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産めよ増やせよ地に満ちよ Ⅱ

作者: ララーニア

少子化まっしぐらの人類に希望の星はあるのか

「少子化はなんとかならんもんかね」

 産科婦人科学会で男性たちがため息をついた。

「身内から子宮を移植して、子宮のない女性でも妊娠を可能にするってことを発表したら、女性団体から非難轟々でしたし。」

「そりゃ健康な体から子宮を取り出すってリスクを考えれば、女たちは納得しないでしょう。しかも妊娠の可能性も高くない上に、一回こっきりの使い捨てですからね。女がギャーギャー騒ぐのもまあ、わからいではない」

「女なんて黙って妊娠しておけば、少子化なんて起こらないのに。ただでさえ妊娠可能年齢に該当する人口は少ないのに」

 男性たちのぼやきが延々と続く中、1人の女性が挙手した。

「我々の研究チームで新たな少子化阻止の方法を模索しました。これはかなり安全で、人権にも配慮した形です」

 高齢の座長がため息をつきながら面倒臭そうに言った。

「それって以前のips細胞由来の子宮を作るって話だろう。今はまだ肌や角膜といった簡単な組成の部品しかできてないんだぞ。子宮は非常に複雑なんだから、かなり難しいって、何度言えばわかるんだ」

「いえ、既存の臓器を使います。肝臓に着床した受精卵が23週まで成長した症例があったのを覚えていますか」

 学会のメンバーはちょっと顔を上げた。

「それで我々はモルモットや豚を使って肝臓に受精卵を着床させる実験をしました。内視鏡を使い、腹腔鏡手術で安全性を高め、被験体に負担をかけずに受精卵を挿入したのです。結果は非常に良好で、被験体の健康管理も容易ですし、ほぼ一般の妊娠期間の9割まで体内で育てることが可能とわかりました」

 学会メンバーは少し身を乗り出した。

「臨月とまではいかないですが、それなりに体外に出して自力呼吸もできるまでに育てることができます。もちろん、お産はできなかったので帝王切開で取り出しましたが、生存率は一般の出産より高かったのです。やはり、お産は被験体にも子供にも負担がかかりますから」

 学会メンバーには立ち上がるものもいた。

「肝臓のダメージもほぼなく、産後のケアは一般の出産よりもケア期間は短く済みました。実験個体で、2度、3度の出産をさせたものもありましたが、経過は順調です」

 学会メンバーは拍手喝采をした。全員が総立ちになって割れんばかりの賞賛の嵐だった。

「少子化は歯止めが効きます。肝臓のない人はまずいないからです。危険性もほぼありません。実験体のオスメスとも順調に妊娠出産しました。これで男女関係なく、妊娠出産ができるので、妊娠可能人数は倍に増えます。これからどんどん、男女とも妊娠出産して子供を増やしましょう」

 満面の笑顔で発表を締め括った女性だが、学会メンバーは座り込み、ただただ暗い顔をした。

読了、ありがとうございます。さあ、この実験後、人類は増えたかどうかはわかりませんが、少子化対策の一考になれば幸いです。

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