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グシケン大地に立つ

黒い空間の目玉がグシケンをギロリと見つめると今度はグシケンが宙に浮かんだ。


心配そうに見つめるカズミの腕の太さはまるで太ももの様だ。


そして何より、首の太さはハンマー投げの金メダリストのように太い。


そんな中、多くの村人の期待を裏切ってそれは現れた。


グシケンの目の前に何やらゴワゴワしたアフロの様な毛玉が現れて、グシケンの頭のアフロと共鳴を始めたのだ。


「お、おいマジか!?」


「何だあれ!?」


周りが騒然となる中、やがてその共鳴はメロディーを奏で始める。


それが人々の耳にはまるで、小さな女の子が歌っている様に聴こえた。


どこかで聞いたようなメロディーと共にそのアフロの様な玉とグシケンのアフロは金色こんじきに輝き始める。


そして、アフロの玉は次第にその姿をグリモワールへと変えてグシケンの手元に降りてきた。


「何だあのグリモワール?金色に光ってるぞ?」


「頭も光ってんぞ!?」


「眩しい!」


「あんなの見たことないな、、、」


どよめく村人達。


グシケンも困惑の表情だ。


「こ、これが俺のグリモワール。。。なのか?」


しかし、長老はその光景を目を見開いて見つめてこう呟いた。


「あれは、もしや。。。伝説のアフロ属性のグリモワールではないか!?」


そして、グリモワールを得たグシケンはゆっくりと地に降り立ち、しっかりとその両足で大地に立った。


自分でも信じられないかの様に。


なんとも誇らしげに。



「筋肉に愛されざる者、金色こんじきのアフロと共に大地に舞い降りる。まさかアレが言い伝えの。。。」


と、何かを言いかけたがハッとして長老は我に返った。


「グシケン!見事である!!」


「お前はアフロ属性のグリモワールに選ばれたようじゃ。これは特別なグリモワールだ。」


「これからの二人の活躍に期待する!!」


村人達は二人に対する拍手喝采を惜しまなかった。


そしてが歓声巻き起こる。


「おおお!!」


「おめでとう!!」


「グシケン!何かすごいぞー!」


そんな中、長老の言葉にグシケンは


「特別なグリモワール。。」


と、何か呆けたように自分に授けられたグリモワールを見つめた。


やがて、グシケンの頭のアフロの輝きは消えたがグリモワールは金色こんじきの輝きを失っていなかった。


そして、カズミの闇のグリモワールもまた、禍々(まがまが)しい黒いオーラをなはっていた。


そうして、それを見届けると大きな目玉の除いていた黒い空間は消え去っていった。


そして再び二人に注目が集まる。


次に起こることを皆知っているのだ。


「さあ、二人共。グリモワールの1ページ目を開いてみよ。始まりの魔法が付与されるぞ!」


そう言われて二人はグリモワールの1ページ目を開いた。


すると、何も書かれていないグリモワールにページのタイトル文字が浮かび上がる。


カズミのグリモワールには『悪魔のブレス』


グシケンのグリモワールには『アフロディーテ』


それぞれのページに、なにやら文書と魔法陣が現れた。


「カズミよ、悪魔のブレスは地獄の業火で敵を焼き尽くす強力な魔法じゃ。お前のマッスル(マソウ)では威力が強くなりすぎるかもしれん。むやみに使うでないぞ。」


「は、はい。肝に銘じます。」


村長の忠告をカズミは真剣に受け止める。


カズミは素直な魔ッチョレディだ。


「そして、アフロディーテ。これは、、、」


グシケンもドキドキしながら村長の解説を待つ。


しかし、村長は眉間にシワを寄せたまま、なかなか語らない。


村長の心の声。


なんじゃこれ?アフロディーテ?知らんぞ?


何かの召喚魔法か?


大体、アフロ属性のグリモワールなんてワシ初めて見たし。


そんなもん、昔わしの婆ちゃんが婆ちゃんの婆ちゃんが見た事あるって言ってたの聞いたような気がするぐらいじゃ。


わしの婆ちゃんも婆ちゃんの婆ちゃんはけっこう婆ちゃんだったからボケとってようわからん言うてたしな。


わしだってもう爺ちゃんだし、もうようわからんわ。


どうする?一回魔法使わせてみるかの?


うーん、、、困ったのう、、、


まあ、考えるのめんどくさくなって来たし一回やらせてみるか。


グシケンは村長の顔を食い入るように見ている。


「村長?一体俺のはどんな魔法なんですか?」


「う、うむ。そなたのグリモワールは特別なものじゃ。だからその魔法の効果もまた未知なのじゃ。」


「しかし、そなたは魔ッチョに成り切らぬ魔ッチョの手前、魔ッチ亡じゃ。お前くらいの魔力ではさほど大きい効果は得られないだろう。」


「そこで、一度ここで試してみてはくれぬか?」


「は、はぁ。分かりました。」


グシケンはちょっと残念そうに拍子抜けした様子でうなずく。


「うむ、では念の為、全員離れた場所で見守ることにする。」


そして、村長とカズミも含めて全員が離れてグシケンを見守る中、『アフロディーテ』は試されることとなった。


「では、いきます!」


グシケンは、グリモワールを手に取り詠唱を始める。


金色こんじきのアフロの精霊よ、我が命に刻まれし契約によりその力を示せ。」


グリモワールは金色こんじきの輝きを増し、目の前に魔法陣が現れる。


「アフロディーテ!」


その言葉と共に辺りは祝福の光に包まれた。



次の瞬間、広場に集まった村人全員の毛髪は、アフロヘアーになっていた。

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