表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇夜の中の図書館  作者: 無名人
6/16

束縛


 そして翌日(よくじつ)、リアが一階(いっかい)書庫(しょこ)()かうと、それを()(かま)得ていたかのようにレオンが椅子(いす)(すわ)っていた。

「リア、(おれ)(なに)()わずに(そと)()ただろう?」

リアは(おどろ)いた。まさか、レオンに無断(むだん)(そと)()ていたのを()られていたとは(おも)わなかったからだ。

「どうして()たんだ。この(もり)には大勢(おおぜい)魔物達(まものたち)()んでいるんだぞ?」

リアは(うつむ)いた。一瞬(いっしゅん)だけ(そと)()ただけなのに、何故(なぜ)ここまで(つよ)()められるのだろう。

「とにかく、もう二度(にど)(そと)には()るな。」

「どうして(そと)()たらいけないの?」

「お(まえ)(こと)大切(たいせつ)だからだ、リア…」

レオンはリアを(つよ)()()めた。その身体(からだ)(しろ)く、(こおり)のように(つめ)たい。

「お(にい)ちゃん、(つめ)たいよ…。」

リアはレオンの(かお)をしっかりと()つめた。

「お(にい)ちゃんごめんなさい、でも(わたし)はどうしても(そと)()たいの。」

「どんな理由(りゆう)があるかは()らないが、絶対(ぜったい)駄目(だめ)だ。魔物(まもの)()われるかも()れないんだ。もう(おれ)にはリアしか()ないんだ、リアが、()なくなったらどうなってしまうか…。」

先程(さきほど)まで(おこ)っていたレオンは(きゅう)(かな)しい(かお)になった。

(つぎ)ここから()(とき)はこの()()()られないかも()れないな…」

リアはレオナに()れて()かれたとは一言(ひとこと)()わなかった。自分(じぶん)(おこ)られているのを(だれ)かのせいにはしたくなかったからだ。レオナがここから()したとはいえ、リアにも(そと)()たいという意思(いし)があるのは本当(ほんとう)だったからだ。



 リアは(あに)(こと)をどうする(こと)出来(でき)なかった。図書館(としょかん)()(まえ)(こと)はあまり(おぼ)えていないが、レオンは元々(もともと)このような性格(せいかく)だっただろうか。それは(ちが)()がする。

 その(とき)、リアは以前(いぜん)()んだ(ほん)(おも)()した。その(なか)には、(わる)魔法(まほう)長年(ながねん)(ねむ)りについたお姫様(ひめさま)王子様(おうじさま)のキスによって目覚(めざ)めるという物語(ものがたり)()かれていた。

 ひょっとして、レオンもそのお姫様(ひめさま)(おな)じように(わる)魔法(まほう)にかけられているのかも()れない。そう(おも)ったリアは、コボルトにされたのを(おも)()しながら、そっとレオンの(ほお)にキスをした。レオンは赤面(せきめん)したかのように()えたが、身体(からだ)(つめ)たいままだった。レオンは(おどろ)いていたが、それでも(なに)()わらない。

「お(にい)ちゃん…。」

リアはレオンを()いて二階(にかい)(もど)って()った。



 そして、リアは自分(じぶん)部屋(へや)(はい)った。日記(にっき)(なか)ではレオンに()いたくても()えなかったリアの気持(きも)ちが()かれている。

 レオンの(こと)大切(たいせつ)だ。だが、それと(おな)じくらいレオナや(もり)魔物達(まものたち)とも仲良(なかよ)くしたい。だが、レオナの(こと)(つた)えたとしても、レオンは(そと)()るのを(ゆる)さないだろう。

「それでもやっぱり、みんなに()いたい。」

レオンがリアを大切(たいせつ)にしているのはもちろん()っている。(ほか)(だれ)よりもリアを(あい)しているのももちろん()かっている。だが、その愛情(あいじょう)(とき)異常(いじょう)だと(かん)じてしまう(こと)がある。レオンがリアを(なに)よりも大切(たいせつ)だと(おも)(あま)りにリアは自由(じゆう)にはなれない。リアは、そんなレオンをどうすればいいのか()からなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ