな。


八五郎:四人でそうやって行くんだ。

    で、丈夫(じょうぶ)そうな桜の枝があるだろ。


熊公:?なんだよその丈夫(じょうぶ)そうなってのは。


八五郎:…まぁ丈夫(じょうぶ)そうなのだよ。

    で、その下でみんな一人ずつ箱を置くんだよ。


熊公:置いてどうするんだ?


八五郎:その上でみんな赤い長襦袢(ながじゅばん)でもって踊るんだ。


熊公:ほぉ、おもしれえな。うんうん。

   それで?


八五郎:そこへ三味線(しゃみせん)が入るんだ。

    それに合わせて懐(ふところ)からこうサッと真っ赤な志古貴(しごき)が出てくる。


熊公:ほお~、そりゃ派手(はで)だなァそいつぁ。


八五郎:それで鳴ってる三味線(しゃみせん)に合わせて、それをパッと枝へ掛けるんだ

    。


熊公:うんうん。


八五郎:で、これを首にかけてこうする。


熊公:ふんふん、結んじまうんだな。


八五郎:そこで三味線(しゃみせん)の調子(ちょうし)をガラッと変えるんだ。


熊公:ほお、変えるのか。


八五郎:そこで「ひのふのみッ!」でみんな一斉(いっせい)に足元の箱をポーンって

    蹴るんだ。


熊公:…おめえな、しっかりしろよ。

   そんな事したら四人で桜の枝に、ぶる下がっちまうじゃねえか!


八五郎:そうなんだよォ、満開の桜の木の下で赤い長襦袢(ながじゅばん)を着たのが四人

    、赤い志古貴(しごき)でもってだらーんっとなりゃあ、見てた奴が

    「あッ」と驚く。


熊公:バカ野郎、驚かしたって、こっちが死んじまったら何にもならねえ

   じゃねえか!


八五郎:うん、気に入らねえのはその点だけなんだ。


熊公:何を言ってやがんでェ、もうおめえは黙ってろ。

   おめえがなんか言うとぶち壊しになるからな。

   他に考えのある奴いねえかい?

   ねえんだったら俺の考えがあるんだけど聞いてくんねえか?


吉公:お、どんな考えだい、熊公(くまこう)の兄貴。


熊公:実はな、これァ四人の役者がいりゃあそれで出来(でき)あがりなんだ。


六兵衛:へえ、ちょうど四人いるね。

    で、何をするんだい?


熊公:かたき討(う)ちをするのよ。


八五郎:かたぎ討ち?

    おいおい兄貴、まじめに生きてる人を殴っちゃいけねえ。


熊公:そりゃ堅気(かたぎ)のほうだろ!仇討(かたきう)ち、仇討(あだう)ち

   だってんだよ!

   いいか、山のてっぺんの一番真ん中のでけえ木の下かなんかでもっ

   てよ、浪人者(ろうにんもの)が一人で煙草(たばこ)をすぱーりすぱり吹かしていると思いね

   え。


六兵衛:ふんふん、浪人者(ろうにんもの)がね。


熊公:そこへ巡礼が二人やってきてな、「卒爾(そつじ)ながら火を一つお貸しくだ

   され」て言うんだ。

   浪人者(ろうにんもの)が「ささ、お付けなせえ」と言ったところで巡礼二人が驚く

   。

   「やあ汝(なんじ)は何のなにがしだな。何年前我が父を討って立ち退(の)いたる

   大悪人(だいあくにん)、

   ここで会(お)うたが盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)優曇華(うどんげ)の花(はな)

   待ち得(え)たる今日(こんにち)ただ今、

   いざ尋常(じんじょう)の勝負勝負!」で持っていた仕込み杖(づえ)をぎらりぎらり

   と引き抜く。

   浪人者(ろうにんもの)も「仇討(あだう)ちとはしゃらくさい、返り討(う)ちにしてくれるわ!」

   てんで大(おお)ダンビラをギラリ引っこ抜く。


   ※【盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)】

    【優曇華(うどんげ)の花(はな)】

    【待ち得(え)たる今日(こんにち)ただ今】

   ↑の長文はこの三つに分かれますが、ほぼつなげて読みます。


吉公:うんうん、それで?


熊公:チャリンチャリンチャリンとチャンバラすりゃ、そこは花見の場所

   だ。

   仇討(あだう)ちだってんで十重二十重(とえはたえ)の見物ができるのは間違(まちが)いねえ。

   そこでもって六十六部(ろくじゅうろくぶ)が出てくるんだ。

   「まあまあお待ちなさい。仇(かたき)仇(かたき)とつけ狙っている世の中は味気(あじけ)のな

   いもの。わたしにお任せなさい。」

   そう言ってしょっていた笈(おい)を下(お)ろす。

   中から出てくるのは三味線(しゃみせん)に酒肴(さけさかな)だ。

   みんなでわッと呑(の)んでかっぽれの総踊(そうおど)り。

   見ている連中が「あぁこれは花見の趣向(しゅこう)か。よッ、できました」

   ってなァどうだい?


八五郎:なぁるほどこりゃあいいや、やっぱり兄貴の言う事は違うよ。

    うめえもんだ。ツラはまずいけど。


熊公:それは余計だってんだよ。

   じゃ、こいつでいいかい?


六兵衛:うん、やろうやろう!

    こいつァ面白(おもしろ)くなってきたね。


熊公:よし、それじゃこうしよう。

   まずこの浪人者(ろうにんもの)の役だがね、これァ俺が言いだしっぺだし、良い役

   を取っちゃあまずいから、こいつは俺がやるよ。


六兵衛:そうかい?じゃ兄貴頼むよ。


熊公:それでこの巡礼(じゅんれい)二人だが、これはなるべく顔や背格好(せかっこう)が似ている方

   がいいから、八(は)っつぁんに吉公(きちこう)、おめえ達二人でやってくれ。


八五郎:ああ、いいよ。


吉公:わかった。


熊公:で、残りの六十六部(ろくじゅうろくぶ)、まあまあ待ってくださいの止め役、一番いい

   役だな。

   これァ六兵衛(ろくべえ)、おめえの役だよ。


六兵衛:え、いいのかい?


熊公:おめえでなきゃいけねえんだよ。

   てのはな、こいつは後で三味線(しゃみせん)を弾(ひ)かなきゃいけねえ。

   こいつができなきゃ形にならねえからな。

   どうだい、分かったかい?


六兵衛:うん、分かったよ兄貴。


熊公:じゃあ、少し稽古(けいこ)しようじゃねえか。


八五郎:えぇ…大丈夫だよ。


熊公:おめえな、いつもそう言って後でしくじるだろ。

   とりあえず始めるぞ。

   浪人者(ろうにんもの)役の俺がここにこうして座って、煙草(たばこ)を吸っている。

   【煙草をぷかぷかふかしている】


   …。


   …おい、火を借りに来い、火を。


八五郎:あ、そうか。

    ぁー、貸してくんないか?


熊公:あのな、おめえはどうしてそうものが分からねえんだよ。

   それじゃ芝居(しばい)にならねえじゃねえか。

   「卒爾(そつじ)ながら火をひとつお貸し下され」と、こう来なくちゃいけね

   えよ。


八五郎:あぁなるほど。

    えー、ゴホン。

    【たどたどしく】

    卒爾(そつじ)ながら、屁(へ)をひとつーー


熊公:屁(へ)じゃねえよバカ!火だよ。


八五郎:どっちだって燃えらあな。

    【たどたどしく】

    ぇ、卒爾(そつじ)ながら火をひとつ、お貸し下され。


熊公:…ささ、お付けなせえ。


八五郎:プッ、気取(きど)ってやがるよ。


熊公:よせよおい!

   気取(きど)らなくちゃいけねえんだよ!

   そこで驚くんだよ、吉公(きちこう)。


吉公:え?


熊公:驚くんだよ!


吉公:あ、うん…驚くよ。


熊公:…早く驚きなよ。


吉公:あぁ…!

   驚いたよ。


熊公:それじゃダメだよ。

   俺は仇(かたき)なんだ。長年(ながねん)つけ狙っていて、ようやっと巡り会ったんだ。

   もっとわッと驚け。


吉公:わかった。驚く。

   【どこか気の抜けたような】

   …はああぁ!!


熊公:…俺ァおめえとやるの嫌だな!

   ちゃんとやれってんだよ!


吉公:だ、だって、驚けったってどうやって驚いていいか分からねえんだ

   よ。


熊公:しょうがねえ奴だな。

   いいか、おめえだって芝居(しばい)を見るだろ。

   芝居(しばい)を見て驚くところを思い出してみろよ。

   大概(たいがい)はこう、噴(ふ)くだろ。


吉公:!あぁ、あれか。

   あれなら大丈夫だよ。

   ゴホン、じゃ、驚くよ。


熊公:早く驚きなよ。


吉公:ブーッ!


熊公:汚ねえなこの野郎!

   ッもういいよ、そこは後でやるから。

   じゃあ八(は)っつぁん、あのセリフだ。覚えてんだろ?

   あれを言うんだ。


八五郎:ああ、うん。

    なんだっけ?


熊公:やあやあ汝(なんじ)は何のなにがしーーだろ。


八五郎:あぁそうそう。

    ん”ん”ッ、

    【たどたどしく】ーーやあやあ汝(なんじ)は、何のなにがしーー!


熊公:待て待てあのな、何のなにがしてのはこう、入れる名前がねえから

   とりあえずそう言っただけなんだ。

   ちゃんと名前を入れなくちゃいけねえ。


八五郎:ぁそうか。

    じゃあ…

    【少したどたどしく】

    やあやあ、汝(なんじ)は建具屋(たてぐや)の熊公(くまこう)よな!


熊公:俺の名前を言ってどうすんだよバカ!

   確かに今はこうやって半纏(はんてん)着てる建具屋(たてぐや)の熊公(くまこう)だ。

   けど明日になりゃヒゲを生やして、紋付(もんつき)を着て来るんだよ。

   だから侍(さむらい)らしい名前を言わなきゃいけねえ。


八五郎:なるほど。

    じゃあ何にしよう?


熊公:なんだっていいよ。


八五郎:なんでもいいのかい?

    じゃ、やあ汝(なんじ)は荒木又右衛門(あらきまたえもん)!


熊公:あのな、何でもいいとは言ったけどな、そういう名前じゃダメなん

   だよ。有名すぎる名前じゃねえか。

   ありそうでねえ名前じゃなきゃいけねえってんだよ。


八五郎:ありそうでねえ名前って、ずいぶん難しいんだな。

    じゃあ、やあ汝(なんじ)は北風寒右衛門(きたかぜさむえもん)!


熊公:嫌な名前だなおい。

   まぁいいやいいや。それでいから早くやんなよ。


八五郎:【たどたどしく】

    えぇ、な、何年前に我が父をーー。


熊公:あ、そこも入れなきゃいけねえぞ。


八五郎:あー、何年ぐらいがいいかな。


熊公:そうだな…おめえの好きにやれってなるとまた変なこと言うから、

   まあ八年くらいでやってみなよ。


八五郎:お、おぅ。

   【たどたどしく、最後は疲れてる上に自信なさげ】

    ぇえは、八年前に我が父を討って立ち退(の)いたる大悪人(だいあくにん)、

    ん”ん”っ、

    ここでお、会(お)うたが盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)優曇華(うどんげ)の花(はな)待ち得たる今日(こんにち)ただ今

    、い、いざ尋常(じんじょう)の勝負に及べ…はぁ、はぁ、さ、さぁ、来るか?


熊公:お前ね…いいかい?

   そこんところは二人でもって割りセリフにするんだよ。

   いいか、こうしてこうしてな…


語り:かくしてああしてこうしてああしてこうしてと、一生懸命に稽古(けいこ)を

   積んで、さあ今度は立ち回りの稽古(けいこ)。

   口であれこれ言いながらやっても、言うは簡単だがなかなか上手(うま)く

   いかない。

   それでも夜遅くまで稽古(けいこ)をして、四人はそれぞれ帰ります。

   熊公(くまこう)は自分で言い出したことですから朝早くに飛鳥山(あすかやま)へ向かいます

   と、大きな木の下で煙草(たばこ)をすぱーりすぱりとふかしている。

   く。

   それから少し遅れて六十六部(ろくじゅうろくぶ)役の六兵衛(ろくべえ)が家(うち)を出ます。


六兵衛:さてと、鶯谷(うぐいすだに)から音無川(おとなしがわ)へ抜けようかな。

    まずは広小路(ひろこうじ)の三枚橋(さんまいばし)を~おッ!?


叔父:いてえッ!この野郎ーーお?おめえ、六(ろく)じゃねえか?


六兵衛:あっ叔父(おじ)さん…!

    【つぶやく】

    耳が遠いんだよな…まずいとこで会っちゃったよ…。

    あ、あの…また…


叔父:またじゃねえこの野郎ッ!!

   おめえな、そんななりして、女房(にょうぼう)子供を置いてどこへ行こうってん

   だ!?

   

六兵衛:え?え??


叔父:何が不足であの家(うち)を出ようってんだ、ええ!?


六兵衛:!え、い、いや、その、違うんだよ叔父(おじ)さん!

    こ、これはですね、あ、あの、花見のね、趣向(しゅこう)なんですよーーーー!


叔父:??なんだ?


六兵衛:いや、花見の趣向(しゅこう)なんですよーーーー!


叔父:相模(さがみ)から四国(しこく)へ行く!?

   とんでもねえ奴だ!

   こっちへ来いッッ!!


六兵衛:いたたたた!あ、相変わらずの馬鹿力(ばかぢから)だよ!

    お、叔父(おじ)さんッ、放して下さいよッーー!


叔父:やかましいッ!

   おめえにゃ、たっぷり説教くれてやるッ!


語り:力自慢の叔父(おじ)さんにずるずるずるずる本所(ほんじょ)まで引っ張られていった

   六兵衛(ろくべえ)。叔母(おば)さんがいたら話をしようと思ったがあいにく不在。


叔父:そこに座れッ!


六兵衛:ああもう、こうなったら笈(おい)の中のこいつを見せれば…。

    叔父(おじ)さん、これ!三味線(しゃみせん)と酒と肴(さかな)!巡礼じゃないんですよ!


叔父:…なんだこの野郎、こんなもの持っておめえはどういう了見(りょうけん)なんだ

   !

   とにかくおめえをふん縛(じば)るッ!


六兵衛:ああもうこの朴念仁(ぼくねんじん)!

    しょうがねえ、酒でもって酔いつぶしてしまえば…。


叔父:?なんだ?俺と呑(の)もうってのか?

   いいだろ、呑(の)みながらとっくりと小言(こごと)聞かしてやる!


語り:なんてんで二人して酒を呑みだしたが、この叔父さんがまたえらい

   馬鹿げて酒が強い。いくら飲ましても平気な顔をしてる。

   そのうち六兵衛(ろくべえ)の方がべろんべろんになってしまった。


叔父:何でェ、もう潰(つぶ)れたのかァ?

   ま、いいや、ふん縛(じば)る手間(てま)がはぶけたやな。


六兵衛:はぁぁぁもうどーでもいいや…

    上野で飲む酒もここで飲む酒も変わりがねえや。

    俺ァやーめたァ…。


叔父:いいか、これに懲(こ)りたら変な了見(りょうけん)を起こすんじゃねえぞ!


語り:いっぽうそんな事とは露(つゆ)知らず、巡礼(じゅんれい)役の八五郎(はちごろう)と吉公(きちこう)、一生懸命

   歩いて飛鳥山(あすかやま)までやってきた。


吉公:はぁ、はぁ、はぁ、ほ、ほら早く歩け。

    早く歩けって。


八五郎:早く歩けっておめえ、遅くなったからってここまで駆けてきたら

    、苦しくってしょうがねえよ。


吉公:苦しくってしょうがねえったって、おめえがグズだからだろ。


八五郎:グズはねえだろ。

    それよりこれ、仕込み杖(づえ)見ろよ。本身(ほんみ)だよ。

    どっかちょいとやったって血がばーーっと出るんだからよ。

    だからさ、ちゃんと稽古(けいこ)をねーー


吉公:もういいってんだよ。


八五郎:良くないよゥ、こういうのは稽古(けいこ)しながら歩かなきゃダメなんだ

    よ。

    だからさ、向こう行くまで稽古(けいこ)しながら行こう。

    最初は山型(やまがた)な。


吉公:いやそんな暇(ひま)ないだろ。早く向こう着かないといけねえ。


八五郎:いや、忘れちゃうといけねえからさ、こうやって山型(やまがた)に斬ってさ

    、そっちはこう来るだろ?

    それをこう避けてーーあっ!?


武士1:ッッ無礼者(ぶれいもの)がッ!

    武士の面体(めんてい)を打ちおってェ!

    っそこへ直れィ、首をォ落としてくれるゥ!


吉公:だ、だから言わんこっちゃねえ…!


八五郎:あ、あわわわ…!



武士1:そこへ直れィッ!

    遠慮いたすなッ!


八五郎:えっ遠慮しますゥ!

    おいおいダメだこれ、酔っ払いの侍(さむらい)のあたま引っ叩(ぱた)いちゃったよ

    !い、一緒に謝ってくれ吉公(きちこう)!

    どうぞひとつ!どうぞご勘弁を!


吉公:お願いでございますお侍(さむらい)さま!

   どうかご勘弁を!


武士1:なァらん。んもう勘弁まかりならん。

    叩っ斬ってやる。首をここへ出せ。遠慮するな。遠慮するな!

    遠慮深い奴じゃ!


八五郎:どうか、どうかご勘弁をォォ!


武士2:これこれ近藤。

    貴公は酒に酔うとどうも気が荒くていかん。

    まあ待て待て、わしに任せろ。

    その二人は並の巡礼(じゅんれい)ではないぞ。

    酔っておっては見えぬかもしれんがな、仕込み杖(づえ)を持っておる。

    あぁこれ、巡礼(じゅんれい)。


八五郎:へ、へいっ…!


武士2:その方(ほう)どもは、何か大望(たいぼう)のある身か?


八五郎:あ、あ、ありがとうございます…!

    これからかたき討(う)ちに行くんです…!


吉公:【つぶやく】

   え、ちょ、八(は)っつぁん…!?


武士2:なに、かたき討(う)ち!?

    …見ろ近藤、うん?

    槍(やり)は鞘(さや)、刀は袋の中の世(よ)は太平遊惰(たいへいゆうだ)に流れる中でのかたき討(う)ち…

    孝子(こうし)両名(りょうめい)には恐れ入ったの。

    して、仇(かたき)は江戸表(えどおもて)へ出て参った様子(ようす)はあるか?



八五郎:えっ、へっへい、飛鳥山(あすかやま)で待ってます…!


武士2:?なに?


八五郎:いやあのっ、あああ飛鳥山(あすかやま)の方へいるんじゃないかと思いまして

    っ、これから行ってみりゃあことによると見つかるかもしれませ

    ん。なにしろ江戸じゅうから人が集まってますから…!


武士2:ふうむ、さようか。

    あいわかった。

    先を急ぐ身であろう。さ、早く行くがよい。

    後の事はかまわんから、早く行け。


八五郎:!あ、ありがとうございます…!


武士2:わしらもな、これから飛鳥山(あすかやま)へ参る。

    もし仇(かたき)に出会(でお)うたら助太刀(すけだち)いたしてくれる。


八五郎:ぁあありがとうございます、よろしくお願いいたします…!


    【二拍】


    あぁぁ驚いた!吉公(きちこう)、早く行こう早く行こう!


吉公:あっおい八(は)っつぁん!待てって!あんなこと言ってどうするつもり

   なんだよーーッ。


語り:いっぽうその頃(ころ)の熊公(くまこう)、二人がこんな騒ぎを起こしているとは知ら

   ないものだから、ことのきっかけになる煙草(たばこ)をやめるわけにはいか

   ない。

   朝に家(うち)を出てくる時、あんなに山ほど持ってきていた煙草(たばこ)を残らず

   ほぼ吸っちゃったもんだから、口の中はいがらっぽくなるわ、涙は

   こぼれてくるわ、顔色は紫になって冷汗(ひやあせ)はタラタラ流れてくるわで

   もうしっちゃかめっちゃかな有様(ありさま)。


熊公:【煙草をひと吸いして】

   うぅぅ…だからあいつらと何かするのは嫌なんだ…!

   決まってこんな事になるんだからよ…!

   六兵衛(ろくべえ)が出てこねえのは分かる。先に顔を見せちまっちゃあ具合(ぐあい)が

   悪いからな…。

   あの巡礼(じゅんれい)の二人はいったいどうしたってん…はあぁ、やっと来やが

   ったよちきしょう…うん?

   なんだあ?二人とも膝小僧(ひざこぞう)を真っ黒にしやがって。

   …並んで転んだのかね?


八五郎:【息を切らしながら】

    はあっ、はあっ、や、やっとついた…!


吉公:【息を切らしながら】

   あっ、ああ、ず、ずいぶん待たせちまったよ…!

   兄貴はどこだ…!?


熊公:あいつら駆けて来やがったよ…駆け出してくるなって言ってたのに

   よ…。

   きょろきょろしてやがる。一番でけえ桜の木ってったらこれしか

   ねえだろうが。


八五郎:お、おい吉公(きちこう)、どの桜の木だよ?


吉公:わ、わからねえからそこらの人に聞いてみよう。


熊公:な、なんだ?二手(ふたて)に分かれて聞いて歩いてやがるぞ?

   「少々うかがいます」?

   バカ、そんなこと聞いてんじゃねえよ!

   っておいおい、向こう行っちまうぞ。

   【変な声を出して呼び止める】

   アウッ!!こっちだよこっち!


八五郎:!あ、仇(かたき)が呼んでるよ仇(かたき)が。


吉公:あぁぁ、紫色になって怒ってるよ…。

   俺ァ知らねえよ。


八五郎:とにかく一緒に行って謝ろう。


吉公:あぁもう、しょうがねえなあ。


八五郎:どうも兄貴。


吉公:遅れてすまねえ。


熊公:遅れてすまねえじゃねえよ!いったい何してやがったんーーげほっ

   げほっ!

   俺ァここで死んじゃうんじゃねえかと思ってたよ。

   おめえ達があんまり来ねえもんだから、持ってきた煙草(たばこ)をあらかた

   吸っちまったじゃねえか。


吉公:いや兄貴、八(は)っつぁんの野郎がね、侍(さむらい)の頭を杖(つえ)で引っぱたいちゃっ

   たりなんかしてえらい騒ぎだったんだ。


八五郎:それは許してもらってこうして来たんだからいいじゃねえか。

    で、六兵衛(ろくべえ)は?


熊公:俺たちのチャンバラが始まんなきゃ出てこれねえじゃねえか。

   だからほら、仲良く話してちゃダメだろ!始めなきゃいけねえ。


吉公:ああぁアレをな!


八五郎:うん、じゃ始めるよ。


    …もう始めていいかな?


熊公:【声を落として叫ぶ】

   聞くなバカ!

   ほら早く火を借りに来い!


八五郎:わ、わかったよ。

    じゃ…ん”ん”っ。


    そ、卒爾(そつじ)ながら、火を一つお貸し下され。


熊公:ささ、お付けなせえ。


八五郎:【大げさに驚く】

    ぬあああぁ!?


熊公:っっ…もういいよ早く、早くセリフ言え。


八五郎:っや、やあ汝(なんじ)は石の地蔵よな!?


熊公:【声を落として叫ぶ】

   名前いちいち変えんなバカ!


熊公:【ほとんど一息に棒読み】

   は、八年前に我が父を討って立ち退(の)いたる大悪人(だいあくにん)っここで会(お)うたが

   盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)優曇華(うどんげ)の花(はな)待ち得たる今日(こんにち)ただ今っはあ、はあ、

   こっからお前だ。


吉公:っい、いざ尋常(じんじょう)の勝負勝負!


熊公:っなにを仇討(あだう)ちとは洒落臭(しゃらくさ)い!返り討(う)ちにしてくれるわ!


吉公:っお、おい兄貴、そっちが先に抜くなんて順序が違うよ!


熊公:順序が違うも何もねえっ、早く来いッ!


【ここから↓は八百長(やおちょう)のチャンバラをずっとしている】


語り:朝から今までかなり待たされてた熊公(くまこう)、もうカッカしてる。

   周(まわ)りに花見客(はなみきゃく)がいる中でいきなり大(おお)ダンビラをギラリひっこ抜いた

   もんだからさあ大変な騒ぎ。

   「かたき討(う)ちだァーーッ!」

   とあちこちで声が上がる。

   折(おり)しも先ほど八五郎(はちごろう)と吉公(きちこう)が会った侍(さむらい)二人も、ようようこの場へ

   差し掛かる。


武士2:…うん?なんだこの騒ぎは?。


武士1:うぅ~い、ひっく。


武士2:おお近藤あぶないぞ。こちらへ参れ。

    これこれ町人(ちょうにん)、この騒ぎは何事だ?


町人:っへ、へい、かたき討(う)ちだそうで。


武士2:なに、かたき討(う)ち!?

    して、討(う)つもの、討(う)たれる者の面体(めんてい)は?


町人:ええと、討(う)つ方は巡礼(じゅんれい)が二人、兄弟らしゅうございます。

   討(う)たれる方は浪人者(ろうにんもの)でございまして、髭(ひげ)を生(は)やして目をぎょろぎょ

   ろさせてる、強そうな野郎で。

   ことによると返り討(う)ちになっちゃうんじゃねえかって噂(うわさ)で。


武士2:!近藤、聞いたか?

    先ほどの孝子(こうし)両名(りょうめい)が仇(かたき)に出会ったぞ!


武士1:っおぉそうかァ、よしっ助太刀(すけだち)に参るかァ!

    どけィ町人(ちょうにん)どもォ!


武士2:どけどけっ、町人(ちょうにん)どもは巻き込まれて怪我(けが)などいたすな!

    おうっ、最前(さいぜん)の孝子(こうし)両名(りょうめい)ども!

    仇(かたき)に出会ってめでたいのう!


吉公:へっ!?

   あっ…どうも、先ほどはありがとうございました…!


熊公:はっ?えっ?


八五郎:あ、あの、仇(かたき)ってのはこの野郎なんです。

    悪い野郎でございましてね、あっし達のおとっつぁんを殺しやが

    ったんで。


武士2:うぅむなるほど…いかさま憎(にく)ていな面(つら)をしておる。

    よく今まで逃げのびたな。

    おっ胴(どう)ががら空(あ)きだ!胴(どう)に隙(すき)がある!胴(どう)に斬り込め!


吉公:えっ?えっ?


武士2:あぁ何をいたしておる!

    おッ今度は面(めん)だ!


熊公:【声を落として】

   お、おい何だあれは?あれ何だ!?


八五郎:あぁあれ助太刀(すけだち)。


熊公:え、す、助太刀(すけだち)ィ!?

   そんなの筋書(すじが)きにないぞ!?


八五郎:無いんだけど途中で出てきちゃったんだからしょうがないよ。

    アレ本物だから。

    下手(へた)すると兄貴斬られるよ。


熊公:やだよおい!冗談じゃねえよ!

   ていうか六部(ろくぶ)はどうしたんだ六兵衛(ろくべえ)は!?


吉公:お、俺もうくたびれてきちゃったよ…。


武士2:何をいたしておる!そこに隙(すき)があるではないか!

    隙(すき)がッ…っ胴(どう)に斬りこめば斬れる!

    臆(おく)せずまっすぐ目をつぶって斬りこめッ!

    あぁぁ何をいたしておるゥゥッ!!

    んもォォォ我慢ならんッッ!!!


熊公:うわあああ抜いたあああ!!


八五郎:ぉ俺逃げる!


吉公:待ってくれ俺も逃げるゥ!


武士2:おお!?双方(そうほう)逃げ出しおったぞ!?

    どうした!双方(そうほう)とも逃げるには及ばんぞ!

    勝負は五分(ごぶ)と五分(ごぶ)だ!


吉公:肝心(かんじん)な六部(ろくぶ)が来ねえんです。




終劇




参考にした落語口演の噺家演者様等(敬称略)


金原亭馬生(十代目)




※用語解説


・長襦袢(ながじゅばん)

着物の下に着用し、着物を汗や汚れから守る役割を持つインナー。

肌襦袢の上に重ね、襟元や袖口からチラリと見せることで着姿の美しさを

整え、お洒落を演出する必須アイテム。


・志古貴(しごき)

帯の下に巻いて左斜め後ろに垂らす、房付きの華やかな帯飾り。

もとは裾を引きずる衣装をたくし上げる実用品だったが、現在はレトロ・

モダン・ママ振り等の成人式コーデに華やかさを加える装飾小物として

人気。


・卒爾(そつじ)ながら

突然なさま。にわかなさま。急なさま。

突然ながら、突然ですが…という感じ。


・盲亀(もうき)の浮木(ふぼく)

盲目の亀が水に浮いた木に出会う。会うことがきわめてむずかしいこと、

常識的にはまずありえないことのたとえ。仏または仏の教えにあうことの

むずかしさをいう。


・優曇華(うどんげ)の花

仏教の経典で3000年に一度、如来の現世にあわせて咲くとされる伝説

の白い花。滅多に出会えない極めて稀な幸運の例えとされる。


・六十六部(ろくじゅうろくぶ)

法華経66部を書写し、日本全国66カ国の霊場に1部ずつ納めて歩いた

中世〜近世の巡礼者(廻国聖)。白衣・笈(おい)を背負い、鉦を鳴らし

て修行し、満願達成の記念に「六十六部供養塔」を各地に残した。

法華経ってことは日蓮宗か。


・笈(おい)

修験者や行脚僧などが仏具・衣類・食器などを入れて背負う、あしつきの

箱。きゅう、とも。


・かっぽれ

活惚れと書く。

江戸末期から明治にかけて流行した、滑稽で粋な「大道芸・お座敷芸」の

踊り。「カッポレ、カッポレ、甘茶でカッポレ」という囃子詞に合わせて

踊る。大阪の住吉踊りがルーツとされ、伊勢音頭などを取り入れて寄席や

舞台で現在も伝承されている伝統芸能。


・荒木又右衛門(あらきまたえもん)

江戸時代初期の武士で剣客。名は保知(やすとも)、保和とも。

鍵屋の辻の決闘での活躍で名高い。柳生新陰流の剣豪。大和郡山藩の剣術

師範を務める。

詳しく知らない人でも魔界転生を見たことのある読んだことのある人なら

分かるかと。


・建具屋(たてぐや)

住宅の扉、窓、障子、襖(ふすま)などの「建具」を製作・設置・修理

するプロフェッショナル。大工が家の骨組みを作るのに対し、建具屋は

開口部の仕上がりを担当し、引き戸の調整や木製ドアの修理なども手掛け

る。


・鶯谷(うぐいすだに)

東京都台東区。


・音無川(おとなしがわ)

現在の東京都北区王子付近を流れていた石神井川の別称で、王子権現

(王子神社)の裏手を流れる渓谷は景勝地として知られた。飛鳥山や

音無親水公園の側を流れ、桜の名所として親しまれた歴史ある川。


・三枚橋(さんまいばし)

主に上野(現在の台東区上野広小路付近)の寛永寺へ向かう忍川に架かっ

ていた3つの橋の総称・通称。


・広小路(ひろこうじ)

1657年の明暦の大火後に幕府が防火(延焼防止)を目的に設けた、

道幅の広い「火除地」。


・相模(さがみ)

今の神奈川県の大部分を示す。


・本所(ほんじょ)

現在の東京都墨田区南部を指す地域。明暦の大火後の都市再開発で、隅田

川の東側を埋め立てて造成され、旗本・御家人の屋敷や町人地が計画的に

配置された。両国橋の東詰は賑わいを見せ、江戸情緒が色濃く残る下町と

して知られる。


・飛鳥山(あすかやま)

八代将軍徳川吉宗が享保の改革の一環として1720年代に整備した、

庶民に開放された行楽・花見の名所。約1000本の桜が植えられ、

江戸近郊の憩いの場として親しまれ、現在の東京都北区にある飛鳥山公園

へと受け継がれている。





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