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ミュスクル魔法学校

グシケンとカズミ達を乗せた列車の車窓から朝日が差し込む。


その光でグシケンは目が覚めた。


「うん?、、、まぶし、、、朝か、、、」


うっすらと目を開ける。


すると、カズミはもう起きていた。


カズミの顔が朝日に照らされて眩しい。


まるで太陽が2つあるみたいだ。


「おはようグシケン君。よく寝てたわね。」


「おはよう。カズミは眠れたのか?」


「うん。でも、なんか早く目が覚めちゃって、、、」


「緊張してるのか?」


そう言いながら起き上がるグシケン。


「うん。そうかも。グシケン君は?」


「大丈夫!俺はグッスリ寝れたよ。いよいよだな。あとどれぐらいで着くんだろ?」


カズミはポケットから懐中時計を取り出す。


「そうね、あと1時間ぐらいかしら。まだ時間あるし持ってきたサンドウィッチがあるけど食べる?」


そういうと今度はポケットからサンドウィッチを2つ出した。


「うん、食べるよ。ありがとう。」


「プロテインミルクもあるわよ。」


「サンキュー、相変わらず気が利くなぁ。」


「ウフフ、ちょっとマッチョっね。(待ってね)」


カズミはそういうと今度はポケットからビンに入ったプロテイン入のミルクを2本取り出して1本をグシケンに手渡す。


「おお!これこれ!やっぱ朝はこれだよなー!」


「いただきマッスル!」


グシケンはプロテイン入のミルクを一口飲むと、鼻の穴を大きく広げながら美味そうにサンドウィッチを頬張る。


「グシケン君、もう学校に入るんだから食べるとき鼻の穴が膨らむクセ直さないとダメだよ。」


確かに何とも情けない顔だ。


「あ、ごめん。つい膨らんじゃうんだよなぁ。」


「もう、グシケン君たら!ウフフフ」


カズミも楽しそうに笑っている。


そんな、他愛もない事をしているうちに列車は進み、やがて目的地のゴールド王国の首都、『ダイデンキン』に到着した。


ダイデンキン駅は歴史ある駅で、その景観はまるでロンドンのパディントン駅を思わせるような雰囲気だ。


待ちゆく人々もトラディショナルな装いでまさに紳士淑女しんししゅくじょの都市だということがひと目で分かる。


ロンドンの風景と違うといえば、道行く人々がみなムキムキであるということぐらいだ。


何しろここは筋肉と魔力の聖地『ダイデンキン』だ。


グシケン達の村とは比べるまでもなかった。


しかし、そんなエリートの街にあってもカズミの筋肉は群を抜いていた。


その極限までにバルクアップされた筋肉は人目を惹くに十分であった。


「あー疲れた!やっと着いたなー!」


「長かったけど楽しかったわね。」


ゴロゴロと荷物を乗せたカートを押しながら二人はホームを歩いている。


しかし、すれ違う人々は思わずふりかえってカズミを二度見してしまう。


「カズミ、なにかちょっと目立ってないか?」


「気のせいよ。きっと。」


カズミは気にしていないようだがグシケンが振り返ると明らかにみんな振り返ってジロジロとカズミの方を見ている。


その眼差しは決してさげすんだものなどではなく、明らかに羨望せんぼうの眼差しだ。


グシケンは少し恥ずかしくなって急いで駅を後にすると、駅前の馬車停ばしゃていから馬車に乗った。


今日は天気もよく、カポカポとヒヅメの音が心地良い。


馬車はのんびりと街を走り抜けてやがて郊外へ。


丘の上へと登っていく。


そうして、しばらくすると馬車は魔法学校の長い長い壁にたどり着く。


その壁に沿って道をゆくと、壁の向こう側の木々の間から大きな建物が建っているのが見える。


「わぁ、カズミ見てみろよ!あの建物がそうだよ。ミュスクル魔法学校だ。」


「ホントね。入学案内にあったフォトグラァフと同じね。」


それは5階建ての歴史を感じる大きな建物で、両脇と奥には幾重にも先の尖った塔が立ち並んでいてまるで古いお城のような造りだった。


そしてやがて馬車は正門の前までたどり着く。


大きな黒い鉄の格子の門が開かれており、沢山の人や馬車が集まっている。


今日の入学式の為に新入生達が登校してきているのだ。


皆、グシケン達と同じ制服を着て門からまっすぐに続く道をあの大きな建物に向かって歩いている。


「お客さん、着きましたよ。ミュスクル魔法学校です。」


「ありがとう。」


グシケンは馬車の男に賃金を渡すと馬車を降りて自分とカズミの荷物を降ろす。


そしてカズミもその後、馬車を降りた。


すると、周りがどよめいた。


「お、おい。あれを見ろよ。」


「すごい筋肉だ、、、」


「美人だぞ、、、」


「すてきな魔ッチョ」


「でもどうして頭を剃ってるんだろ?」


「さあ?でも剃り(それ)でもすごくステキ、、、」


「美しい、、、」


皆カズミの鍛え上げられた筋肉に感嘆としている。


そんな中、カズミ達をさげすむ様な人間も少なからずいた。


「なんだ平民かよ。」


「いくら魔ッチョでも平民じゃあな。」


良くも悪くも注目を浴びるカズミ。


そう、ここは王国。


貴族社会である。


田舎の小さな村から出てきたグシケン達は当然平民である。


これから入るミュスクル魔法学校は、そんな貴族と平民が通う学校だ。


そこでは当然色んな問題を抱えている。


そんな学園生活が今、始まろうとしていた。

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